対抗戦選抜が劇的な逆転トライでリーグ戦選抜に勝利―第12回関東大学オールスター戦 | ラグビージャパン365

対抗戦選抜が劇的な逆転トライでリーグ戦選抜に勝利―第12回関東大学オールスター戦

2025/07/07

文●大友信彦


7月6日(日)、秩父宮ラグビー場で、第12回関東大学オールスター戦が行われた。

今回は、前週に関西協会100週年記念東西対抗試合に東軍が出場したため、メンバーを振り分けた形となった。

出場メンバーのセレクションにあたっては、対抗戦選抜の大田尾竜彦監督・リーグ戦選抜の福永昇三監督とも、春季大会のパフォーマンスと、各校監督の推薦に基づいて決めたと説明した。

試合は酷暑を少しでも和らげるため、当初14時開始予定だったメインゲームを30分繰り下げ14時30分にキックオフ。

先手を取ったのは対抗戦だ。開始7分、LO荒川真斗(青学大)のパワフルランで相手ゴール前に攻め込むと、8分にFL岡部義大(日体大)が右隅に先制トライ。

対抗戦選抜FL岡部義大(日体大)が先制トライ

対抗戦選抜FL岡部義大(日体大)が先制トライ


対抗戦はさらに10分、SO服部亮太(早大)が高々と蹴り上げたハイパントを起点にPR佐久間翔梧(立大)がトライ。30分には相手キックをHO田中太陽(青学大)がチャージしてCTB佐藤侃太朗(立大)がトライ。17-0と大きくリードを奪った。

対抗戦選抜SO服部亮太(早大)のハイパント

対抗戦選抜SO服部亮太(早大)のハイパント


対抗戦選抜FB増山から⑪池本晴人へ

対抗戦選抜FB増山から⑪池本晴人へ


対抗戦選抜③PR佐久間翔梧(立大)がトライ

対抗戦選抜③PR佐久間翔梧(立大)がトライ



対抗戦選抜LO荒川(青学大)

対抗戦選抜LO荒川(青学大)


対抗戦選抜、いったんボールを奪われたがHO田中太陽(青学大)のチャージで取り返し

対抗戦選抜、いったんボールを奪われたがHO田中太陽(青学大)のチャージで取り返し


対抗戦選抜CTB⑬佐藤侃太朗がトライ

対抗戦選抜CTB⑬佐藤侃太朗がトライ


対抗戦選抜LO荒川真斗(青学大)

対抗戦選抜LO荒川真斗(青学大)



対抗戦選抜FB増山将(筑波大)

対抗戦選抜FB増山将(筑波大)

リーグ戦選抜もようやく目覚め、36分、ラインアウトからCTB12アダム・タマティ(東洋大)の突進を起点にFB浦本明惟がトライ。SO伊藤和樹(大東大)がコンバージョンを決め、17-7と追い上げて折り返した。

絶えず声を出し続けていた東海大応援団

絶えず声を出し続けていた東海大応援団



対抗戦選抜⑧城央祐(早大)のキックチェイス

対抗戦選抜⑧城央祐(早大)のキックチェイス


リーグ戦選抜SH小山田裕悟(法大)と対抗戦選抜SH柴田竜成(明大)

リーグ戦選抜SH小山田裕悟(法大)と対抗戦選抜SH柴田竜成(明大)


対抗戦選抜がみせた「縦十字ライン」

対抗戦選抜がみせた「縦十字ライン」


リーグ戦選抜は35分を過ぎて反撃開始。36分、ラインアウトをLOリモリモが捕ってモールを押し

リーグ戦選抜は35分を過ぎて反撃開始。36分、ラインアウトをLOリモリモが捕ってモールを押し


リーグ戦選抜FB浦本明惟がトライ

リーグ戦選抜FB浦本明惟がトライ


SO伊藤和樹がコンバージョンを決めリーグ戦選抜が7点を返す

SO伊藤和樹がコンバージョンを決めリーグ戦選抜が7点を返す


後半は両チームともリザーブをごっそり投入。これで流れを掴んだのがリーグ戦選抜だ。身長211cmの大巨人LOジュアン・ウーストハイゼン(東洋大)を軸に制空権を握って対抗戦選抜人に攻め込み、44分に相手ゴール前のPKから速攻をかけFL舛尾緑(立正大)がトライ。さらに53分には再びゴール前に攻め込み、ラインアウトからHO丸尾瞬(関東学院大)がトライを決め、リーグ戦が17-19と逆転する。

