1月27日、NTTジャパンラグビーリーグワン、ディビジョン1、リコーブラックラムズ東京は、ホーム・駒沢にクボタスピアーズ船橋・東京ベイを迎えた。試合はロースコアの展開で最後まで息詰まる展開だった。
先制したのはブラックラムズ。前半12分、SOアイザック・ルーカスとHO武井日向の突破からWTBシオペ・タヴォがトライ。するとクボタは前半20分、敵陣ゴール前のラインアウトからモールで押し込みポイントを作ると大外のWTB根塚洸雅までボールを展開しトライ。5-5の同点とした。
WTBシオペ・タヴォの先制トライ
HOデイン・コール
WTB根塚洸雅が1対1の局面でゴールへ
WTB根塚洸雅がトライを決め同点に
24分、リコーは敵陣ゴール前でFL松橋周平、LOアマト・ファカタヴァそしてHO武井日向と強いボールキャリーでゴールラインに迫ると、最後はWTBネタニ ・ヴァカヤリアがトライ。10-5とブラックラムズがリードして前半を終えた。
突破を試みるCTBテアウパ・シオネ
後半4分、スピアーズはSO立川理道がHIAのため一時退場、岸岡智樹が入る。ブラックラムズも20分を過ぎてPR陣のリザーブメンバーを投入。PR中村公星は初キャップを飾った。
26分、スピアーズは自陣でペナルティーを獲得。岸岡がロングPKで敵陣深くに入り込むとこのチャンスを活かし、再びWTB根塚洸雅がトライをきめて10-12と逆転に成功する。34分にもスピアーズはゲラード・ファンデンヒーファーがPGを決め10-15と5点差で残り5分とする。
9番で出場するプランだった岸岡智樹が急遽10番で出場
FL松橋周平
FBマット・マッガーン
ネイサン・ヒューズ
追いかけるブラックラムズは後半39分、敵陣ゴール前のラインアウトからモールを押し込むとスピアーズがコラプシングのペナルティ。さらにペナルティートライがブラックラムズに与えられ17-15と土壇場でブラックラムズが逆転に成功した。
後半39分ブラックラムズがモールを押し込み・・・
ペナルティートライ!
残りはほぼない状況の中、最後のキックオフボールをブラックラムズがキープ。このまま勝負あったかと思われたが、ホーンがなったと同時にブラックラムズがノットリリースザボールの反則。ゲラード・ファンデンヒーファーがPGを決めて試合終了。17-18でスピアーズが劇的な逆転勝利を収めた。
ゲラード・ファンデンヒーファーがPGを決めスピアーズが逆転
スタジアムには7,608名の観客が訪れた
この試合のPOMは2トライを決めた、WTB根塚洸雅(クボタスピアーズ船橋・東京ベイ)が選ばれた。
HIGHLIGHT
クボタスピアーズ船橋東京ベイ フラン・ルディケHC
フラン・ルディケHC
まずはリコーさんに感謝したい。こういういい試合をしてくれてお客様はハッピーだと思いますし、プレッシャーがかかる戦いだったと思います。結果的には最後のワンプレーで自分たちのハードワークが実ったことは嬉しい。ゲラード・ファンデンヒーファーのキックも良かったですし、リコーさんもギブアップせずにすごくディフェンスの強いチームだった。
――2連敗から2連勝した要因
プロセスに感しては同じことをやり続けていました。開幕のサントリー戦ではワールドカップから戻ってきた選手が合流した状態だったので、やりたいことがやりきれなかったというところがありましたが、その後の試合ではいいプレーが続いていましたし、ホンダ相手には70点取ることができました。(敗れた)レヴズ戦と東芝戦も最後まで競っていたと思いますし、チームとしてはよくなってきていた思います。特に直近2週間のところでパフォーマンスの一貫性が見られるようになってきた。
立川理道
――具体的には
具体的には規律、ペナルティが非常に多いところ、スクラムでもレフェリーのコールが相手になったということもありましたが、とにかくペナルティーを含めベーシックなところ、セットピースもそうですし、カウンターとかストラクチャーとか細かなところを微調整したところがきっちりできていたので、仲間を信じる力だったし、メンタル的なところも含めて改善が見られていたと思います。
――クロスボーダーに向けて
気持ちとしてはエキサイティングな気分でいますし、よい機会だと捉えています。ただ3週間というオフの期間は長いので、シャープであるために、若手中心にはなるんですけど、キープレーヤーを出しつつも若手を交えてベストメンバーで挑みたい。
――立川理道キャプテンがHIAで退場しなければならなくなったことについて
彼はリーダーグループをさらにリードしてくれるような選手なんですけど、彼が退場となった、その後はラピースが出てきてリーダーグループをまとめてくれました。岸岡(智樹)選手もここ何試合かは9番として出場していたんですけど、今日みたいなビッグゲームで(急遽)10番としてしっかりやってくれたことに関して誇りに思います。
またこれから若くて才能ある選手たちがしっかりステップアップしてプレッシャーのある状態で良いパフォーマンスをしてくれたというのも嬉しく思っています。
藤原忍
――80分フル出場したSH藤原忍選手について
彼に関しては、試合に長い時間出れば出るほどパフォーマンスが良くなるタイプなんで、今までは谷選手と50分、30分だったり、ローテーションで回していたんですけど、出場時間が長くなればなるほどゲームコントロールのところとチームを前に出すところが良くなってきている。特に(前節の)神戸戦からすごく良くなっていて、今日もタフな試合でしたが、9番、10番、15番は大事な場面でしっかりゲームをコントロールしてくれましたし、判断も良かったのでこのような結果になったと思います。
――相手にペナルティートライを与えてしまいました。セットプレーについて
おっしゃるとおり、セットプレーはすごく大事なところですが、リコーさんもすごくプレッシャーをかけてきてすごく良い学びがありました。まだ映像を見ていないのでこれからですが、どういうところを修正していくのか、微調整しなければならないと思っています。
クボタスピアーズ船橋東京ベイ FLピーター・ラブスカフニバイスキャプテン
ピーター・ラブスカフニ
本当にフィジカルな戦いだったと思いますし、FW、BK、もちろんミスもあったんですけど、最後勝利という結果になったことを誇りに思いますし、両チーム最後まで、やり合ったと思います。私自身も試合をエンジョイできましたし、こういう試合ができたことに感謝したいし、誇りに思います。
――ブラックラムズのディフェンスは想定よりも良かった?
