1月25日、静岡県のヤマハスタジアムでリーグワン第6節の静岡ブルーレヴズvsトヨタヴェルブリッツの一戦が行われた。
2026/01/26
文●大友信彦
先手を取ったのは静岡だった。風下からキックオフした静岡は開始6分、相手反則で得た右ゴール前ラインアウトからのアタックで、この日トップリーグ/リーグワン通算100キャップを達成したPR伊藤平一郎がトライ。

前半6分、静岡PR伊藤の先制トライ
「チームでは100試合以上出ているけどトライはこれで3つ目。先制トライは初めてです」と笑ったベテランの一撃で先制すると、次のキックオフからのヴェルブリッツのアタックを粘り強く止め続け、ヴェルブリッツSO松田がグラバーキックで裏を取りに行ったところ静岡CTBピウタウがダイレクトボレーで蹴り返し、前進してドリブル⇒SO家村健太のチェイスで敵陣へ進むと、No8リッチモンド・トンガタマがビッグゲイン。さらにこれがリーグワンデビューのLOダニエル・マイアヴァのオフロードパスを受けたLOマリー・ダグラスがトライ。

静岡No8トンガタマの突進

静岡LOダニエル・マイアヴァ

静岡LOマリー・ダグラスのトライ
勢いに乗ったブルーレヴズはさらに16分、ハーフウェーのターンオーバーからPR山下憲太が突進し、CTBチャールズ・ピウタウの絶妙オフロードパスからセミ・ラドラドラがつないでWTB奥村翔がトライ。19分には相手キックオフを捕るとHO日野剛志―SO家村と繋いでFB山口楓斗がブレイクし、WTBヴァレンス・テファレが左サイドを走り切ってトライ。最初の20分間でレヴズが4連続トライ、24-0と大きくリードした。

静岡WTB奥村のトライ

静岡WTBテファレのトライ
ヴェルブリッツは30分を過ぎたところからようやく反撃し、静岡陣内でボールを継続。ブルーレヴズの粘り強い防御に手を焼きながらも前半40分のラストプレーで相手ゴール前PKを得るとスクラムを選択。レヴズの看板スクラムにあえて挑む強気なデシジョンから9次にわたってアタックを重ね、最後はSHアーロン・スミス~SO松田力也がショートパスをつないでCTBシオサイア・フィフィタが右中間トライゾーンへ。ヴェルブリッツが1トライを返し、24-7で前半を終えた。

トヨタSHアーロン・スミス

トヨタWTB高橋汰地

トヨタCTBフィフィタのトライ

松田力也がコンバージョンを決める
ヴェルブリッツは後半開始からも相手ゴール前に攻め込み追加点を狙うが、3分、ラインアウトモールを押しきれずにアンプレアブル。そのスクラムでコラプシングを取られ、得点できず。逆にピンチをしのいだブルーレヴズは8分、相手反則で攻め込んだゴール前ラインアウトからショートサイドを突いたFLマルジーン・イラウアが次々と相手タックルを外して右隅にトライ。さらに17分には、今季初メンバー入りのHO作田駿介がインパクトメンバーとして入ると、右ゴール前で得たスクラムを押しきり、やはり途中出場のFLクワッガ・スミス主将がトライ。36-7と大きくリードを広げる。

後半早々、トヨタNo8ライアルがラインアウトを捕球

静岡CTBラドラドラ

後半、静岡イラウアのトライ

ベンチに下がったHO日野がリザーブの河田にアドバイス

後半17分、静岡FWがスクラムトライ
何とか流れを変えたいヴェルブリッツはFL姫野和樹主将がブレイクダウンでジャッカル(スティール)を決めて反撃。30分に相手ゴール前ラインアウトからモールを押しきってHOスカルク・エラスマスがトライ。35分には途中出場のCTBニコラス・マクカランからSH田村魁聖につないでトライ。19-36と追い上げる。
しかし36分、ヴェルブリッツはSOの位置に上がっていた小村真也が相手CTB伊藤峻祐にタックルした際のヘッドコンタクトでイエローカード。数的優位を得たブルーレヴズがまた相手ゴール前に攻め込み、スクラムでPKを得るとクワッガ・スミス主将がタップしてそのままトライ。SO家村健太がコンバージョンを決め、ブルーレヴズがトライ数7-3、最終スコア43―19で大勝した。

