1月27日、都内になるラグビーダイナー・ノーサイドクラブで「ノーサイドライブvol45・シーズン総括座談会」が開催。ラグビージャーナリストの村上晃一さん、ラグビー博士の小林深緑郎さん、Webマガジン「RUGBYJAPAN365」スーパーバイザーでスポーツライターの大友信彦さんの3氏が今シーズンを振り返った。
「小林さん、今日喋るんですよ!」
普段は旬な選手が出場するイベントに対し、「今回は地味なメンバー」という回と思われたが、どっこい会場は満員御礼。村上さんの軽快な進行と、大友さんの現場取材での貴重な話、そして何と言っても、深緑郎さんの圧巻の情報量と独特の「間」でスタートから会場は笑いが絶えない盛り上がり。今回は、2時間のトークイベントの中から、前半戦を特別に再録、掲載が決定。たっぷりとお届けします。
村上さん(以下、村上) 大友さんは女子をたくさん取材されていますが、女子セブンズ、ワールドシリーズシドニー大会のプール戦でイングランドに勝ちましたね。
大友さん(以下、大友)勝ちましたね。(会場から拍手)
村上 これは快挙といっていいですか。
大友 女子ラグビーでイングランドと言えば、ずっと世界をリードしてきたチームですからね。今はニュージーランドとかに比べると少し力が落ちていますが、(勝利したことの)価値が下がることではないです。本当にギリギリの試合を勝ち切ることができたことで一つずつレベルアップしていくと思うので快挙と呼びたいですね。
村上 女子ラグビーの日本代表の強化はうまくいっているということでしょうか。
大友 すべてがうまくいっているわけではないし、なかなか思うような結果が出ない状況が続いていますが、高校生を中心にいい選手がどんどん育ってきて、着実に選手層は厚くなっています。世界中のチームが強化しているので3年後のオリンピックでメダルを取れるかどうかというのはまた別の話になってしまいますが。力は少しずつは上がっていると感じています。
村上 小林さん、今日喋るんですよ! まずは開幕間近となったシックス・ネーションズについてお聞きします。
小林さん(以下、小林) ……今年のシックス・ネーションズはどこもケガ人だらけで。第2節までは何が起こるかわからない! なぜかというと、各国とも来年のワールドカップがターゲットになってきて、今年のシックス・ネーションズはそんなにシャカリキで優勝しようという感じではない。若手選手を起用して選手層を厚くしてけが人出てもカバーできるように経験を積ませたいという感じがにじみ出ています。
3連覇を狙うイングランドの初戦はイタリアですが、左PR(マコ・ヴニポラ)とNO8(ビリー・ヴニポラ)がケガで出られるか微妙なので、ここに新人を使ってくると思います。スコットランドは調子が良かったんですけど、ここも右PRのWPネルと、あと3人くらいがいない。
日本にとって気になるのは、スコットランドとアイルランドですが、どちらもチームとしては上り調子。シックス・ネーションズでけが人は出ていますが、ワールドカップには問題ない。スコットランドの新監督・グレゴアー・タウンゼンドはいいですよ。
今、世界で話題になっているのが「プロジェクトプレーヤー」といって、他国出身の選手を国代表として出場できるように計画的に育成することなんですが、スコットランドでは国内の選手に出場してほしいという気運が高いですね。
現在の規定は3年居住で代表資格が得られて、2020年からは5年になりますが。5年かけて国代表として準備していくようになります。元々はオールブラックスがやっていたんですが、日本ではみんな知らないでしょ(笑)。高校生の時にトンガやサモアの若い選手をエージェントがスカウトしてニュージーランドに留学させるんですね。
大友 ジョナ・ロムーはトンガ出身だし、ジョー・ロコゾコはフィジー出身ですしね。
小林 でも、スコットランド国民はそうしたがらない。NZ出身のFLがちょっとした事件をおこして、これをきっかけに、彼よりもスコットランド育ちの選手を使えという論調が強い。
村上 小林さんの話、なかなか止めづらいんですよね(笑)。では、ここまでが導入部分として今回はシーズン総括なので、トップリーグを多めに話していきましょうか。