9月29日、関東大学対抗戦が東京・秩父宮ラグビー場で2試合行われ、昨年7位の青山学院大学が昨年4位の筑波大学に挑んだ。ともに今年創部、100周年を迎える同士の激突となった。
開幕から連勝中の筑波大が有利と思われていた中で、前半5分、筑波大のSO楢本幹志朗が裏へキックを蹴り、スピードのあるWTB飯岡建人が押さえて先制した。
しかし、今年から糊谷ヘッドコーチがフルタイムとなり、2月からこの試合をターゲットに鍛えてきた青山学院大が反撃する。相手が得意とするラインアウト、そしてハイパントキックを上手く使ってプレッシャーをかけ続けた。
19分にWTB川端航聖、26分にはスクラムを起点にPR木村陽太がトライを挙げて14―7と逆転に成功。その後は、ともにPGを決め合って17-10でハーフタイムを迎えた。
後半3分、青学学院大学はPGを決めて20-10と10点差とした。しかし10分、筑波大はカウンターからWTB飯岡が2本目となるトライを決めた。さらに23-15となった後の17分、筑波大がスクラムを起点に攻めてSO楢本がトライを挙げて、自身がゴールを決めて23-22とついに1点差に追い上げた。
しかし29分、青山学院大が相手陣深く攻め込み、FWの近場にこだわって、最後はLO荒川真斗がゴール中央にトライをねじ込んで30-22と8点差にリードを広げた。
なんとか逆転を狙った筑波大は残り2分、左中間のPGのチャンスを得たが、SO楢本が外してしまった。最後まで身体を張ってディフェンスを続けた青山学院大学が30-22で勝利してノーサイドを迎えた。
なお青山学院大学が対抗戦で筑波大学に勝利したのは1993年以来31年ぶりだ。POMはトライも挙げた青山学院大学のLO荒川が選出された。
青山学院大学 糊谷浩孝ヘッドコーチ
しっかりと準備してきたことが出せたかな。それ以上に選手一人一人の勝ちたいという気持ちが上回ってこのような結果になったかなと思います。選手が今年からハードワークでトレーニングして、選手たちが喜んでいる姿が見られて嬉しい。ブレイクダウンのところで、1,2戦から修正できたので戦えたかなと思います。
――選手の意識に関して
本当に最初の頃はみんなストレスがたまっていたかと思います。今は逆に選手の意識も変わったので、そういったストレスがなくなって、行動ができるようになったことが、こういう結果につながったのかなと思います。一人ひとりが変わらないといけないというところで、なかなか今まで変わられなかった部分を、みんなで話し合いながらやってきた結果かなと思います。
――練習量、負荷も変わったのでしょうか?
練習量も当然、3部練習をやっていたので、負荷が増えて選手たちは頑張ってくれていたと思います。練習量も増えたし、それが結果につながっていると思います
青山学院大学 CTB河村凌馬主将
準備の部分にこだわって、それが結果として結びついたのが今日だったのかな。あとやっぱり、メンバーだけでなく、チーム全員で筑波大にチャレンジする意識が練習、ミーティングから相手を上回った部分かなと思います。
――初戦、2戦目からどう改善した?
初戦、2戦目も良い準備をして自分たちがやれるという肌感覚をコンタクトの部分で感じることができたことがすごく大きくて、後半、ペナルティーが多くなることが課題で、今週、チームとして何が必要か話し合って、規律というところが良くなった。
――シーズン始まったときからやってきたことは?
まず、大学選手権ベスト8という目標を掲げた中で、大学選手権に出場するために筑波、慶應は倒さないといけない相手というところで意識していた。それ以上に自分たちに向き合って、2月からハードワークしていた。どの試合にフォーカスというよりは、シーズンが深まれば戦い方を変えたりしていくが、自分たちが、初戦、2戦目でコンタクトに負けない身体を作る、走り勝つという基礎的な部分は2月からこだわってやっていた。そこに対して、今シーズンのスローガンの「徹底」をチーム全員が体現した。靴の並べ方一つやグラウンド以外でもこだわりをもって、どんなチームが愛されるのか、どんなチームが80分を終えて笑えるのか、追求、探求してやってきたのが今日だったと思います。
――他にも具体的に変えたことは
挨拶の部分やグラウンドの準備を授業で忙しくない4年生が積極的に取り組んだり、誰がやらなきゃいけないのではなく、気づいた人がやるというところ。それができていなかったら、全員で話し合って、グラウンド外も大切にしようというところは意識してやってきた部分です
――練習量は増えた?
時間は2倍、2.5倍くらい、走る量は3倍近くなったのかなと実感しています。
――対筑波戦ということでフォーカスしたことは?
(ディフェンスでは)10番の時間を奪おうとラッシュアップして、10番のパスが届く範囲の人はコネクトを切らせないようにした。アタックは分析で空いている部分が見えていたので底にボールを運ぶ。具体的には裏にボールを転がすところと、ミドルの突破は実行できたかなと思います。
トライを挙げてPOMに輝いたLO荒川真斗(3年)
筑波さんが愚直に身体を当ててくるのは想定していた。それ以上にシンプルに80分、身体を当てて走りきろうとメンバーだけでなく、チーム一丸勝ちにいくという準備が、河村組が始まったときから始まっていてそれが発揮できた。(シーズン当初から)筑波大さん、慶應大さん、立教大さんにフォーカスしていた。
――トライシーンを振り返って
チーム全員が作ったスペースに、たまたま自分の前がグラウンディングしただけだった。すごく嬉しかったですが、チーム全員のトライだったと思います。
――FWの成長を感じることは?
去年まで自分も試合に出させてもらっていて、対抗戦で、フィジカルで戦うのは劣勢だったが、練習だけでなく、ウェイト、走る量も増えた。今までは前半がよくても後半、突き放された。そこはフィジカルや体力といった根本的なところだと思うが、フィジカル、体力が改善されて身についたと思います。
――後半17分、1点差に迫られましたが
筑波の一番強いところで取られてしまった。僕だけ円陣で「自分たちが勝つため必要経費を使っただけで、勝つチャンスはある」と言っていました。フィジカルを鍛えてきたし、走ってきたし、自分たちの持つ自信があった。キャプテン中心に勝つというマインドしかなかった。