1月2日、MUFGスタジアム(旧:国立競技場)では第62回全国大学ラグビー選手権大会準決勝、明治大学(関東対抗戦1位)と京都産業大学(関西Aリーグ)の一戦が行われ、37-19で明治大学が勝利し、2大会ぶりのファイナル進出を果たした。
先制したのは明治。前半14分に京産大LO石橋チューカにシンビンが出され数的優位を活かし、16分、FL最上大尊が先制のトライ。京産大もすぐさまWTBエロニ・ナブラギのトライを返し同点とする。明治も譲らず、21分、CTB平翔大主将のトライで再び14-7とすると、25分には敵陣ゴール前のラインアウトからHO西野帆平が抜けてトライをあげると、明治アタックのモメンタムに反応が遅れた京産大がペナルティを連続で犯す。明治は平翔大が2本のPGを決めて27-7とリードを広げて前半を折り返す。

先制トライを決めた最上大尊

西野帆平

前半の終盤、平翔大がPGを2本しっかりと決めて突き放した
後半最初にスコアしたのも明治だった。59分、SH柴田竜成がルーズボールをキック。そのボールを自ら拾いそのままトライ。32-7とリードを広げた。

柴田竜成
25点を追いかける京産大はナブラギ、ポルテレと強いランナーが明治ディフェンスを弾き飛ばす圧巻のアタックでゲイン。それでも仕留めきれないフェイズが続くがようやく68分、シオネ・ポルテレがトライを決めると74分には、キックオフボールをキャッチしたWTB福永然がノーホイッスルトライを決めて追い上げるも試合終了。
京産大は12回目の選手権決勝に挑んだが今回も進出ならなかった。

シオネ・ポルテレ

太田陸斗

石川東樹

スクラム

エロニ・ナブラギ

シオネ・ポルテレが白井瑛人と跳ね飛ばしトライ

福永然のトライ
明治大学 神鳥裕之監督

明治大・神鳥裕之監督(左)、平翔大主将(右)
今日のゲームにおいては「負けたら終わり」というところですので、前半でしっかりとスコアを広げて折り返したことは、学生たちがしっかりと準備してきたことができたのかなと思っています。ただ、京産大さんも最後の最後まで諦めずに、本当に粘り強くディフェンス、アタックしてきた影響で、後半、少しスコアを離せなかったというのは、また次に向けての課題かなと思います。トーナメント戦ですので、しっかり勝って次に進めたということは大きな収穫だと思っています。最後、しっかり笑って終われるように、またいい準備をしていきたいと思います。
――後半の停滞した時間帯がありました。どう改善するか。
入りのところから京産大さんがすごくアタック、勢いよく攻めてきたというところもあって、なかなか自分たちのペースに持っていけなかったですね。
先にスコアを取った後だったので、理想としてはリザーブの選手で勢いをつけたかったんですけれども、ここは京産大さんが最後まで諦めなかったというところも大きかったんじゃないかなと思っています。
――決勝は早明戦になりました。意味合い、選手に伝えること。
今すごくジャストで、あまり深く考えてはないんですけど、個人的には2回(早稲田と)できるのがいいんじゃないかなと。学生たちは幸せかなと。大学ラグビーの中において、これだけ注目されるゲームを1シーズンで2回できるって、私が現役の時も確か同じようなこと考えてたので、「1回勝ったから勝てない」とか「負けたから勝てる」とかじゃなくて、シンプルに2回も早稲田と対決できるというのは、僕は幸せかなと思っています。
――秋にチームのエネルギーが上がった時期があった。今のチーム状態は?
戦うべきプランであったり、ゲームの中におけるチームの遂行力という観点で言えば、出ているメンバーだけではなく部員全員が、おそらく同じようなイメージを持って始められている、というところはあります。ミスをしないようなクオリティみたいなものはこの10日間でレベルアップできる時間はあると思います。
大事なのは「みんなが同じページをみる」という観点で言えば、部員全員が、おそらく「こうやって明治は今戦っていくんだろうな」というのを、みんな同じように見えている状況だと思います。
明治大学 平翔大主将