後半40分、クワッガ・スミスが総仕上げのトライ

SO家村がホーンを待ってコンバージョンを成功
ブルーレヴズはBP込み勝ち点5を加え、勝ち点15として6位に浮上。ヴェルブリッツは開幕戦でヒートに勝ったあとはBPなしの5連敗、勝ち点4のままで11位に後退した。
静岡ブルーレヴズ・藤井雄一郎監督

静岡ブルーレヴズ・藤井雄一郎監督
「風が強い中で、前半は風下からボールを持って攻撃しようと話していた。前回の試合から修正ポイントも少なくなってきて、うまくいけば点数が入ると思っていたら、選手がそれを体現してくれた。スクラムは、3番も熾烈なポジション争いが続いていて、(伊藤)平一郎も今日でリーグ戦100試合目ということで、ずっと試合に出たかったと思うけど『この試合で出さないと次はないぞ』とプレッシャーをかけたのが良かった。ホントはプレッシャーに弱いヤツなんですが(笑)」
――FWにアタック型の選手を多く起用した印象ですが、クワッガをリザーブに回したことも含めて狙いは。
「まず外国人選手(カテゴリーB+C)が4人しか使えないということと、ケガ人の都合と、BK陣はチャーリー(ピウタウ)もセミ(ラドラドラ)も調子がいいので使いたかった。ジャスティン(サングスター)は3日前にお腹が痛くなって、急遽ダニエル(マイアヴァ)を出しました。どこかで使いたいと思っていたし、本人も気合が入っていいプレーをしていた。LOもいい競争ができています。
トンガタマはもともとモメンタムを作れる選手なので、どこかで使いたいと思っていた。2番もできますけれど、きょうは作田が帰ってきた。作田は地味な選手ですがスクラムだけは派手にやってくれる。今日もそういうインパクトはあったと思います」
――ラドラドラ選手の周りで突破するケースが多い。
「相手が一番走られたくないのはたぶんセミ(ラドラドラ)だし、彼の周りにはいろんなスペースができてくる。周りの選手はそこにアジャストして、オフロードだったりパスだったり、みんなが空いているスペースに走りこめるようになってきた。フィットしてきたと思います」
静岡ブルーレヴズ チャールズ・ピウタウキャプテン

静岡ブルーレヴズ、チャールズ・ピウタウキャプテン
「選手たちのエフォート(努力)を誇りに思います。1週間かけて準備してきたことを発揮してくれたし、FWはセットピースで私たちのスタンダードを示してくれた。前半はコーチから『風下のときはボールを持って攻めていこう』という明確な指示があって、コミュニケーションとスキルを使ってそれを遂行できたと思う」
トヨタヴェルブリッツ スティーブ・ハンセンHC

トヨタヴェルブリッツ、スティーブ・ハンセンHC
「非常にフラストレーションのたまる試合だった。たとえるならば車が壊れてしまい、ひとつのところを直すと次のところが壊れている、それの繰り返しだ。ラック周辺のディフェンス幅が狭くなって、外のディフェンスが足りなくなったところで外を取られてモメンタムを作られてしまう。後半は少し修正できたと思うが。プレーヤーは努力をしているが、時間が必要。BYEの時間を使って準備をして、この車をもう一度走れる状態にしたい」
トヨタヴェルブリッツ 姫野和樹キャプテン

トヨタヴェルブリッツ・姫野和樹キャプテン
「ゲームの結果はただただ残念。2試合続けて、前半で負けが決まるような展開になってしまっている。準備に問題があるのか、自分たちで最初の10分、20分の入りにフォーカスして修正していきたい」
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大友信彦(おおとものぶひこ) 1962年宮城県気仙沼市生まれ。気仙沼高校から早稲田大学第二文学部卒業。1985年からフリーランスのスポーツライターとして『Sports Graphic Number』(文藝春秋)で活動。ラグビーマガジンなどにも執筆。 プロフィールページへ |

大友信彦