太陽生命ウィメンズセブンズシリーズ2025・北九州大会、個人ランキングと本誌選出ドリームセブン | ラグビージャパン365

太陽生命ウィメンズセブンズシリーズ2025・北九州大会、個人ランキングと本誌選出ドリームセブン

2025/07/23

文●大友信彦


7月20、21にわたって行われた「太陽生命ウィメンズセブンズ2025・北九州大会」の個人ランキングと本誌が選出したドリームセブンを発表。

トライランキング

1 レアピ・ウルニサウ ナナイロ 9T
2 大谷芽生 ながと 7T
2 タリア・コスタ パールズ 7T
4 チャリティー・ウィリアムズ フェニックス 6T
4 鈴木柚来 アルカス 6T
6 黒田美織 PTS 5T
6 三枝千晃 ディアナ 5T
6 アカニシ・ソコイワサ TKM 5T
6 堤ほの花 日体大 5T
10 アナ・ナイマシ ながと 4T
10 ヨレイン・イェンゴ TKM 4T
10 ナイコレ・ヴィタリナ TKM 4T
10 オリブ・ワザーストン パールズ 4T
10 谷山三菜子 日体大 4T
トライ王に輝いたのはナナイロプリズム福岡のレアピ・ウルニサウ。チームが大会最多の39点をあげた初戦の追手門戦では不発だったが、次のアルカス戦で相手DFの真ん中を突き抜ける豪快突破から独走トライを奪うと量産モードに点火。圧巻の独走あり、魔法のようなステップありと多彩なトライスコアリングパターンを見せつけた。
2位は本大会MVPのながと大谷芽生。7トライのうち実に6トライをDAY2の3試合であげた。同じく7トライで2位に並んだのが熊谷大会でMVPを受賞したパールズのタリア・コスタ。熊谷での全試合トライに続き北九州でもプール戦3試合、さらに準々決勝の日体大戦でもトライをあげ来日からの連続試合トライを10まで伸ばしたが、準決勝のながと戦でノートライに終わり快記録もストップ。しかし続く3位決定戦のPTS戦でトライをあげた。今度の記録はどこまで伸びるか?

レアピ・ウルニサウ

レアピ・ウルニサウ



得点ランキング



1 レアピ・ウルニサウ ナナイロ 55=9T5C
2 谷山三菜子 日体大 42=4T11C
3 ヨレイン・イェンゴ TKM 38=4T9C
4 大谷芽生 ながと 35=7T
4 タリア・コスタ パールズ 35=7T
6 チャリティー・ウィリアムズ フェニックス 30=6T
6 鈴木柚来 アルカス 30=6T
8 黒田美織 PTS 29=5T2C
9 須田倫代 パールズ 27=3T6C
10 ナイコレ・ヴィタリナ 26=4T3C
10 津田佳梨 追手門 26=2T8C
熊谷大会に続き、ナナイロのレアピ・ウルニサウがトライ王とともに得点王も獲得。2大会連続の2冠に輝いた。自陣から長距離を独走してトライをあげたあとでも顔色を変えずに淡々とキックを決めてみせるところに、2度の五輪で大舞台を踏んできた勝負強さを感じさせる。
2位の日体大・谷山三菜子は熊谷大会の4位から順位を上げたが、4T11Cの42点は熊谷大会と奇しくもまったく同じだった。

谷山三菜子

谷山三菜子


ドリームセブン 大谷芽生 ながとブルーエンジェルス

得点35(7T) 25歳 164/60

(京都JOINUS-石見智翠館-立正大・アルカス熊谷・サクラセブンズ:東京・パリ五輪出場)

大谷芽生

大谷芽生


7Tは大会トライランク2位だが、うち6Tは最終順位をかけたDAY2の決勝トーナメント3試合であげたものだから価値はさらに高い。無論DAY2のトライ王だ。TKMを破った準々決勝では先制+2本目のワンツーパンチ+後半突き放しのトライ。準決勝のパールズ戦と決勝のナナイロ戦では相手が反撃のトライを挙げた直後に流れを引き戻し、相手の息の根を止める大きなトライを決めた。

「私の強みの強気な部分を出してチームに流れを持ってくることを意識しました」

DAY1はナナイロプリズム福岡に熊谷から続く3連敗を喫し、追手門学院とは引き分けプール戦全体6位と振るわなかったが、DAY2は「しっかり前を見て、自分の判断で何をするかを決めて、強く行ったことがトライにつながったと思います」


相手ディフェンスの隙間をスパッと切り裂くランニングの突破力は圧巻だが本人は「内側の選手がすごく良い仕事をしてくれるんです」。サクラセブンズの大黒柱。文句なしの大会MVPだ。

レアピ・ウルニサウ ナナイロプリズム福岡

得点55(9T5C) 30歳 163/64

フィジー代表(東京・パリ五輪出場)

レアピ・ウルニサウ

レアピ・ウルニサウ


ダイナミックなストライドと猛烈な加速。豪快な真ん中ブレイクで、トライのほしいところできっちり取ってくれる頼もしさ。9トライと55得点はともに全チーム最多。熊谷大会に続き2大会連続でトライ王&得点王の2冠を獲得した。


とりわけDAY2は準々決勝のフェニックス戦で先制&2本目のワンツートライ、準決勝のPTS戦は先制&同点に追いつかれた直後の中央突破独走勝ち越しトライで、2023年花園大会以来となる決勝進出へチームを牽引。自ら得点するだけでなく、長い手足を活かしたオフロードパスでアシストも多数(準々決勝フェニックス戦、吉野舞祐に送ったオーバーハンドのオフロードパスにはスタジアムがどよめいた!)。ナナイロの決勝進出の立役者だ。

須田倫代 PEARLS

得点27(3T6C) 22歳 157/60

(大阪RS-京都成章-追手門学院大 サクラセブンズ)

須田倫代

須田倫代



膝の負傷でパリ五輪スコッドから外れ、長期にわたってリハビリに専念していたが追手門学院大を卒業して今春パールズ入りして復活。熊谷大会でもプレーしたが「あのときよりだいぶ動けるようになりました」と自ら話すように、一発のステップと一気の加速で相手DFを再三突破。


DAY1のディアナ戦では約60m、80mと圧巻の独走トライを連発。以前より少しスリムになったフォルムは「膝の負担を減らすために体重を少し絞りました」。日本が誇る魔法のステッパーが帰ってきた!


