14日(土)、第61回全国大学ラグビー選手権3回戦の4試合が行われた。秩父宮ラグビー場の第1試合は、東洋大学(関東リーグ戦2位)と慶應義塾大学(関東対抗戦4位)の一戦が行われた。
2024/12/14
文●編集部
前半2分、東洋大が相手ペナルティーからチャンスを迎える。敵陣ラインアウトからモール、BKに展開するもノックオン。慶應陣内22m付近でのファーストスクラム。慶應がBKに出してSO和田が敵陣22m付近までキックでエリアを戻す。東洋もキックで戻して、慶應がアタック。東洋が自陣10m付近でペナルティ。慶應はタッチに蹴り出しトライを狙いにいく。慶應はラインアウトからのモールでHO中山大暉が先制トライ。和田のゴールも決まり慶應が7‐0。
前半10分、自陣22m付近の相手ボールスクラムを東洋大がプレッシャー。ペナルティを獲得しハーフウェイ付近にエリアを戻す。ラインアウトからアタックを展開するも、慶應HO中山がジャッカル。慶應が再び敵陣深くに入る。東洋大はLOウーストハイゼンがプレッシャーをかけて慶應がノックオン。チャンスを活かしきれず。
前半17分、東洋は再び自陣10m付近でペナルティー。慶應が再び敵陣深くに入る。ゴール前の密集で和田がボールを長く持ってスペースができたところでCTB12今野にラストパス。今野がトライ。14‐0と慶應がリードを広げた。
再び慶應は風上のアドバンテージを活かして、キックで敵陣22mまでエリアを戻す。ラインアウトから素早くBKに展開。再び今野がトライを決め21‐0とする。
東洋は24分、再びハーフウェイ付近でペナルティ。なかなかリズムを掴むことができない。慶應はサインプレーでアタックを仕掛けるも東洋は何とか凌ぐ。
慶應は前半31分、敵陣22m付近のラックからSO和田からの高速フラットパスがLO中谷につながり4トライ目。28‐0
慶應は、キックからのチェイスでボールを奪い再び敵陣ゴール前に前進。ラインアウトから、HO中山がボールを持ち出し、FWでフェイズを重ね、FL中野がトライ。35‐0と圧倒する。
前半終了間際、東洋大はWTBモーリス・マークスが100mを走りきり35‐7として前半を終えた。
後半、風上の東洋大は慶應のペナルティから敵陣深くに入る。ラインアウトからモール。慶應はHO中山キャプテンがジャッカル。チームのピンチを防いだ。一度エリアを戻した慶應だったが、ハーフウェイ付近で慶應がペナルティ。東洋が再びチャンスを迎える。
東洋はFL森山を軸にフェイズを重ねるも、今度も中山がジャッカル。再びピンチを凌ぐ。46分、慶應はWTB石垣がパスをインターセプト。70mを独走しトライ。慶應が後半最初にスコアを決め、40‐7。
54分、東洋大は敵陣ゴール前5mでマイボールスクラム。後半から出場のFLバファフォラウで残り1mまで前進すると、WTBマークスが再びトライ。SO天羽のゴールも決まり50‐14。
60分、慶應は敵陣15m付近のラインアウトからSH小城が抜け出し勝負を決めるトライ。45‐14と慶應がリードを広げる。さらに65分、慶應はFL田沼がゲイン、LO浅井がトライ。50‐14と慶應がダメ押し。
68分、追いかける東洋はゴール前のラインアウトからモールを押し込みリーグ戦トライ王のHO小泉がトライ。50‐21。
残り時間は10分たらず、ブレイクダウンで慶應のプレッシャーを受けて東洋は中々アタックのリズムが出せずにいたが、78分、マークスがハットトリックのトライ。50‐25と意地を見せたが試合終了。慶應義塾大学が50‐25で東洋大学に快勝。慶應は準々決勝に進出。準々決勝は帝京大に挑む。
慶應義塾大学 青貫浩之監督
前半は狙い通り、ディフェンスを起点にアタックしてスコアすることができましたが、後半徐々に勢いに飲まれて、受けにまわってしまったことは大きく反省するところ。ただチームとしてやろうとしていたことができた試合だった。1週間後の帝京戦にむけていい準備をして戦いたい。
春に大勝したから勝てるだろうというマインドがあったり少し怖かったんですけど、中山と小城に選手たちのマインドがどうか聞いてみたところ、普通にやっていても勝てない。ということを言っていたので大丈夫かなと思っていました。
今日の試合では選手たちがプラスワンの働きができて、その結果がこの点差につながったかなと思います。次に進むことができたので、帝京戦にむけては自分たちの武器を徹底的に磨くということかなと思っています。これから何か新しいことをやるというわけではなく、慶應らしさが出せればいいかなと思います。
