女子ラグビーの日本一を決めるサーキットシリーズ「太陽生命ウィメンズセブンズ2024・第2戦熊谷大会」は21日、大会2日目を迎えた。12チームの頂点を決めるファイナルに進出したのは、東京山九フェニックスとパールズの2チーム。フェニックスが勝てば2022年シーズン以来のタイトル獲得。パールズは第1戦・北九州大会に続き2大会連続のファイナル進出となった。
先制したのはパールズ。自陣ゴール前で粘り強いディフェンスからボールを奪うと庵奥里愛がそのまま100m独走トライ。村田彩乃のコンバージョンも決まって0-7。

前半3分・自陣ゴール前で庵奥里愛がボールを奪い

そのままブレイク。ゴールまで走りきりトライ
対するフェニックスもすぐさま松村美咲が同じく自陣ゴール前から突破。追走してくる、パールズ5番モニーク・コフィを振り切りトライ。自らゴールも決めて7-7の同点とした。

前半4分・フェニックス松村美咲が同じくゴール前からブレイク

コフィの追走を逃げ切りトライ
さらに6分、岡元涼葉のトライでフェニックスが14-7とリードして前半を終えた。

前半終了間際の6分、フェニックス岡元涼葉がトライ

フェニックスが14-7とリードしてハーフタイム
後半互いにスコアがないまま迎えた3分、松村美咲が仕掛けて外にスペースができるとボールを素早く展開。野原みなみがジャネット・オケロに追走されるも逃げ切りトライ。19-7とリードを広げた。

松村美咲が仕掛けて

野原みなみが逃げ切る

ジャネット・オケロのタックルをうけながらも野原がトライを決めた
パールズも今大会絶好調のジャネット・オケロが自陣深くから外側をブレイクしてトライ。19-12と7点差に迫った。

後半5分・パールズのジャネット・オケロが自陣深くからブレイク。ハンドオフで尾崎夏鈴をふりきる

ジャネットがそのまま走りきりトライ

直後のキックオフをモニーク・コフィが確保しマイボールとする

古屋みず希がスペースに走り込む
試合はそのままノーサイド。19-12で東京山九フェニックスが勝利し、年間優勝をした2022年シーズン以来の大会優勝を飾った。

また今大会のMVPには、松村美咲(東京山九フェニックス)が選ばれた。

大会MVPには松村美咲(東京山九フェニックス)が選ばれた
東京山九フェニックス 岡元涼葉キャプテン

とにかく嬉しいです。前回パールズに負けていて、これまでもパールズにはなかなか勝てなくて悔しい思いをしていました。またメンバーも変わって、よりレベルアップしたフェニックスで戦えたかなと思っています。
――北九州大会から修正した部分は?
組織的なディフェンスのところとかは、15人制メンバーとかセブンズの代表の人が帰ってきたときに相手をしてもらって、フェニックス全員で練習してきました。
――北九州大会ではトップ8に入るときも苦しみながらという状況でしたが、今回はプール戦首位で通過できたのは?
前回の負けを無駄にせずに1試合1試合、眼の前の試合を全力で挑めたことが前回とは違って3勝できた理由かなと思っています。
――新しいメンバーではサバナ(ボッドマン)も今大会はすごく元気でした!
サバナは本当に元気いっぱいでチームをいつも盛り上げてくれています。(コンビネーションも良くなった?)練習でも一緒に合わせる回数が増えて、フィールド外でもたくさんコミュニケーションとって、もっとこうしてほしいとか、そういうのもみんなで喋り合って合ってきているので、もっとレベルアップしたラグビーを第3戦、第4戦ではお見せできるかなと思っています。
――(大黒田)裕芽さんや(古田)真菜さんといったメンバーも入ったことでうまく昨日した部分はありますか。
もちろん北九州でも一番いいメンバーで臨んだんですけど、裕芽さんや真奈さんとかはすごく経験値があるので、精神的なサポートというか安心感が私にはありました。
――プレーでチームを引っ張るなと見ていて思いましたが、そういう部分は意識されていますか。
今共同キャプテンをしているんですけど、今大会はキャプテンということで、ちょっと緊張した部分もあったんですけど、声をだして、プレーでもしっかりこれまで先輩たちに本当に引っ張ってきてもらった分、ちょっと成長しないとなというふうに思って、誰よりも走り続けてタックルしようと思っていました。
――昨年まではニア(・トリバー)選手がいてバンバン走ってトライをとっていましたが、今年はいません。
スピードで取り切れる選手がいないので、その分、グラウンドに立っている7人全員がちょっとずつちょっとずつ前に出て、というような去年とはちがったラグビーで楽しくやっています。

