第50回日本選手権が開幕、帝京大がクラブ王者六甲ファイティングブルに勝利し2回戦へ、筑波大はコカコーラウエストに敗退 | ラグビージャパン365

第50回日本選手権が開幕、帝京大がクラブ王者六甲ファイティングブルに勝利し2回戦へ、筑波大はコカコーラウエストに敗退

2013/02/03

文●大友信彦


2月2日、第50回日本選手権が開幕。東京・秩父宮ラグビー場では、大学選手権優勝の帝京大が全国クラブ王者の六甲ファイティングブルと、大学選手権準優勝の筑波大がトップチャレンジ1位のコカ・コーラウエストと対戦した。

前半からコカコーラウエストが圧倒

前半、突破を図る筑波大WTB彦坂匡克

前半、突破を図る筑波大WTB彦坂匡克

第1試合は筑波大対コカ・コーラウエスト。開始4分、自陣のターンオーバーからキックで攻め込んだ筑波大が、SO片桐康策が正面22mのPGを決めて先制。しかし9分、筑波大陣内で相手の落球に鋭く反応したコカ・コーラウエストCTBエリオタ・サポルが拾い、右へロングパスを通し、FLジョニー・ファアマトゥアイヌがインゴールに走り込んで逆転。

さらに21分にもCTB山口真澄、26分にCTBサポル、38分にはFLファアマトゥアイヌが2本目のトライを加える。筑波大は自陣からも積極果敢にボールを動かし、WTB彦坂匡克がたびたびビッグゲインを見せたが、公式戦では初対戦となる社会人勢のプレッシャーに苦しみ、ハンドリングエラーが続く。対するコカ・コーラウエストは、両外国人選手の突破力を前面に出して、前半を28-3とリードした。

 

 

コカ・コーラFB原留を止める筑波大CTB中靏

コカ・コーラFB原留を止める筑波大CTB中靏

 

前半38分、コカ・コーラFLファアマトゥアイヌのトライ

前半38分、コカ・コーラFLファアマトゥアイヌのトライ

 

後半、筑波大は見せ場をつくるもコカコーラ・ウエストDFを敗れず

後半19分、筑波大SH内田啓介がトライ

後半19分、筑波大SH内田啓介がトライ

しかし後半は筑波大も見せ場を作る。
15分の正面PGチャンスは交代で入ったSO樺島亮太が惜しくも外し、逆に、攻め込んだコカ・コーラウエストは交代で入ったSO南里新がトライ。

しかし20分には、自陣からWTB彦坂匡克のビッグゲインを起点に、筑波大SH内田啓介がゴール前の密集サイドを突き、コーラNO8豊田将万主将のタックルを外して初トライ。

22分には、互いにファンブルしあった崩れた状況からファアマトゥアイヌがハットトリックとなる3本目のトライを決めるが、筑波大も31分、ゴール前の混戦からPR古賀太貴がトライ。15-42と追い上げる。

さらに、残り時間も攻めようとした筑波大は、自陣でもリスク覚悟で攻撃に出るが、コカ・コーラウエストの防御をなかなか破れず。逆に終了直前の39分、この日大活躍のファアマトゥアイヌのラストパスでFB原留大祐がとどめのトライ。コカ・コーラウエストが47-19で筑波大を下した。コカコーラは次週10日の2回戦で、神戸製鋼と対戦する。

 

 

ビッグゲインでチャンスを作ったコカ・コーラウエストWTB小柳

ビッグゲインでチャンスを作ったコカ・コーラウエストWTB小柳

 

コカ・コーラSH香月が突破を図る

コカ・コーラSH香月が突破を図る

コカ・コーラウエスト 山口智史ヘッドコーチ
「今シーズン2度目の秩父宮ですが、大学生が相手の試合はただでさえ難しい上に、先週、今シーズンの大目標だったトップリーグ昇格を決めたばかりで、連戦の難しさ、モチベーションの難しさを感じました。これはスタッフの責任で、選手のパフォーマンスに関しては納得しています。来週は、トップリーグに上がるチームだということを証明する試合をしたい」

筑波大No8山本の突破

筑波大No8山本の突破

筑波大 古川拓生監督
「大学選手権決勝ではやりきれなかったことをやりきろうと、ディフェンスではインサイドブレイクをさせないこと、アタックでは1対1の勝負で勝つことをテーマにして試合に臨みました。互いにボールを動かすチームだったけれど、我々の方がミスが多かった。まだ、このレベルで自分たちの力を出せないことを分かったことが収穫です」

