暗闇に光が射した。
そんなイメージが広がるニュースだった。
9日、サンウルブズ2020年スコッドに、パナソニックワイルドナイツ所属の布巻峻介、谷田部洸太郎、テビタ・ツポウの3選手が加わることが発表された。
周知の通り、サンウルブズは2020年限りでスーパーラグビーから除外されることが昨年3月、決定された。それを遡る2018年には、2020年のトップリーグがスーパーラグビーと重なる時期に開催されることが発表されていた。その時点で、2020年のサンウルブズが選手集めに苦戦することは予想されていた。実際、11月26日に発表されたサンウルブズ2020第1次スコッドは僅か15人。その中に日本人選手は早大4年生の齋藤直人ただ一人。日本人選手、外国籍選手を問わず、昨年までサンウルブズに多くの選手を送り出してきたトップリーグチームからの選手はゼロだった。
もはや、2021年以降のことを心配している場合ではない。2020年のサンウルブズは、いったいどうなってしまうんだろう……布巻ら3選手の加入が発表されたのは、ファンがそう気を揉んでいた矢先だった。
プレスリリースには、布巻のコメントがこう掲載されていた。
「今シーズン、サンウルブズでスーパーラグビーに挑戦することになりました。今回、トップリーグと時期が重なったにも関わらず、送り出してくれるパナソニックワイルドナイツには本当に感謝しかありません。今回の挑戦は自分の中でも難しい決断になりましたが、今の自分にはスーパーラグビーへの挑戦での成長が必要と考え、この様な決断に至りました。また、今回の挑戦によりスーパーラグビーのレベルの高さ、サンウルブズの価値をすべての選手、ファンの方々にも知って欲しいと思います。今後のラグビー界をトップリーグと共に盛り上げていける様、努力していきます。パナソニックワイルドナイツを少しの間離れますが、必ず成長して帰ってきて、また離れている間も1番応援している一人として関わっていきたいと思います。 最後になりますが、パナソニックワイルドナイツファンの皆さん、今まで同様熱い応援をよろしくお願いします!」
たやすい挑戦ではない。どんな成績になるかはまったく保証されていない。でも、
「今の自分にはスーパーラグビーへの挑戦での成長が必要」
「今回の挑戦によりスーパーラグビーのレベルの高さ、サンウルブズの価値をすべての選手、ファンの方々にも知って欲しい」
という言葉に触れ、いてもたってもいられなくなった。太田市のパナソニックグラウンドを訪ね、布巻に緊急インタビューをお願いした。(収録・12月10日)
サンウルブズでやりたい気持ちもワイルドナイツでやりたい気持ちも同じくらいあった。
――サンウルブズからのオファーを受けたとき、どう受け止めたかを聞かせてください。
「オファーをもらった時点では、自分の中では、トップリーグと時期が重なっているし、無理だろうなあ…という思いが強くて、最初から壁を作っているような感覚でした。でも、パナソニックのスタッフ、ロビーさん(ディーンズ監督)や相馬(朋和)さんと話して、冷静に考えたらこのチャンス、サンウルブズでスーパーラグビーを経験するチャンスを活かさない手はないな、行きたいな、という気持ちになって、パナソニックでトップリーグを戦うよりも、サンウルブズでチャレンジしたい気持ちが強くなりました」