平翔大主将
本当に前半いい形で、自分たちがしていることを徹底できたんですけど、やっぱり後半にかけて点差が開いたときに、自分たちの隙というのが少し見えていた部分もあったので、「15アライブ」するためにも、しっかり生きた人間をしっかり増やしつつ、タックルの精度だったり、横とのコネクションというのを、しっかりもう一度上げて、来週の決勝に向けて準備していきたいと思っています。
――後半のスタートからのところ、どう感じたか、どう引き締めるか。
そうですね。やっぱり一つのタックルの精度だったり、そういうミスで相手に勢い付けられるシーンがあったと思うので、そこはチームでもう一回気を引き締めて準備していきたいなと思っています。
――早明戦で勝利した早稲田と選手権の決勝で再戦します
早稲田さんはリベンジという形で、本当に勢いに乗ってくると思うので、勢いに乗った時でも、しっかり自分たちのプランを確実に、もう一度全員で見直して、確実に成功していきたいなと思っています。
――今日の試合のテーマと、達成度は?
テーマは「15アライブ」ということで、どれだけ“生きた人間”がピッチでプレーし続けられるか、というのが気になってきたんですけど、やっぱり後半、タックルの精度でゲインされて、“死んだ人間”が増えてきて、トライにつながるシーンが多かったので、タックルミスの後の帰りとかも、残り1週間でしっかり徹底していきたいと思っています。
――「15アライブ」を準決勝で改めて使った理由は?
前の関学戦で、“死んだ人間”が外を展開するのが多かったので、生きたプレーヤーが増えるように「15アライブ」を掲げました。
――「生きた人間」が少なくなった。前半ポジションできていたが、後半どうだったか。
ずっと言ってるんですけど、タックルの精度や、ディフェンスでいうとコネクションが切れるシーンが多かったので、常にトークしながら横とつながっていきたいなと思っています。フィットネスはあまり問題ないと思います。
――秋にチームのエネルギーが上がった時期があったと思いますが、それを踏まえて今はどんな状態だと感じますか。
シーズン終盤にかけて、一人一人がチームのために動いているなと実感しています。1試合1試合に向けた準備、プランのところで全員が共通認識で入れているので、どんな状況になったとしても、全員がプランを最後まで成功させることを認識している。そういった意味では、チームのまとまりは強くなったと思っています。
――京産大側は「明治のアタックのスピード感についていけなかった」と言っていた。前半のアタックの手応えは?
京都産業大学さんは内から流してくるディフェンスなので、それに対して自分たちがどれだけスクエアに走り込むか、というのを1週間準備してきました。そこは80分通して「スクエア」という部分では体現できたのかなと思っています。
京都産業大学 廣瀬佳司監督

