勝利への欲求だけが先走って手堅さを
求め、その結果勝てなかったチームが、
昨シーズン、手堅さを捨てて勝ちを
拾った――それが東芝府中なのである。
向井監督が言う。
「私は最初からWTBで完璧なトライをとりたいと考えていたんですよ。ゴール前1mで人数が3対1と余っていて、FWがそのまま行ってもトライになるような場面で、パスを回してWTBでトライをとりたかった。FWの力でトライをとると、相手は“今度は止めてやろう”と考えるけど、3対1でパスを放られると“すげえな、こいつら。こらもう、絶対に届かないや”という感じを受けるんです。少なくとも私はそうだった。