――10番和田、12番今野に対してボールを持ったときの判断について
特に彼らに対して細かな指示はしていません。ただ今日こだわったのはボールを前に出すということ。そこはは大きな指針としては出していました。結果的に和田も今野も引かずにボールを前に出してリードすることができた。彼ら二人だけじゃなくて、CTBの村田も前にでていていいモメンタムをだしてかなと思います。
――50点が取れたということでチーム力が上がってきた手応え
正直ここまで点数は取れると全く思っていなくて、本当にちっちゃいことの積み重ねでトライが決められたなと思います。50点という得点が自分たちのアタック力だとは思っていません。次の帝京大学戦に向けて自分たちが出来る部分を突き詰めてやっていきたい。
慶應義塾大学 中山大暉キャプテン
今青貫さんからもあったように、今回東洋大学さんはすごくいいボールキャリーだったり、いいアタックをしてくるチームなので、それに対して自分たちは前に出るディフェンスをしていこうと臨みました。春季大会で戦った際にも、自分たちのラインスピードが良かったことが勝利できた要因だったので、そういったところの磨きをかけて、さらに前に出る練習やブレイクダウンでしっかりプレッシャーをかけていくことが一番出せたことが今日の勝因につながったかなと思います。
この一週間、僕がいってきたのは自分たちのやること、これまでやってきた基礎の部分をやっているだけじゃ東洋大学に勝てないということ。プラスワン、自分の仕事以上のことをそれぞれがやらないと強い外国人選手に対して一人一人が、自分が止めるんだというマインドがないと、勢いを持っていかれてしまう。とにかくその点を練習でも言い続けていました。個の選手のブレイクダウンであったり、タックルであったり、集中力高くやっていこうというのはチームとしてやってきました。
――ウーストハイゼン選手はすごく身長が高かったですが、ラインアウトのときに気をつけていたことは?
アタックでのマイボールラインアウトではBチームの選手たちに手伝ってもらったり、ボールに関しても上からディフェンスしてくるので、とにかく下に下にというところは今週初めからチームとしては準備してきました。
ディフェンスのところでは、東洋大学さんは塊になって、すごく力が強くて6人以上でモールを押して前に出てくるのはリーグ戦の試合を分析していてました。そこに対して、本当に低くく、モールができた瞬間にバインドを下げるようなプレッシャーをかけるということを徹底して練習してきました。
――今日の試合はエリア取りとブレイクダウンのところを意識していた
今日の試合でどういったラグビーしようかということをチームで話し合い、まずは風上をとって先手必勝というところも今回のマインドセットのところであげていました。東洋大学さんはモールだったり、カウンターアタックが強みになっていたので前半はしっかりゲインさせない、自分たちのペースに持っていくためにも風上からキックしてディフェンスしていくというところを目指していたので、ターンオーバーだったり、相手のカウンターを止めることができていたのでそこは想定通りというか、自分たちがやりたいことができていたかなと思います。
――ブレイクダウンに対する意識の変化は?
対抗戦で帝京大学さんと戦ってぐらいから意識がまた一つ上がったなと思います。今回対抗戦から選手権に向けて自分たちはブレイクダウンで勝たないいけないんだ、というマインドは今日の試合でもあってすごく良くなってきていると思います。
――帝京大戦にむけて
対抗戦で戦ったときにどうしても強いキャリーに引いてしまった部分、BKのブレイクダウンでは通用しながら、FWのところでどんどんモメンタムを持たれてしまったり、一つ一つのコンタクトのところで受けてしまった部分があるので、そこは大きな改善点だと思っています。50点が取れたということは大きなことですけど、相手のモメンタムを出させない、気持ちいいようなアタックをさせない。その部分を一番、この一週間で準備していきたいですね。
本当に自分が出せる全てを出したいというか、負けたら終わりというよりはこの試合が最後だと納得するくらいのプレーをして自分がチームを前に出す。この試合で自分が引退する、そういったマインドでこの先はやっていきたい。