3年ぶり昇格の九州電力が、サントリーを崖っぷちまで追い詰めた! | ラグビージャパン365

3年ぶり昇格の九州電力が、サントリーを崖っぷちまで追い詰めた!

2012/09/09

文●大友信彦


9/8(土)トップリーグ第2節が各地で開催され、秩父宮ラグビー場でも2試合が行われた。第2試合では、3年ぶりのトップリーグ昇格となった九州電力が王者サントリーと対決。

「私たちはトップリーグの14チームのうち14番目のチーム。もちろん勝ちにはこだわるけれど、たとえ負けても次につなげて、1戦1戦成長していきたい」

平田輝志監督がそう話したように、守るもののない思い切った攻守が、王者サントリーを浮き足立たせた。

試合は開始2分、サントリーがCTBニコラス・ライアンの突破からFB有賀剛、SOピシ、WTB長友泰憲と軽快にパスをつないで先制トライ。このまま大量点に向かうか?と思いきや、ここからブレイクダウン、ゲインラインの攻防で、ともに九電が主導権を握った。6分には鮮やかな右展開でWTB吉田克也がトライを返し、10分にはFWの連続タテ突破からLO浦真人がトライして10-7と逆転する。

サントリーは、練習で足を打撲したSHデュプレアの回復が思わしくなく、当日になって先発を回避。SO小野も前日からの発熱で、やはり当日になって出場を見合わせた。変わって登場したのは日本代表SH日和佐とサモア代表SOピシ。キャリアは十分だったはずだが、やはりゲームメークの中枢たるHB団の直前変更が影響したのか、九電の激しいプレッシャーに対し、この夜のサントリーは立ち向かっていく闘志にどこか欠けていた。

それでも、さすが王者の底力。16分に左ゴール前のラインアウトからFLジョージ・スミスが突進してPR畠山健介がトライ。27分にはWTB小野澤宏時がトップリーグ通算93号トライで21-10までリードを広げる。29分には九電FB荒牧佑輔がPKの速攻から足業をからめてトライを返すが(サントリーは相手のノーキックをアピールしたのか、反応が遅れた。やはりセルフジャッジは禁物)、37分にはサントリーPR畠山が、こちらもPK速攻返しで4トライ目。苦しみながらも、前半だけでしっかりボーナスポイントの4トライを取ってしまう。

しかし、この4トライ目で安堵したわけでもなかろうが、後半のサントリーは完全に受けに回ってしまう。
9分にニコラスがPGを決めて14点差と引き離すが、14分にはPKから、後半から出場のLOマシュー・ルアマヌが突き進んでトライ。直後の16分には相手カウンターを止めたPKから再びFB荒牧が速攻。FL平田一真とのパス交換を経て再びボールを持った荒牧がトライ。SO齊藤玄樹のコンバージョンも決まって31-29の2点差とする。22分にはサントリーがピーター・ヒューアットのPGで34-29。5点差で試合は終盤へ入った。

そこから20分近く、結果的にはスコアは動かなかった。サントリーが攻め、九電が必死に守る。九電のしつこい防御のプレッシャーにサントリーFWは後手を踏み、「いつもと違うプレーを選択してしまって」(大久保直弥監督)フェイズを重ねる中でミスを犯す。しかし九電も、やっと掴んだボールを安易なキックで手放してしまう。

「サントリーの攻撃に何フェーズも何フェーズも連続して攻められて、やっと何とかボールを取り返しても、そこで相手の陣形を確認する余裕がなくて、慌ててキックをしてしまった。そこはまだ、チームの若さだと思います」(九州電力・松本允主将)

それでも、昨季2冠王者を相手に、トライ数では5対4と上回ったのは立派。特に後半はサントリーをノートライに抑えたのだ。4トライ以上と7点差以内のボーナス勝ち点「2」を挙げたのは、順位争いがシビアになる後半戦で大きくモノを言うことになりそうだ。

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