後半、リーグ戦選抜WTB⑪加藤アディナンが前進

後半、リーグ戦選抜WTB⑪加藤アディナンが前進


リーグ戦選抜WTB山川誠人(関東学院大)

リーグ戦選抜WTB山川誠人(関東学院大)


リーグ戦選抜LOジュアン・ウーストハイゼン(東洋大)のタックル

リーグ戦選抜LOジュアン・ウーストハイゼン(東洋大)のタックル


45分、ゴール前PKからリーグ戦25舛尾緑(立正大)がトライ

45分、ゴール前PKからリーグ戦25舛尾緑(立正大)がトライ


ラインアウトをウーストハイゼンと城が競り合う

ラインアウトをウーストハイゼンと城が競り合う


53分、リーグ戦選抜⑰丸尾瞬(関東学院大)がトライしリーグ戦が19-17と逆転

53分、リーグ戦選抜⑰丸尾瞬(関東学院大)がトライしリーグ戦が19-17と逆転


リーグ戦選抜SH川久保瑛斗(東海大)

リーグ戦選抜SH川久保瑛斗(東海大)

ここから試合はトライの取り合いに。56分に対抗戦WTB白井瑛人(明大)、59分にリーグ戦WTB加藤アディナンがトライを挙げるなど互いにトライを取り合い、リーグ戦が29-33とリードして試合はラスト3分へ。

対抗戦選抜WTB白井瑛人(明大)

対抗戦選抜WTB白井瑛人(明大)


リーグ戦選抜WTB⑪加藤アディナンがトライ

リーグ戦選抜WTB⑪加藤アディナンがトライ


リーグ戦選抜21山川誠人がコンバージョンを決めリーグ戦が26-22とリード

リーグ戦選抜21山川誠人がコンバージョンを決めリーグ戦が26-22とリード



ここでボールを持ったのが途中出場した対抗戦のWTB内田慎之甫(筑波大)だ。自陣10m-22m線の中間付近でボールを持つと、ダブルタックルに来たリーグ戦のHO小泉、ウーストハイゼンの真ん中をスピードで突破。さらにランギ、川久保(東海大)、山川(関東学院大)と、次々と湧いてくるタックラーをスピード&腰の強さで突破し、豪快な70m爆走で右中間へトライ。対抗戦が34-33と逆転する。

77分、対抗戦選抜26内田慎之甫が2人のタックルを突破

77分、対抗戦選抜26内田慎之甫が2人のタックルを突破


さらにFLランギ(東海大)のタックルも突破

さらにFLランギ(東海大)のタックルも突破


右中間にトライ。残り2分半、対抗戦が34-33と逆転した。

右中間にトライ。残り2分半、対抗戦が34-33と逆転した。


逆転トライの内田に駆け寄りねぎらうSH橋本(慶大)

逆転トライの内田に駆け寄りねぎらうSH橋本(慶大)


激戦を物語るスコアボード

激戦を物語るスコアボード


表彰式

表彰式


関東協会・伊藤隆会長から表彰を受ける対抗戦選抜のFL茨木主将(筑波大)

関東協会・伊藤隆会長から表彰を受ける対抗戦選抜のFL茨木主将(筑波大)




リーグ戦も残り僅かな時間で対抗戦陣内に攻め込み、ゴール前ラインアウトからトライラインに迫るが、ここでホイッスル。一瞬、再逆転トライか? と思われたが、判定はノットリリースのペナルティー。対抗戦が34-33で逃げ切り勝利した。

対抗戦選抜SH橋本弾介(慶大)

対抗戦選抜SH橋本弾介(慶大)