京都産業大学・廣瀬佳司監督(左)、伊藤森心主将(右)
本日はありがとうございました。明治大学は非常に力のあるチームで、我々は挑戦者のつもりでこの試合に臨みました。前半は相手から強いプレッシャーを受け、自分たちで無理をしてしまう場面が多く、ペナルティを犯したり、ラインブレイクを許したりして失点を重ねてしまいました。その前半の失点が、後半まで響いた試合だったと思います。ただ、最後までチームのエネルギーは落ちることなく、良いトライも生まれましたし、最後まで戦い抜いてくれたことには感謝しています。結果としてベスト4の壁は越えられませんでしたが、今日の内容は今後につながるものだったと感じています。
――明治大学戦に向けた準備と狙い
我々が特にこだわってきたのは接点の部分です。明治大学もそこに強いプライドを持つチームですので、単純に勝ちにいくというよりも、相手を慌てさせる展開を作ることを狙って準備してきました。アタック、ディフェンスともに、相手のリズムを崩す場面は作れたと思います。ただ、前半の失点が多く、勝ちにつなげるところまでは届きませんでした。
―― 勝ち切るために足りなかった点
ワン・オン・ワンタックルの精度や、個人のスキルも含めてですが、自分たちの得意な形に持ち込めれば、戦えるところまでは来ていると思っています。ただ、それを試合の中で、相手より多くの時間作るということが、現代ラグビーでは欠かせないと思っています。今日は、僕たちのラグビーをする時間よりも、明治大学さんがやりたいラグビーをする時間の方が長かった、という印象です。
――規律・1対1のスキルについて
選手の能力を上げることもそうですし、練習の中でそういった部分を向上させていくことだと思います。特に関東のチームと対戦すると、関西のチームよりもスピードがありますので、そのスピードに対応するというところは、大学選手権に入ってからも取り組んできました。ただ、相手の圧力を受けてしまって、規律が乱れる部分もあると思います。いかに相手の圧力に屈しないか、逆にこちらが圧力をかけていけるか、そういうところでチーム力の差が出ていると感じています。
――前半14人でのディフェンスについて
一人少ない状況で非常に苦しい時間帯もありましたが、ピッチに立っていた選手たちは本当によく守ってくれました。簡単なフェーズでスコアされる場面は少なかったと思います。ただ、何フェーズ重ねても最後に取り切る力が、明治大学の強さだと感じました。ひたむきなプレーはできていましたが、それを敵陣でもう一度発揮したかったという印象です。
京都産業大 伊藤森心主将
本日はお集まりいただき、ありがとうございます。試合を通して、明治大学のハイアタックに対して後手に回る場面が多くありました。前半にスコアを重ねられ、後半は修正できた部分もありましたが、最後まで点差を縮め切ることができなかった、というのが試合全体の印象です。
―― 1対1と組織ディフェンスについて
僕たちは、個々の能力では明治大学さんに劣っていないと思っていました。なので、組織的なディフェンスとアタックで、1対1で止められなくてもダブルタックルに入る、そういうところを意識していました。ただ、どうしても1対1の局面になってしまって、そこでワンステップで抜かれたり、外を走られたり、フォワードでもタックルを弾かれる場面がありました。もう少し相手のボールサイクルのテンポを落とせていれば、組織的なディフェンスもできたと思うんですが、サイクルの速さの中で徐々に歪みが生まれて、そこをうまく突かれたなという印象です。
――京産大らしさ、ひたむきさ、謙虚さは今日の試合で出ていたと思いますか。
前半の早い段階でシンビンが出て、14人でディフェンスする苦しい時間帯もありましたが、ピッチに立っていたメンバーはディフェンスでもハードワークしてくれました。簡単なフェーズでスコアされる場面は少なかったと思います。ただ、何フェーズ重ねてでもスコアしきってくるのが、明治大学さんの強さであり、対抗戦で揉まれてきたチームの強さだと感じました。ひたむきなプレーは随所に見られましたが、それをもう少し敵陣で多く出したかったという印象です。
――下級生へのエールをお願いします。
僕から偉そうに言える立場ではないですが、京産大らしさである「謙虚に、ひたむきに努力すること」は、これからもずっと続けてほしいと思います。下の代にはU23や日本代表に入っている選手もいますが、カテゴリーに縛られず、どんな環境・どんなグレードでも努力し続けることが大切だと思います。ポテンシャルは十分あるので、天狗にならず、ひたむきを忘れずに、また次のシーズンに向かって頑張ってほしいです。
――試合前のイメージと、実際に当たってみての違いはありましたか。
用意していたサインがはまってスコアできた場面もありましたし、フィジカル面で大きく負けている印象はありませんでした。
ただ、一番差を感じたのはボールサイクルのスピードです。ディフェンスが揃わない中で、スクラムハーフやスタンドオフの伊藤選手を中心に、空いたスペースにうまくボールを展開されました。捕まえきれずに下げられる場面が多く、スピード、セットの速さに一番差を感じました。
――ラストプレーと試合後の思い
ラストワンプレーは、戦術も何もなく、本当に「前に行くだけ」でした。京産大のプライドを示して、最後スコアして終わりたかったですが、相手に絡まれてしまいました。あそこで諦めたら、京産大の選手じゃないと思っています。スコアがどれだけ離れても、最後まで自分たちのラグビーを貫く。それがこの4年間、この大学で貫いてきたことです。試合が終わった瞬間は、まだ4年間のラグビーが終わったという実感は湧いていません。後輩や同期が「ありがとう」と言ってくれて、本当に嬉しかったです。自分がこのチームに何を残せたかは、まだ分かりませんが、今日の試合を踏み台にして、京産大がもう一つ上のステージに行けることを願っています。



