サンウルブズ、トニー・ブラウンヘッドコーチ記者会見「代表強化のツールではない。すべて勝ちに行く」 | ラグビージャパン365

サンウルブズ、トニー・ブラウンヘッドコーチ記者会見「代表強化のツールではない。すべて勝ちに行く」

2019/01/09

文●大友信彦


ワールドカップイヤーの2019年があけた。
ワールドカップに向けた日本代表強化において重要な位置を占めるサンウルブズが、2月16日の開幕に向けて9日、都内でメディカルチェックをスタート。
サンウルブズで今季ヘッドコーチを務めるトニー・ブラウンは、日本代表ではジェイミー・ジョセフHCを支えるアシスタントコーチでもある。
2019年日本ラグビーのキーマンであるそのトニー・ブラウン(以下、TB)が9日、都内でメディアの取材に応じた。

「我々はプロフェッショナルなチーム。ハイパフォーマンスを出すのが使命」

――サンウルブズ、2019年の始動です。どんなスケジュール、どんなプランを立てていますか。


TB「まず2日間、選手はメディカルチェックを受けて、土曜日にフィットネステストを行って、月曜日(14日)に合宿をスタート。そこでスーパーラグビー開幕に向けたコンディショニングと戦術の落とし込みを行います。

合宿は市原でまず1週間、次に別府で1週間、そのあとまた市原で1週間練習してからメルボルンへ行き、レベルズとウォームアップゲームを行います」


――ワールドカップイヤーのスーパーラグビーは、どのチームもメンバー編成も含め難しい判断を迫られます。日本代表の主力メンバーは


TB「この合宿には参加しません。別の日程でスタートすることになる。サンウルブズは35人でスタートする。そのうち何人かはトップリーグカップの試合にも出て、遅れて合流する予定です」


――HCとしての今季への抱負を。


TB「サンウルブズは、今のスコッドを見ても、強いチームになる。どの試合にも勝つつもりで行きます。最大限良い準備をして、良い結果を残したい。タイトルを取る覚悟で臨みたい。サンウルブズは日本代表強化のツールではない。日本の選手がチームの戦力として通用するのであればサンウルブズのメンバーに選ばれる。私はサンウルブズのヘッドコーチとして、すべての試合に勝ちに行けるよう準備します」


――戦い方については。


TB「プレースタイルは基本的には去年と変わらない。日本代表ともリンクします。スピード、スキルを活かして、スペースへアタックしていく。ボールインプレーの時間を極力長く取って、セットプレーはなるべく避ける。そういうスタイルが、我々の勝つ可能性を増やすし、見る側にも楽しいゲームになる。できるだけたくさんトライをしたいし、相手にはトライさせたくない」


――すべて勝つという目標設定は驚きです。


TB「我々はプロフェッショナルのチームです。ハイパフォーマンスを出すのが使命です。昨年も、勝っているときはチーム内に自信があった。2019年のサンウルブズは、昨年のスタンダードをさらに向上させていきたい。スーパーラグビーにおいて、サンウルブズは大会の一部というのではなく、大会の中で勝っていくチームとして存在していきたい。今年は準備期間もこれまでより長く取れるし、プレシーズンゲームも用意している。去年のチームができあがった状態からスタートしたい」


――日本代表組はいつ頃の合流になりそうか。


TB「合流はラウンド6あたりを想定している。ただ、彼らはそこまで試合から離れているので、どこから試合に出すかはケースバイケースになる。フィジカル的に、激しいゲームができるだけの準備ができていることが大切だだし、試合に出るための条件になる」



――トニーさん自身も日本代表のアシスタントコーチとの兼任です。プライオリティはどちらに。


TB「日本代表の活動の時は日本代表に、サンウルブズに戻ったらサンウルブズにフォーカスします。日本代表の選手については、サンウルブズで戦ってもらいながら、9月のワールドカップで勝てるようなコンディションに持っていかないといけない」


――サンウルブズと日本代表の活動が重なる時期は?


