やっぱりセブンズは面白い。
そう思わせてくれた1日だった。
2013年4月21日、秩父宮ラグビー場で行われた東日本大学セブンズ。スーパールーキー山沢拓也の大活躍で筑波大が連覇を飾った大会にあって、会場を沸かせたのは、地区対抗枠で初出場を果たした東京学芸大の快進撃だ。
東京学芸大の快進撃ーーやっぱりセブンズは楽しい!
1回戦では、同じ地区対抗枠の東北学院大に31対0で完勝。そして2回戦ではリーグ戦1部の強豪、日大と対戦。学芸大は前半、鋭いタックルで相手ボールを奪うと、素早くワイドにボールを動かして2つのトライを奪い、12対0とリード。
後半は奮起した日大にセットプレーで圧倒されながら、低いタックルで次々と相手ノックオンを誘う。最後は2点差に迫られ、自陣ゴール前まで攻め込まれるが、ここでもタックルで守りきり、この難敵に12対10で会心の勝利を飾ったのだ。
東京学芸大といえば、国立の教育系大学の頂点に位置する大学だ。ラグビー界では、名レフェリーとして活躍する(いまも現役だ)下井真介レフェリーの母校だが、失礼ながら選手として有名なOBは思い当たらない。
「下井さんは私が現役の時の監督でした」
笠松具晃監督が話す。
「下井さんはいつも気に懸けてくださって、合宿にもいつも来てくださいます。『いつでも吹くよ』と」
昨季の第63回地区対抗大学大会に関東1区代表で出場。1回戦は徳山大、準決勝は大阪学院大を破り、決勝は福岡大と対戦。東福岡、筑紫などの精鋭が揃う強敵に42対14で敗れたが、準優勝の好成績を残した。
「福大には、2人目の寄りの差で負けたので、3月10日に新シーズンがスタートしてからは、寄りの速さを軸にして、学芸大のオリジナルスタイルを作っていこうとして練習に取り組んできました」
それと同時に、東日本大学セブンズという新しい目標ができた。何しろ、2年前のこの大会では、やはり地区対抗枠で出場した新潟大が、こともあろうに早大を破る大金星をあげている。
「何が起きてもおかしくない」セブンズは、無名校にとっては絶好のチャレンジの場なのだ。
「みんなで東京セブンズを見に来て、我々が目指していることと通じるな、と思いました。身体が小さい分、外への展開を意識して、パスの精度や個々のタックルなど、かなり練習してきました」(笠松監督)