――フェニックスは海外だったり、チームとしていろんなチャレンジをしていますが、そういうチャレンジングな環境にいることでプラスになっていることは
外国人のチームとプレーする経験は私自身もフィジカルに自信が持てたり、スピードも全然違うんでそこは大きいかなと思っています。日本人の選手よりもやっぱり外国人の選手はフィジカルがすごく強いので、そういう人たちと試合をどんどんやることで、太陽生命でもこれまでは結構外国人選手に「ビビっていた」ところもあったんですけど、そういうところが、多分みんなも私もなくなってきたんじゃないかなと思います。
東京山九フェニックス 松村美咲(MVP)
香港に行ったメンバーも帰ってきて、もう1回自分たちがどういうラグビーをするのかというのを細かく練習中に一つ一つ丁寧に確認しながら(今大会にむけて)準備をしてきました。

MVP発表の瞬間
――ご自身のプレーはどうでしたか
北九州大会では全く自分の思い通りのプレーができなかったので、この2週間で自分は何を変えなきゃいけないかというのをしっかり明確にして、絶対この熊谷大会では出し切るというのを決めてやりきれました。
――何を変えましたか?
ちょっと体が重かったので、2週間でしたけど、食事とか有酸素運動とかを変えたのと、前の試合の動画を全部細かく見て、この状況のときはどういうプレー選択が良かったのかとか、自分がうまくプレーできるようなイメージをしながら準備しました。
前回の北九州大会では結構ゴールキックの成功率が悪かったので、ゲーム形式の練習をして疲れている状態で練習の合間の時間を使ってキックの練習をやっていました。
――15人制の代表を目指していると思いますが、このセブンズをどう捉えてやっていますか?
15人制と同じくらいセブンズもすきなので、楽しみたいなと思っています。
――香港のメンバーが帰ってきて準備段階で何か変えたことはありますか。
チームとして特にやることを変えたりはしていないんですけど、メンバーが帰ってきて精神的にすごく心強い部分もありましたし、やっぱりコミュニケーションが増えたというのはあったと思います。

――北九州ではボールを運ぶ役割もしてましたが、今回は大黒田さんがその役割をしてくれて、やりやすさとかはありますか。
本当にやりやすいし、プレーしていて本当にたのしいですね。
――コンバージョンキックの時に蹴り終わってもボールの軌道を見ずに下をみているのはルーティンですか。
すぐ顔上げちゃうとボールがブレちゃうのでそこはもうずっと意識しています。
太陽生命ウィメンズセブンズ2024・第2戦熊谷大会最終成績
熊谷大会の最終順位は以下のとおり
1位 東京山九フェニックス


2位 パールズ


3位 YOKOHAMA TKM


4位 日本体育大学ラグビー部女子

5位 ながとブルーエンジェルス

6位 自衛隊体育学校PTS

7位 アルカス熊谷

8位 ナナイロプリズム福岡

9位 追手門学院VENUS

10位 チャレンジチーム

11位 横河武蔵野アルテミ・スターズ

12位 日本経済大学アマテラス

第3戦・鈴鹿大会のプール組み合わせ

パールズ、ながと、ナナイロが同じ組のプールBはまさに「死の組」だ