後半38分、背番号23番がグラウンドに入った。
選手の名前はカーン・ヘスケス。トップリーグ・宗像サニックスブルースに所属し、パネのあるパワフルな突破力でトライを量産する選手だ。
しかし、エディー・ジャパンに招集されたのは2014年7月の菅平合宿。トップリーグでの活躍より「インターナショナルレベルの選手」を求めるエディー・ジャパンのセレクションに残ることは簡単なことではなかった。所属クラブでのポジションはWTBだったが、今年の4月からエディーHCから告げられたポジションは13番だった。
「学生の頃にやったことはあるけど、本格的にプレーをしたことはなかった。ただポジションはどこでも構わない。チームが必要としている場所で最高のプレーをするよ」(カーン)
ジョーンズHCは「史上最高の日本代表」を作り上げるためにハードなトレーニングを要求し、そして試合では結果を求めた。結果が出せない選手はセレクションから外れ、新しい選手が招集される。そこに国籍という概念は一切挟まない。そういう次元でワールドカップの試合で勝利できるほどラグビーは簡単ではない。そういった過酷な中でカーンは結果を残し続けた。CTBにポジションを変えてから4試合で4トライ。「13番のポジションで去年は色々な選手で試してきたが誰もカバーできなかった。その中でカーンは結果を残した」(エディーHC)。
そして8月31日。エディ・ジョーンズHCが読み上げた31名の選手の中にカーン・ヘスケスの名前が含まれていた。