黒田美織 自衛隊体育学校PTS

得点29(5T2C) 25歳 157/58

(アナン学園/花園ホーリーホック)

黒田美織

黒田美織


DAY1のフェニックス戦では5点ビハインドの後半4分、自陣10m線でボールを持つとまっすぐDFのギャップに走りこんでフェニックスの誇るチャリティー・ウィリアムズと大竹風美子のタックルを突破。60mを快走してアップセットへ牽引。


準々決勝のディアナ戦では5点を追う前半ロスタイム、自陣からのアタックで梶木真凜のパスを受け、サクラセブンズ三枝千晃をハンドオフして右サイド約60mを豪快に走り切って同点トライを決め後半の逆転をお膳立て。PTSを2017年の太陽生命シリーズフル参戦以来初の4強入りへ導いた。熊谷大会に続き2大会連続で5トライとコンスタントにトライを決める決定力。アナン学園では小鍛冶歩(フェニックス)、新居里江子(弘前サクラオーバルズ)らと同期で全国高校選抜出場。サクラセブンズ候補入りも期待したい頼もしさだ。

三枝千晃 北海道バーバリアンズディアナ

得点25=5T 28歳 167/68

(文教大-アルカス熊谷 サクラセブンズ:パリ五輪出場)

三枝千晃

三枝千晃


上体を前傾させて左右に揺らす独特のランニングフォーム。陸上競技のスプリンターではお見掛けしないようなフォームは「前へ行く気持ちが表れているんだと思います」と本人。誰に指導されたわけでも直されたわけでもないオリジナルだが破壊力は抜群。


DAY1の日体大戦、右エッジの約60m独走トライで開幕いきなりのアップセットを果たし、ディアナを熊谷大会に続く8強進出に導くと、5位以下戦準決勝のフェニックス戦、5位決定戦のTKM戦もチーム最初のトライを決めて勝利に貢献。チアキがトライをあげた4試合はディアナが全勝!2017年裾野大会の4位以来8年ぶりの好成績となる5位躍進を支えた。

堤ほの花 日本体育大学ラグビー部女子

得点25=5T 28歳 153/57

(嬉野RS-佐賀工-日体大 サクラセブンズ:東京&パリ五輪出場)

堤ほの花

堤ほの花


熊谷大会の3トライに続き北九州では5トライ。熊谷から2大会で4度対戦したパールズのブラジル代表タリア・コスタとの対決は太陽生命シリーズの名物。今大会の直接対決では2試合合計トライ数3-2と上回ったが、トライに負けないほど輝いたのはディフェンス。準々決勝では前半終了直前、トライ体勢に入ったパールズ末結希にナナメ後方から追いつきタックルでボールを奪い取りピンチを脱出したプレーは今大会ベストモーメントのひとつだった。


後半は自らトライをあげ、谷山の逆転コンバージョンを導き、勝利目前までチームを牽引した。太陽生命シリーズ通算トライは127。東京&パリ五輪の準備でペースが鈍っていたトライペースを伸ばし、首位ニア・トリバー(ディアナーフェニックスーながと)の144との差は17。今季残り2大会でどこまで迫るか?

大内田彩月 チャレンジチーム

得点23=3T4C 16歳 167/55

(かしいYR-修猷館高/福岡レディース)

大内田彩月

大内田彩月


熊谷大会では5戦全敗、最下位に終わったチャレンジチームだが、今回はDAY2初戦のアルカス戦に22-14と快勝。最後のアルテミ・スターズ戦には敗れたが、10位に順位をあげた。その立役者が大内田彩月だ。


アルカス戦では自ら蹴ったキックオフで相手落球を誘うと、そのスクラムから出たボールを持ち相手防御のギャップに走りこんで先制トライ。3分にはやはりスクラムからボールを持ち、味方選手とのダミーシザースで外のスペースを突破。開始直後の2連続トライでチャレンジを勢いに乗せて今季初勝利に導いた。


「サインプレーだったけど『自分で行っていいよ』と言ってもらって、思い切って仕掛けてトライできました」

今大会では姉の夏月がパールズで、葉月が日体大で出場し、3姉妹がプール戦で同組に。彩月自身は出場時間とポジションの関係で姉とのマッチアップはあまりなかったが、姉同士はプール戦でガチ対決。「生では見られませんでしたがYouTubeで見ました。私もやらなきゃ、と刺激を受けました」


昨年12月には高1ながらグローバルユースセブンズで世界一を経験。昨季までながとで活躍し、サクラxv候補にもなった長姉・優月は医師を目指し昨季で引退したが、二女から四女の三姉妹は今後も日本女子ラグビーをリードする存在になりそうだ。

大友信彦
(おおとものぶひこ)

1962年宮城県気仙沼市生まれ。気仙沼高校から早稲田大学第二文学部卒業。1985年からフリーランスのスポーツライターとして『Sports Graphic Number』(文藝春秋)で活動。’87年からは東京中日スポーツのラグビー記事も担当し、ラグビーマガジンなどにも執筆。

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