またひとり、日本ラグビーのヒーローがジャージーを脱いだ。
栗原徹。1996年度に茨城の清真学園を花園で初のベスト8に、1999年度には慶大を「創部100周年メモリアル優勝」に導き、サントリーに加入した2001年度にシーズン全勝、ウェールズ撃破に貢献。日本代表では2002年に1試合60得点(6T15C)というテストマッチ最多記録を樹立するなど、27キャップで通算347得点。走ってはトライを、蹴ってはゴールキックを、さらにトップスピードのまま放つラストパスでトライアシストを積み重ねた日本ラグビー界が生んだファンタジスタである。
サントリーからNTTコムに移籍し、2013年度のシーズンを最後に現役を引退。
今回発掘したのは、その栗原が、慶大での公式戦デビューを前にした1997年9月のインタビュー記事だ。
世紀をまたいで走り抜けた万能ファンタジスタの、デビュー前の息吹きに、プレイバック!
長いトンネルを、ようやく抜け出そうとしている慶大。躍進を予感させる最大のファクターは、次々と門を叩く有望新人たちの存在だ。高校日本代表だけをとってもSH熊谷良(3年)、LO阿久根潤(2年)、PR左座正次郎、SH牧野健児、SO和田康二、WTB浦田修平(1年)と、ここ3シーズンで7人を獲得(但し浦田は代表決定後に負傷で遠征を辞退)。
上田昭夫監督が全国にスカウト網を張り巡らせて勧誘し、部員とともに模擬面接の教官役まで務めて受験指導して獲得した。“金の卵”たちは、過去11シーズン大学選手権から遠ざかっている慶大に、新時代を築いてくれる予感を抱かせる。