1月21日(土)、「NTTジャパンラグビー リーグワン」のディビジョン2の第4節が行われ、東京・江東区夢の島競技場では清水建設江東ブルーシャークスと三重ホンダヒートが対戦した。
試合は序盤から格上のヒートがアタックするも、ブルーシャークスのディフェンスのプレッシャーを受けて得点ボードは動かない。前半14分、ブルーシャークスが相手のパスミスからボールを奪いWTB野田涼太のトライで先制点を挙げた。
ただヒートも負けじとSO呉洸太のPGとSH根塚聖冴のトライで逆転に成功し7-10とヒートが3点リードして前半を折り返す。
後半10分にCTB渡邉弐貴のトライでリードを広げたヒートは、終盤にNO8パブロ・マテーラ、WTB本村直樹のトライでブルーシャークスを突き放し、10-29と勝利。3トライ差のボーナスポイントも獲得し3連勝し2位をキープした。一方のブルーシャークスはいまだ勝ち星なく4連敗を喫した。
この試合でリーグワン初トライも挙げ、試合後の会見で、「今日も東京でアルゼンチンのジャージーをたくさん見ることができて、本当に嬉しかった」と笑顔を見せたのが現役アルゼンチン代表のNO8マテーラだった。
マテーラは2019年のワールドカップではキャプテンとして「ロス・プーマス(Los Pumas)」ことアルゼンチン代表を牽引したバックローで、ボールキャリアや接点で常に身体を張ったプレーが持ち味としている。当然、2023年ラグビーワールドカップでアルゼンチン代表は日本代表と同組のライバルだ。
マテーラは高校生でラグビーを始め、2013年に20歳でアルゼンチン代表初キャップを獲得し、イングランドのレスター・タイガースでプレーした。2016年からアルゼンチンを本拠地とする、スーパーラグビーチームのハグアレスに加入した。その後は再び渡欧し2019年からはフランスのスタッド・フランセに在籍、2022年にはニュージーランドのクルセイダーズに移籍して優勝を経験した。
アルゼンチン代表としても2015年のワールドカップではベスト4に貢献、2019年の日本大会ではキャプテンを務めた。現在はキャプテンから外れたが中軸の一人としてアルゼンチン代表を引っ張る一人だ。
そんなマテーラは今季からリーグワン・ディビジョン2の三重ホンダヒートへ加入した。昨年11月のアルゼンチン代表の欧州遠征の後、チームに合流したマテーラは、これまで3試合の先発を含む4試合すべてに出場し、さすがの存在感を示している。
マテーラは、これまで母国アルゼンチンだけでなく、イングランド、フランス、ニュージーランドと世界の主要なリーグでプレーしてきた。
海外でプレーし続けている理由を問うと、「これまでどの国でプレーしても学べることがあった。違うラグビーを経験することで、自分のラグビーを向上させることができる」。さらに「選手として成長し続けたい」と、今シーズンから日本でのプレーを決めた。
リーグワンのチームからもいくつかのオファーがあったが「とてもアットホームなチームだと思った」と三重ホンダヒートを選んだ大きな理由だった。
「日本のチームがすべて同じようなスタイルやカルチャーを持っているわけではないので、自分の選択肢を見つめた時に、自分にとって一番重要なのはやはり家族のことだった。言葉も文化も違う場所で暮らすことは大変なことです。チームが家族をどう受け入れてくれるか。それはとても大切なことだし、それがまさにチームの価値観やスタンダードを表している。それが合致したのはヒートでした」(マテーラ)