 

帝京大がクラブ王者六甲ファイティングブルを圧倒、一方的な試合に

第2試合は大学選手権王者の帝京大と、全国クラブ大会優勝の六甲ファイティングブル。2年連続同カードだったが、帝京大・岩出雅之監督が大学選手権決勝後に「厳しい言い方になるけれど、正直言えばミスマッチ」と話していた通り、一方的な試合になった。

開始3分、帝京大はFB竹田宜純が先制トライを決めると、そこからは分刻みのトライラッシュに。スクラムのターンオーバーを起点に攻め込んむと、9分にSO中村亮土が、14分と20分にはFL大和田立が連続トライ。28分にWTB磯田泰成、32分にはNO8では初先発のルーキー坂手淳史、34分にはCTB荒井基植が7本目。ここまですべてのゴールを中村が成功。さらにFB竹田が2トライを加え、帝京大は前半だけで59-0と大きくリードを奪う。

後半、帝京FB竹田のトライ

後半、帝京FB竹田のトライ

後半も帝京大の勢いは衰えなかった。1分にLOジョシュア・マニングのトライで攻撃を再開すると、5分にPR竹井勝彦、9分にスクラムターンオーバーからFL松永浩平、14分には右ラインアウトからのモール一気押しで交代FL河口駿と、FW勢が4連続トライ。帝京大FWはスクラムでは味方ボールも相手ボールもすべて猛然とプッシュし、次々とターンオーバーを勝ち取った。

そこからはBKの快足ランナーの出番だ。17分には50m、22分には60mと、WTB磯田がともに自陣からの独走で連続トライ。24分のCTB荒井のトライを挟み、26分にはノーホイッスルで磯田が三たび独走トライを決め、ついに100点を突破。

No8で初めて先発した帝京大のルーキー坂手、この日のチームMVPを受賞

No8で初めて先発した帝京大のルーキー坂手、この日のチームMVPを受賞

帝京大は、残り時間もNO8坂手、交代LO木下修一がトライを重ね、ついに1997年度の神戸製鋼が明大戦で記録した108得点を超える1試合最多得点の大会新記録となる115点に到達する。

それでも六甲は最後まで諦めずに攻め続け、最後は相手陣のPKで速攻をかけ、WTBトケ・シオネが意地の1トライを返し、場内から大きな拍手を浴びた。115-5で勝った帝京大は、次週10日の2回戦で、トップリーグ3位のパナソニックと対戦する。

バックスタンドへの挨拶を終え、握手を交わす両チームの選手たち

バックスタンドへの挨拶を終え、握手を交わす両チームの選手たち

 

この日4トライの大暴れを見せた帝京大WTB磯田

この日4トライの大暴れを見せた帝京大WTB磯田

帝京大・岩出雅之監督
「今日は六甲さんに勝ちにいくプランではなく、帝京大として進化するため、厳しいプレー、しんどいプレー、痛いプレーを、気持ちを抜かないで、率先してやり続けようと話して臨みました。
私たちがこの方式の日本選手権に出るようになって5回のうち、六甲さんとは3回目の対戦ですが、六甲さんは1年間しっかり準備して、トップチームとはまた別の環境の中で、しっかり積み上げて来られたのだと思いました。ウチのOBがいて「来年もまた挑戦しますよ」と言っていたので、楽しみにしています。来週はパナソニックさんに、この1年間積み上げてきたことをしっかり出せるようなゲームをしたい」
 

前日、来季の主将に選ばれたSO中村亮土はこの日も強さをアピール

前日、来季の主将に選ばれたSO中村亮土はこの日も強さをアピール

 

戦況を見つめる六甲の東田GM

戦況を見つめる六甲の東田GM

六甲ファイティングブル・東田哲也GM
「惨敗というしかない結果になってしまった。改めてクラブのレベルをもっと上げていかないといけないと痛感した。1年間、この試合を目指して練習してきたし、特にBKは、ボールさえ獲得できればいいアタックをできる手応えはあったけれど、帝京大のFWが本当に強くて厳しいプレーを80分間続けてきた。クラブの代表がここで戦う機会を持てるのはとても貴重なモチベーションになっているので、この事実を受け止めて、クラブがもっと力をつけられるよう、試合数を増やすなどの努力が必要だと思っています」

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