もともと相手はフィジカルが強いというのは想定していましたので、そういう意味では予想外のことはなかったです。
リコーブラックラムズ東京 ピーター・ヒューワットHC
ピーター・ヒューワットHC
まずはクボタさんに勝利おめでとうと伝えたいと思います。またうちの選手たちにも今日はよくやったと伝えたい。今日は本当にクリアなプランをもって挑んで、残り5秒というところで勝利は掴みきれませんでした。あそこまでやり遂げてくれた選手たちを本当に誇りに思います。ロッカールームではかなりがっかりした様子でしたが、もう前に進むのみだと思うので次に向けていきたいと思います。
――負けてしまったものの強みの部分は出せていたのでは。あとはフィニッシュの精度のところがもう少しという感じでしょうか。
今日の試合は少しメンバーチェンジもして、少しフィニッシュのところが決まりきらなかった。クボタはビッグチームなので、セットピースを続けていくわけにはいかないので、できるだけボールを動かして、動かせば動かすほど、ミスの確率は上がるというのはあると思いますが、そういうことも受け入れつつ、うまく試合を運べていましたが、最後のところをもう少しうまくしていったら良かったかなと思います。
――武井キャプテンは久しぶりに試合出場となりましたが、チームに対する存在感は
もちろんチームのキャプテンですので、このチームのDNAをしっかり表せる選手だと思います。日向に関してはアクションを通じてみんなを引っ張って言ってくれます。久しぶりの試合でありながら、80分間戦ってくれたというのは、それだけチームのことをだいじにおもってくれているのかなと思います。
――接戦を勝ち切るためには
すごく若い選手が多いチームで、ラグビーをプレーしたいというのが強いメンバーなので、接戦の試合が多いという声も聞こえますが、やはりこういったビッグゲームでは経験というものも重要なのかなと思います。最後、そのまま締めることができるのか、経験が増えれば増えるほどそういった方法を見いだせたり、わかってくるのかなと思います。自分たちの選手もチームでしっかり成長させてインターナショナルレベルにいけるようにやっていきたい。そこまでたどり着けばまたそこで得られる経験というのもあるかなと思います。経験は急にスイッチを押したら増えるものでもないので。
リコーブラックラムズ東京 HO武井日向キャプテン
武井日向キャプテン
最後の最後で結果を逃してしまったのは本当に悔しいですし、正直、負けていい試合は欲しくなかったので、勝利が欲しかったというのはあります。ただ、ここは自分たちがまだ成長できるポイントでもあるし、成長していかなきゃいけないポイントだと思うんで、まだシーズンも長いので、こういう接戦をものにしていくチームに仕上げていきたいと思います。
ただやっているラグビーだったり、そういう部分は正しい方向に進んでいますし、前に進んでいると思うんで、自分たちのラグビー、やってきたことを改めて信じて、最後の最後、突き詰めて次の試合から頑張りたい。
――負けてしまったけどポジティブなところも多い試合だったのでは
スクラムでは安定して組むことができて、しっかりボールをBKに出せたと思いますし、チャンスだったり、ピンチのときのマインドセットも良かったと思います。ただ、無理にいってしまってそれがペナルティーとなったスクラムも実際あったんで、そういうところはもうちょっと詰めていかないといけない。
負けましたけどネガティブな部分ばっかりじゃないと思うんで、本当に精度のところは改善しなきゃいけない部分だと思います。ただ良い部分をしっかり継続してさらにレベルアップしていきたい。試合を重ねるにつれて良くはなっているけど、やっぱりミスを僕たちは続けてしまうことがあるので、そういう部分やミスをしても次の仕事をしっかりやりきるというところはまだまだレベルアップする必要があると思っています。
――80分フル出場したということは特別な責任感があった?
毎試合僕はブラックラムズのために戦おうというのは思っていますし、それを一番体現しようというのは自分の中のテーマではあるんで、そういう意味で特にクボタだからというわけではないですね。リーダーとして他の選手が自信を持ってプレーさせたいし、自分たちができるという自信もつけたいというのがあるんで、そういう声がけをしたりしています。