30日、第25回全国高校選抜ラグビー大会決勝・大阪桐蔭(大阪)と石見智翠館(島根)の一戦が熊谷ラグビー場で行われ、55-3で大阪桐蔭が完勝。11年ぶり2度目の優勝を果たし、今季「1冠目」を獲得した。
前半6分、大阪桐蔭がNO8大門一心のトライで先制すると、石見智翠館はWTB久住誓蓮のゲインからフェイズを重ねるとPKを獲得。FB新井竜之介が決める。
19分、再び石見智翠館がPGを狙うも決まらず。すぐにゲームをリスタートした大阪桐蔭。石見智翠館が自陣からアタックをスタートするが、自陣10m付近でノックオン。アドバンテージがある中で大阪桐蔭がアタック。フェイズを重ねWTB水島功太郎がトライ。大阪桐蔭は前半終了間際にSO上田倭楓がPGを決め15-3とリードして前半を終えた。
後半の入り、大阪桐蔭が相手のミスからボールを奪うとSH川端隆馬がトライ。さらに6分、PR原悠翔のトライで29-3とリードを広げる。15分、大阪桐蔭は敵陣ゴール前のマイボールスクラムからサインプレーを見せてSH川端が大きく左オープンサイドにラン。上田、名取とつないで最後はWTB水島功太郎がトライ。
直後の石見智翠館のアタック、HO岩谷竜太郎の突破から、SH柴崎につながりゴール前に迫るが、大阪桐蔭WTB馬場敦輝がタックル。柴崎がボールをキープできずノックオン。チャンスを活かすことができなかった。
その直後、大阪桐蔭は自陣からアタック。後半出場のCTB竹之下誠仁が60m以上を独走しトライ。試合を決めた。この後も大阪桐蔭は2つのトライを積み上げ、後半だけで6トライを決めて試合終了。
大阪桐蔭 綾部正史監督
3本くらいが勝負かなと思っていたが、後半の最初のトライがうまいところ取れたので、自分たちの形を出せれば取れるとわかったのではないか。しっかりと身体当てていましたし、受けるのではなく攻撃的にディフェンスをしよう、チャンスがあればどんどん仕掛けていけと話していた。(予想以上に選手たちのパフォーマンスが良かった)良かったですね。昨日も智翠館と合同練習をしたのですが、バテてくれて良かったですね(苦笑)。
――FWが頑張った
今年は特にFWが「バテたら勝てる」がキーワード、合言葉で、バテろと言っている。走って走って、ひたむきにハードワークして、派手な選手がいないので、おとなしいので、前向きな表現をして身体を動かしていけば、あとはBKお願いしますという感じです。
生きた球をBKに提供するのがBKの仕事ですし、スクラム、ラインアウトが後手にならず、今日はブレイクダウンだという話をした。FWが頑張ってくれればBKが活きる。今日もFWがバテてくれて良かった。
――FWの手応えは
なかったですが、近畿大会の仰星戦くらいからです。ひたむきに基本プレーをしっかりやってきた。
――2度目の選抜大会優勝です
何も実感ないです。最後、智翠館やったので、この舞台でやろうと安藤先生と20数年やって、昨季も花園でも対戦させてもらって、上を目指してやってきたことが今日実現したのですごく嬉しかった。
――追われる立場です
鍛えるだけなので大丈夫です。
大阪桐蔭 CTB名取凛之輔主将
春、日本一というタイトルが取れて嬉しい。みんなに決勝まで行ったら坊主にすると言っていて、昨日、川端くんが剃ってくれました。気合いいれたいなと思って坊主にさせてもらいました。
――ディフェンスが良かったですね
ほんまに5試合通して、今日が一番前半の入りが良くて、強みとしているボールを大きく動かすことやFWが走り出すなど自分たちの強みが一番出せた試合だった。
――ターンオーバーからのトライも目立ったが
智翠館はボールを大きく動かしてくるので、ディフェンスで走って泥臭くハードワークするだけだった。コミュニケーションを取って身体張って走ることができた。今日は「楽しんで全員でバテる」をキーポイントにして臨んだ。前半10分、圧倒しようとして、もっと行けると思った。全員がディフェンスで、60分フルファイトできたかなと思います。60分のノートライだったのは自信になりました。
――一番いい試合?