対抗戦選抜・大田尾竜彦監督(早稲田大)

大田尾竜彦監督

大田尾竜彦監督


「この試合に向けた2日間のテーマは『このジャージーの価値を上げる』と掲げて臨んだけれど、茨木キャプテンを中心に価値を上げてくれた。メンバー選考にあたっては、体を張れること、接点で戦えることを基準にセレクトして各監督にご理解いただきました。選手はみなアタック能力があるので、ディフェンスをしっかりやることを前提に練習して、あとは選手に任せました」

MVPには劇的逆転決勝トライの内田(筑波大1年)が選ばれた

MVPには劇的逆転決勝トライの内田(筑波大1年)が選ばれた


――MVPを受賞した内田の逆転トライについて


「試合のイメージは前半ゲームをしっかり作って、後半はスピードのある選手を投入してゲームを動かしたいと思った。内田の走りは非常に魅力があるので、自分の間合いで持てれば走れるんじゃないかと思っていた。後半から入って、出だしは堅かったけど、最後は自分の力を出してくれた」

次々とタックルを交わす内田

次々とタックルを交わす内田

対抗戦選抜・茨木颯主将(筑波大)

茨木颯主将

茨木颯主将


「対抗戦選抜のメンバーが支えてくれたおかげでここまでできた。厳しい試合でしたが、勝ちきることで、対抗戦選抜のジャージーの価値を上げることができたと思います。普段は一緒にプレーできない選手たちと2日間、仲を深めて、場面場面でハイタッチしたり、良い雰囲気で試合ができました」


――決勝トライを決めた筑波大の後輩、内田選手について


「内田はそんなに盛り上がるタイプじゃないんですけど、今日は彼の誕生日で、筑波大のみんながスタンドからお祝いしてくれて、驚きました。厳しい試合だったけど、内田のトライで盛り上がって、チームに良い雰囲気をもたらしてくれたと思います」

リーグ戦選抜 福永昇三監督(東洋大)

福永昇三監督

福永昇三監督


「準備できたのは前日練習だけでしたが、『こころをひとつに』というテーマでこの試合に臨みました。選手だけでなく応援団もグループLINEを作って、リーグ戦とラブの『L』のポーズを決めて、みんなでこの試合を楽しむ気持ちで臨みました」


「選抜にあたっては、各校の監督に1~2週前に連絡して、推薦していただいたうえでこちらの希望もお伝えして選びました。ボールキャリー能力のサポート能力のバランスが良くなるように、一人一人の個性を見て、ランナーが優位になるよう、オフロードでも戦えるようにやりましょうと。今回はコミュニケーションをとるのが得意なメンバーがたくさんいた。特に後半のメンバーに多かったのが試合に現れたと思います」

リーグ戦選抜 ステファン・ヴァハフォラウ主将(東洋大)

ステファン・ヴァハフォラウ主将

ステファン・ヴァハフォラウ主将


「暑い中でしたが、こんなに素晴らしい選手たちと一緒にプレーできる機会はなかなかない。応援のみなさんのおかげもあって良い試合ができたと思う。前半は自分たちのミスで点を取られてしまったけれど、点差を気にしないで自分たちの力を出せば行けると思っていた。後半のメンバーがいいインパクトを出してくれました」


――ここ数年、リーグ戦勢は対抗戦勢に成績面でも押されているが、そこに対する思いは

「この何年間か、リーグ戦に元気がないということはみんなの間に情報としてあったし、今年はリーグ戦が盛り上がるようにしていこうという同じ方向に進んで、全員が自分のやるべき仕事をやってくれた。あと一歩で勝てなかったけれど、リーグ戦としてすごく自信になる試合ができた。秋からのシーズンも盛り上げていきたいです」

大友信彦
(おおとものぶひこ)

1962年宮城県気仙沼市生まれ。気仙沼高校から早稲田大学第二文学部卒業。1985年からフリーランスのスポーツライターとして『Sports Graphic Number』(文藝春秋)で活動。’87年からは東京中日スポーツのラグビー記事も担当し、ラグビーマガジンなどにも執筆。

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