ピッチサイドで組まれた円陣から、すすり泣きが聞こえた。
「悔しいか?」
円陣に入った後藤翔太ヘッドコーチが静かな口調で話しかける。
「悔しいな、そうだよな。ここで悔しがれるところまで来たんだな」
円陣を組んでいたのは追手門学院大女子ラグビー部の面々だった。
7月26日、太陽生命ウィメンズセブンズシリーズの今季最終戦、横浜大会。
追手門学院大は、1次リーグCプール3位からカップ戦決勝まで勝ち上がり、決勝で女王アルカスクイーン熊谷に挑戦。結果は5-26で敗れたが、女王を相手に何度もトライチャンスを作るなど堂々たる戦いぶりで、準優勝の成績を残した。
追手門学院大女子ラグビー部は創部3年目。とはいえ、選手はほぼ半数が初心者だ。
経験者は石見智翠館から門を叩いた福島わさな、中美咲、藤埜瑳紀、そしてラガールセブンウエストから学士入学した大島千佳程度のものだ。
太陽生命ウィメンズセブンズシリーズには、昨年の横浜大会で初出場したが、エースの福島と大島がともに負傷で出場できず、6戦して全敗、出場10チーム中最下位に終わっていたのだ。
「そこから、やりかたを180度変えました」と後藤ヘッドコーチは言う。