2月26日のプレーオフ決勝、サントリーのエース小野澤は、ほとんどボールを持つことのないまま、80分間のファイナルを戦い終えた。なぜ優勝したサントリーのWTBにボールが渡らなかったのか……。
小野澤が試合でボールに触ったのは2回だった
「ボールは要らないって叫んでたんですよ」
小野澤宏時は、苦笑してそう言った。
2月26日のプレーオフ決勝、サントリーのエースは、ほとんどボールを持つことのないまま、80分間のファイナルを戦い終えた。
「ボールに触った回数は、2回かな。サントリーの場合、ボールを持った人の判断で決めていくんで、ボールが来ないときは来ないんです。だけど、僕も『まだ要らない、放るな!』と叫んでたんです。『まだ(攻めるのは)インサイドでいいぞ』と。常にワイドワイドで動かしていると、狙われますから」
何しろ、相手のパナソニックには、エディ・ジョーンズ監督が「世界一のアウトサイドCTB」と称賛する南アフリカ代表のジャック・フーリーがいる。190cm、105kgの巨体。突破力。そして、相手のパスに生まれる僅かな隙を見逃さないインターセプト。実際、準決勝の東芝戦でも、フーリーはインターセプトから2つの独走トライを挙げている。
そんな相手の鼻先に、こちらの大切な宝物を放り投げてやる必要はない。