トップリーグで唯一の全勝を守るサントリーが、前節東芝を破って勢いに乗るトヨタ自動車と名古屋・瑞穂で対戦した。
両チームのディフェンスがアタックを上回り膠着状態の前半
サントリーは、トップリーグ通算100トライまであと「3」と迫ったエース小野澤宏時が、開始早々左サイドをビッグゲイン。一度自陣に戻されたがすぐに攻め直し、再び小野澤にパスを回して左隅へ。しかしトライライン寸前でトヨタWTB久住辰也が懸命にタックル。内に繋ごうとした小野澤がノックオンを取られ、最初のトライチャンスは実らず。
これを境に、両チームのディフェンスがアタックを上回り、ゲームは膠着する。
「トヨタはブレイクダウンへの2人目の寄りが早く、プレッシャーがキビしかった」とサントリーの真壁伸弥主将。トヨタ防御のしつこいからみがサントリーの生命線、早い球出しからのテンポを上げたアタックを封じる。ゲームがなかなか動き出さない。前半は互いにPGを決め合っただけ、サントリーの6-3でハーフタイム。
流れを変えたサントリー・平のトライ。粘るトヨタ。試合は最後までわからない展開に。
後半、先に点を取ったのはトヨタだった。6分、自陣22mライン付近まで攻め込まれながら、SOスティーブン・ブレットがサントリーSO野村直矢のパスをインターセプトして、そのまま80m近くを独走。ゴール真下にトライを決め、自らコンバージョンを蹴りこむ。10-6とトヨタが逆転。
リズムを掴めない戦いに、サントリーベンチは動いた。
「とにかく攻めるしかない。予定通りの交代だったけど、少し早めたのは確か」と大久保直弥監督。SHフーリー・デュプレアにかえて日和佐篤、SO野村にかえてトゥシ・ピシを投入。
その直後だった。ハーフウェー付近でトヨタがペナルティー。戸田レフェリーの笛が鳴った瞬間、日和佐はクイックタップでリスタート。真壁主将がつないだラックからクイックボールが出る。ピシ-CTB平浩二とボールはわたる。ブレイクした平が左にチラッと目を走らせる。トヨタ最後の砦・FB松下馨の目がフリーの小野澤に向けられた瞬間、平は内にコースチェンジ。松下のタックルが僅かに遅れた隙を突いてポスト下へ。電光石火の再逆転トライ。この試合で復帰したCTBニコラス・ライアンのコンバージョンが決まり13-10。