日本選手権2回戦・東芝がドロップゴールで劇的勝利 | ラグビージャパン365

日本選手権2回戦・東芝がドロップゴールで劇的勝利

2014/02/23

文●編集部


2月23日、秩父宮ラグビー場では第51回ラグビー日本選手権の2回戦2試合が行われた。第1試合はリーグ戦4位の東芝ブレイブルーパスとワイルドカード勝利チームでリー戦6位のトヨタ自動車ヴェルブリッツが対戦した。東芝はトップリーグプレーオフトーナメント準決勝から2週間のインターバルをおいての試合、トヨタはリーグ戦前半につまずきタイトル争いに絡むことが出来なかったが、後半から調子をあげ6連勝中。ただし、ワイルドカードトーナメントから含めると4週連続の試合であり、厳しいコンディションの中での戦いとなった。

攻撃面でもゲインを見せたSH小川

攻撃面でもゲインを見せたSH小川

試合開始から攻め込んだのはトヨタ。東芝陣でアタックを繰り返し、トライ寸前まで攻め込むも決め手を欠きトライを上げることが出来ない。逆に10分、東芝がワンチャンスをものにする。SH小川高廣の突破からPKを獲得し、小川自らがゴールを決め3−0。トヨタも直後の11分、ゴール正面でPKを獲得しSO文字隆也が決め同点。その後、東芝が2本、トヨタが1本ずつPGを決めて9−6。

互いにトライを許さない攻防が続いたが、迎えた37分、トヨタは敵陣でテンポ良くフェイズを重ね、22m手前のラックからSO文字がカットインしてきたWTB水野弘貴にパス、ボールはCTBタウモエピアウ・シリベヌシィへ繋がれゲイン、最後は内に走り込んだFLヘーデン・ホップグッドへのオフロードパスが通ってそのままトライ。SO文字のコンバージョンキックも決まり13-9とトヨタが逆転して前半を折り返した。「インサイドのプレーヤーが上がりすぎて、カットインで入ってくる選手にスペースを与えてしまった」(和田賢一監督・東芝)

ベイツのアタックで東芝は流れを作った。

ベイツのアタックで東芝は流れを作った。

後半に入ると、東芝はNo8豊田真人に代えてスティーブン・ベイツを投入。ベイツは随所で頑健なアタックを見せ東芝の流れを作る。9分、マイボールラインアウトから東芝がFW中心に密集での攻防を繰り返し、4次攻撃でHO湯原祐希がトライを決めて再逆転を果たす。

後半積極的にボールに絡み、ゲインを見せたPR浅原

後半積極的にボールに絡み、ゲインを見せたPR浅原

しかし、トヨタも直後の12分にFLタウモエピアウ・シリベヌシィのトライで18−16と逆転し流れを引き戻す。2点ビハインドの東芝は、14分にLO大野均を投入し攻勢をかける「非常に計算できる選手。後半ラスト30分の非常にきつい時間帯に高いワークレートをもっているので出したかった」(和田監督)

WTB彦坂も懸命のディフェンス

WTB彦坂も懸命のディフェンス

そんな中19分、トヨタはFLホップグッドがシンビンで14人となってしまう。トヨタは前半でPR中村嘉樹、HO上野を負傷交替しており、このシンビンによってさらにリズムが崩れてしまった。

この試合でも強烈なディフェンスとアタックを見せたCTBリチャード・カフィ(左)

この試合でも強烈なディフェンスとアタックを見せたCTBリチャード・カフィ(左)

東芝は、22分にCTBリチャード・カフイに変わってデイビット・ヒルを投入。ヒルがSOのポジションに入ると廣瀬俊朗がWTBに、松延泰樹がCTBのポジションに入るという布陣に変わった。「ヒルはラスト10分間のゲームマネジメントは信頼できる選手」(和田監督)

大事な局面で2本のPGを決めることができなかったSH小川

大事な局面で2本のPGを決めることができなかったSH小川

数的優位を活かし敵陣で試合を進める東芝は、15分と25分にペナルティゴールを獲得するが、SH小川がいずれも失敗し得点することができない。一方トヨタは1人少ない時間帯をなんとか無失点で乗り切ると直後の30分、SO文字のPGで21−16とリードを5点差に広げる。

東芝WTB大島がインゴールで回り込ますにダイビングトライ

東芝WTB大島がインゴールで回り込ますにダイビングトライ

苦しくなった東芝だったが、32分、トヨタのペナルティからSOヒルがクイックスタートをかけて敵陣に入り込むと、途中出場のNo8スティーブン・ベイツが順目の大外にいたWTB大島脩平へロングパス。これが見事に通り、トヨタの彦坂圭克、匡克兄弟を立て続けにハンドオフした大島が左隅から走り込んでダイビングトライ。逆転を狙った小川のコンバージョンは外れたが、東芝が土壇場で21-21と同点に追いつく。

ケガから復帰し、激しい当たりでスタンドを沸かしたリーチマイケル

ケガから復帰し、激しい当たりでスタンドを沸かしたリーチマイケル

「同点のままでは東芝が負けると言われたので、積極的にトライとPGを狙いにいった」(リーチ マイケル主将)(※注:実際はトライ数、ゴール数とも同じだったので、このまま同点の場合は抽選だった)という東芝は、直後のキックオフボールを敵陣で確実にキープすると38分、トヨタ陣内22mライン手前のマイボールスクラムからFWがじわじわとゴール正面にボールを運び、SOヒルが決勝のドロップゴールを決めた。「リスタートの時に、敵陣に入ったらドロップゴールを蹴るという話はしてあったのでゴールに近い方向に攻めていくというプランどおりだった」(SOヒル)

ドロップゴールを決めた、デイヴィット・ヒル「距離は15mだったから決めないと」と試合後にコメントを残した。

ドロップゴールを決めた、デイヴィット・ヒル「距離は15mだったから決めないと」と試合後にコメントを残した。

東芝が24-21でトヨタ自動車に勝利し、4年連続準決勝進出を果たした。準決勝は3月1日に近鉄花園ラグビー場で、サントリーサンゴリアスと対戦する。和田賢一監督は試合後の記者会見で「(サントリーは)クイックラグビーのチームですから、1つの接点でどれだけ食い込めるか。アタックについては接点で食い込ませながら、他の選手たちがどれだけボールを運べるか。攻める時間を多くできるかだと思います」と抱負を語った。

試合終了後、互いの健闘を労いあう両チームの選手たち

試合終了後、互いの健闘を労いあう両チームの選手たち

また、リーグ戦では逆転のプレースキックを決められず悔しい思いをしたSH小川は「今日はヒルさんに助けられました。(前回のサントリー戦は)自分のキック失敗で終わっているので自分としても絶対に勝ちたいですね」と意気込みを語った。

東芝FL望月が密集サイドを力強く突破する

東芝FL望月が密集サイドを力強く突破する

一方、敗れたトヨタ自動車・廣瀬佳司監督は「トップリーグの順位からすると自分たちはチャレンジャー。東芝はフィジカルなチームですので負けないように引かないように覚悟を決めてとりくみました。3点は届かなかったですが、選手はすごくよく取り組んでくれた。来年につながるトヨタのスピリットが見えた試合でした。満足しています」と試合を振り返った。

上野隆太主将は「随所でトヨタらしい試合ができた。3点届かなくて負けてしまったことが悔しい。悔しすぎて今は何も出てきません」と肩を落とすも、来シーズンにむけてイチから頑張っていきたい」と先を見据えた。

 

記事検索

バックナンバー

メールアドレス
パスワード
ページのトップへ