TB「私が離れるときはスコット・ハンセンが代理でHCを務めます。去年と同じです」


――日本人選手の能力について


TB「私は2004年に日本に来て、10年間プレーした。これは素晴らしい経験だった。日本でプレーすることで、日本の選手の能力の高さを知ることができたし、彼らとプレーすることは楽しかった。そして三洋、パナソニックではコーチもした。私がコーチを始めたのは日本なのです。

スーパーラグビープレーヤーとなった堀江翔太(当時レベルズ)と田中史朗(当時、ハイランダーズ)

スーパーラグビープレーヤーとなった堀江翔太(当時レベルズ)と田中史朗(当時、ハイランダーズ)


日本でコーチングキャリアをスタートさせた私が、今は日本ラグビーに今までとは違う価値をつけられる立場にいることを誇りに思います。フミ(田中史朗)、ショータ(堀江翔太)は私がオタゴに送り込んで、彼らはスーパーラグビープレーヤーになって経験を積んで、今は日本に戻って、一緒に仕事をできている。素晴らしい。誇りに思います」

三洋電機でプレーしたトニー・ブラウン

三洋電機でプレーしたトニー・ブラウン

「私は、グラウンドの中で、ラグビーというゲームを進化させることが好き」

――ヘッドコーチを務めることについて。


TB「私自身に関して言うと、HCという仕事にはそれほど興味がない。というのも、HCになると、環境整備などグラウンド以外の仕事が増えてくる。私は、グラウンドの中で、ラグビーというゲームを進化させることが好きなのです。アタック、ディフェンス、セットピース……そういう部分を考えて進化させていくのが自分のやるべきことだと思っている。選手の獲得とか環境整備についてはJJ(ジョセフ日本代表HC)の仕事です」


――外国ではワールドカップイヤーに20歳くらいの選手が代表入りするケースもよくあります。日本の大学生など若い選手がサンウルブズ、日本代表に絡んでくる可能性はどうでしょう。


TB「日本と強豪国では若い選手の置かれている環境が違う。NZでは、高校生がプロフェッショナルに近い環境で育成されている。フルタイムのコーチがいて、フィジオ(医療資格レベル2以上をもっている)がいて、S&Cのコーチもいる。そういう環境で力をつけて、19歳くらいでプロのチームに入っていく。

日本の場合は早くても、大学でやっとNZの高校生の環境になれる程度で、世界のトップ国とはまだギャップがある。若い選手のフィジカル、メンタル面の育成は遅れていて、本格的に成長が始まるのはトップリーグに入ってから。我々も、セレクションの対象はトップリーグに入って来た選手から見るしかないのが現状です」


――2019年のサンウルブズはどんな戦いを見せてくれるか。


TB「スーパーラグビーで戦う相手はどこも世界のトップチーム。そこではメンタル面の準備が大切になる。そして、ラグビーはゲームがどんどん進化し続けている。我々も自分たち自身をイノベーティブ(改良)していかなければならない。昨年11月の欧州遠征ではイングランドを相手に良い試合をしたと思うけれど、そのやり方を続けて、今度の9月のワールドカップで結果を出せるとは思っていない。勝つためには絶えずイノベーティブし続けることが必要です。そのために、サンウルブズはゲームを通じて自分たちのスタイル構築、メンタル面を含めて成長させるために、大きな意味のあるキャンペーンだと思っています」


サンウルブズは11日まで都内でメディカルチェック、12日にフィットネステストを行い、14日から千葉県市原市のスポレクパークで2019年の練習をスタートさせる。

大友信彦
(おおとものぶひこ)

1962年宮城県気仙沼市生まれ。気仙沼高校から早稲田大学第二文学部卒業。1985年からフリーランスのスポーツライターとして『Sports Graphic Number』(文藝春秋)で活動。’87年からは東京中日スポーツのラグビー記事も担当し、ラグビーマガジンなどにも執筆。

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