スコア見てもわかるように、本当に5試合目だったが一番いい試合ができた。智翠館は仲良くさせてもらっていて慣れている部分もあったが、リスペクトして自分たちの強みが出せた。
――冬に向けて追われる立場になります
過信せず、まだまだ僕たちはチャレンジャーなので、府大会で勝って、花園の切符を取って、花園で優勝できるように、1つ1つ積み上げていきたい。
大阪桐蔭 NO8大門一心
自信をもって、思いっきり自分のプレーをぶづけようとした。僕たち、昨季よりサイズはないが、走ったりタックルなど細かいことできると思うので、そこを磨いて小さいことができるようになろうと思っている。
――バテたら勝てるとはいつから言っている?
準々決勝くらいから言っていた。FWがバテたら勝てる、FWバテるまで頑張ろう、バテながら走って笑う、と話していた。今日はそれができた。
――花園に向けて
日本一は初めてで自信にはなりました。チャレンジャーであることは変わらないので、過信せずに次にぶつかるときも全力でやるだけです。
大阪桐蔭 SH川端隆馬
――後半最初のトライ
名取くんからボールもらったんですが、全力で走りきって取り切りました。自分でもいいプレーが出せたかなと思います。キャプテンが一番声出してくれているが、去年からスタメン出ていたので自分からも声出してプレーした
――前半2つ目のトライも良かった
後半も速いテンポで出してくれていたので、スペースを見て、すぐ仕掛けて(パスをして)トライにつながったと思います。
――FWの強みは?
去年よりフィジカル面は弱いがフィットネス、走る量は今年の方が多い。身体が小さい分動けている。今年は速さで行こうと言っていて、すぐに球出せと言っていて、今日は速いテンポで前半、後半もいけた。昨年はフィジカル任せでゲインできていたが、そこは走ってテンポですぐに出そうと練習から意識していた。
――追われる立場となりますが
コミュニケーションと、みんなが60分走って、常にしゃべることができたから日本一になれた。ここで日本一になって天狗にならんと、謙虚になって冬の花園に向けて日本一を取りに行きたい。この後、サニックスも大阪総体もあるので頑張りたい。僕がキャプテンの気持ちで、キャプテン任せにならないように、一番声を出すように意識している。
――花園はハーフ団の差で負けたが、春はハーフ団がチームを引っ張った。
昨季は桐蔭学園にベスト4で負けて、自分から強気でゲームを作ろうと意識した。あの悔しさを知っているからこそ名取、上田とみんなで勝ち取れた。
――上田と常にコミュニケーションしている
バスでもご飯でも常に一緒で、仲がいい。
――野球部と仲がいい?
ラグビー部と野球部はみんな仲良くて、同時優勝しようと話していたが、野球部がベスト8で負けてしまったので、絶対優勝するから任せてくれと今日、ここに来ました。(野球部に)「こっち勝っているのに、何負けてんねん、夏、甲子園で優勝しろ」と言いたいですね(笑)。
――セブンズも取れば3冠も狙えるのでは?
大阪桐蔭は昔からあまりセブンズやっていないが狙いたい。
大阪桐蔭 SO上田倭楓
ホッとしていて嬉しいです。FWを当てていくとか、キック蹴っていくとか基本プレー中心に組み立てていた。(花園に向けて)100点満点じゃないですし、まだまだここは通過点で、9番、10番中心に積み上げていきたい。
石見智翠館 出村知也監督
1枚も2枚も相手のほうが上だった。ここで2トライ差、10点差で負けるより、これが僕らの実力だし、追いかける背中は遠くて大きいほうがいいかなと思うので、冬までまだまだ時間はある。帰ってしっかり走って鍛えて、背中を追いつけるように頑張りたい。
――前半から積極的に選手を交替させたことについて
暑さもありますし、強い相手と戦ってきて連戦の子が多かったし、大阪桐蔭さんはフィジカルも強いので、どんどん変えてフレッシュに走りたかったが、それ以上に強かった。完敗です。どうにかしてやろうという焦りが選手の中に見えて、今までしたことのないオブロードパスがあったり、こっちがコントロールできなかった。映像見返して伝えることができたらと思います。
――花園に出場するとシード校になることについて
シード校には恐れ多いが、それにふさわしいようにもっと鍛えていきたい。新1年生が入ってきて、100人規模になるが、全員が智翠館のラグビーができるように頑張りたい。
石見智翠館 NO8祝原久温主将
(大敗だったので)悔しいも出てこなかったです。強かった。でも前半は手応えがあったので、それをどうつなげていくかだと思った。
――相手のディフェンスについて
相手のFWが前に出て、つながったディフェンスはすごいなと思った。60分、ずっと同じようだったのですごいなと思った。
――5試合目で疲れもあった?
みんな疲れもあたtsひ、けが人もいたが、それは大阪桐蔭さんも一緒なので。
――今後に向けて
まずはオフの過ごし方と、オフが終わった後の練習の入りから変えていきたい。