2月10日、ニッパツ三ツ沢球技場と秩父宮ラグビー場において行われた「クロスボーダーラグビー」は、リーグワンとスーパーラグビーによる初の試み。第1週はサンゴリアス、ワイルドナイツが挑み1勝1敗。第2週はイーグルスとスピアーズがブルーズ、チーフスに挑んだ。日程の関係で同日開催となったが、両チームともに最後の最後まで戦いを挑み、ポテンシャルを発信する素晴らしい2試合となった。
イーグルスは、ブルーズと対戦。序盤果敢に攻めるイーグルスは好機を作るもトライを決めきれず、逆にブルーズは好機をしっかりスコアにつなげて0-26とリード。前半38分、イーグルスは敵陣10m付近のラックから短いパスを順目につないでブルーズのディフェンスラインを崩し、大外のヴィリアメ・タカヤワまでつなぎトライ。5-31で前半を折り返す。
後半のはじめにブルーズに1トライを許したイーグルスは44分、CTBルテル ・ラウララが相手のパスをインターセプトしてトライを決め12-36。その後2トライを決めたブルーズが12-50として勝負を決めるも、イーグルスは諦めない。
好機を取り切れず、ブルーズに敗れる―横浜キヤノンイーグルズ
74分、ブルーズがイエローカードで1人少ない状況となると、疲労が出てくる時間帯でイーグルスは攻撃の手を緩めなかった。ラウララが2本目のトライを決めるとさらに79分、敵陣深くのペナルティーでFW陣がハドルを組み、SO田村優がPKをけると思わせ、タップからBKに展開。沢木敬介監督らしい用意したサインプレーで再開。ブルーズもすぐに対応するが、イーグルスがボールを展開し、最後はWTB竹澤正祥がトライきめた。結局22-57でブルーズが勝利した。
敗れたもののイーグルスらしいアタックも随所に見せ、リーグ再開後にむけても仕上がりが良さそうだ。再開後は全勝の東芝ブレイブルーパス東京との大一番となる。今日の戦いをどう活かすことができるか注目だ。
横浜キヤノンイーグルス・沢木敬介監督
現状はこれくらいのレベルの差があるかな。もちろんいい経験になったと思いますが、スーパーラグビーのレベルは今日の試合がノーマルだと思います。前半は準備してきたことがまあまあハマっていましたが、作ったチャンスを仕留めきれなかったし、粘り強さが足りなかった。確かに力の差はありましたが、通用する部分もありました。ボールの動かし方やラインブレイクもできた。
横浜キヤノンイーグルス・梶村祐介キャプテン
個人的にはモチベーションがあったし、この強度のチームと対戦する機会はなかなかないので、チームとしても個人としてもどこまでできるかワクワクしていました。今日の試合でもディフェンスの課題が出ました。実際に失点につながったし、そういった点を改善しないと東芝さんもフィジカルがあり、コンタクトプレーで乗ってくるチームなので、今日の強度を基準に準備をしていきたい。
ラストまで食らいついたクボタスピアーズ船橋・東京ベイ
クボタスピアーズ船橋東京ベイとギャラガーチーフスの激しい対戦は、観客の期待を上回る展開となった。
前半はスピアーズが21対8でリードを許したが、後半に入るとスピアーズは怒涛の反撃を見せ、5点差で食らいつく。80分、試合終了のホーンが鳴った後、チーフスはスピアーズ陣内深くのマイボールラインアウトからトライを狙いに行く。しかし、前に出るスピアーズのディフェンスに対して、パスが乱れ、この日2トライを決めているWTB山崎洋之が前方にキック。両者チェイスするが、何とかチーフスが抑えタッチに蹴り出し試合終了。
GALLARY
この試合で注目されたのは、帝京大学4年のHO江良颯だろう。彼は今季入団し、アーリーエントリーに登録され、クラブ初キャップを勝ち取った。初めてのスクラムではペナルティーを獲得し、その後のセットプレーでも安定、さらに得意のボールキャリーで積極的な動きを見せ、場内を沸かせた。
またFBで先発出場したリアム・ウィリアムズも50/22を決めるなど、シーズンの後半にむけてスピアーズには好材料の一つだった。
昨年リーグを制したスピアーズは、今シーズンここまで3勝3敗の6位だが、直近の2試合は接戦を勝ちきり自信を取り戻している。この日の試合でもボールを動してブルーズを苦しめた。リーグ再開後は24日、花園近鉄ライナーズ戦。初勝利を目指すライナーズはこの中断期間にあらゆる準備をしてくる。決して楽な試合にはならないだろうが、連覇を目指すスピアーズにとっては取りこぼしが許されない。
クボタスピアーズ船橋・東京ベイ フラン・ルディケHC
こういう試合の機会を設けていただいた、日本協会、ニュージーランド協会の関係者に感謝したい。こういった試合は選手たちを成長させ、ファンの人達を増やす機会としてすごく大事だと思っていますし私としてはポジティブに捉えています。試合としてはいいコンテストができたと思いますし、攻撃的なマインドをもって取り組めた。うちもチーフスもキーとなる選手を温存するメンバーの中でスコアボードには反映されていなかったですが、最後までわからない試合でポジティブな試合だったと思います。
モチベーション的には全く問題なかったと思いますし、自分たちの選手もスーパーラグビーの選手に対してチャレンジする意欲はあったと思います。タイミングについては先にこういう試合があることを知っていれば全く問題ないと思いますし、むしろこういう試合を、シーズン中もどんどん増やしてほしいと思っています。
クボタスピアーズ船橋・東京ベイ ファウルア・マキシゲームキャプテン
(実際にスーパーラグビーのチームとやってみて)去年、今年とシーズンをやってみて、どのチームも強いし、実際今日やってみて、レベルアップしているので、フィジカルのところも十分日本のラグビーもレベルがあがっていると思いますし、特に違いはあんまりなかったです。