サクラセブンズ、2025年もワールドシリーズ参戦が決定! | ラグビージャパン365

サクラセブンズ、2025年もワールドシリーズ参戦が決定!

2024/06/04

文●大友信彦


サクラセブンズがワールドシリーズ残留を果たした。
5月31日から6月2日までスペイン・マドリッドで開かれたセブンズワールドシリーズことHSBCSVNSグランドファイナルで行われた新フォーマットの昇降格プレーオフ、ワールドシリーズ年間9位だったサクラセブンズは激戦を勝ち抜いて残留を果たした。

第1戦 ○32-0ポーランド

サクラセブンズがグループ最下位のポーランドに圧勝。好スタートを切った。
日本は2分、松田凜日のブレイクから中村知春が先制トライ。4分にも松田凜日のゲイン&オフロードパスから中村知春が左中間にトライ。さらにラインアウトで相手ボールを中村がスチール、大谷芽生のビッグゲインから堤ほの花がトライ。田中笑伊のコンバージョンも決まり17-0とリードして折り返す。

辻崎由希乃

辻崎由希乃



日本は後半も攻撃の手を緩めない。相手キックオフボールのこぼれ球を蹴り込まれ自陣ゴール前まで戻されるが、そこから大竹風美子がビッグゲイン。ハーフウェー手前まで陣地を戻すと、中村がロングパスでサイドチェンジ。このパスを前に出ながら捕球した堤ほの花が50m独走してトライ。さらに3分には中村がキックチェイスで相手ゴール前まで走り込んでボールを確保してPK。いったん相手ボールになったが、相手キックをチャージした中村から原わか花-西亜利沙とつないでトライ。ホーンがなったあとも攻め続けて大竹がトライを加え、32-0と圧勝した

第2戦 ×14-17中国

第2戦の相手は中国。初戦ではコアチームのスペインに12-7と競り勝った。かつてブラックファーンズを率いたゴードン・ティエッチェン氏がテクニカルアドバイザーに就き、チャレンジャーシリーズで3大会連続優勝してくるなど絶好調だ。

試合は互いに激しく前に出て相手の時間を奪うディフェンスでプレッシャーをかけあう展開。日本は3分、相手DFの出足を逆手に取った大谷芽生のビッグゲインから平野優芽がDFの隙間をすり抜ける得意のランでトライ。田中のコンバージョンも決まり7点を先制する。
絶好のスタートを切った日本だったが、ここで中国選手に負傷があり、治療と退場で試合はおよそ5分以上にわたって中断。

大谷芽生

大谷芽生



これで微妙に流れが変わってしまったようだ。中国はアタックの出足が良くなり、対照的に日本DFの出足がやや鈍り始める。前半残り1分から2連続トライをあげ10-7と逆転して折り返した中国は、後半早々の2分にもトライ。17-7とリードを広げる。

辻崎由希乃

辻崎由希乃




日本はディフェンスでボールを奪ってもそこからのアタックで取り急いでしまいミスを連発。7分にようやく堤ほの花がトライを返し14-17と追い上げるが、次のキックオフをタップバックしたボールを中国がキープし、ホーンを待って蹴り出し試合終了。中国が接戦を制した。


堤ほのか

堤ほのか




第3戦 ○26-14スペイン

プール最終戦の相手は地元スペイン。今季ワールドシリーズ12位、大会ごとに激戦を繰り広げてきた相手だ。
日本は開始直後のスクラムから大谷芽生-平野優芽のコンビネーションで攻め込み、大谷が先制トライ。その後、スペインが2トライを奪い14-7と逆転して折り返すが、日本は後半キックオフ直後に得たPKを中村がクイックスタートして大竹風美子がトライ。

大竹風美子

大竹風美子



西亜利沙のコンバージョンで14-14の同点とすると、4分にはやはりPKの速攻から堤が鮮やかなスワーブで相手DFを1-1で抜き去り回り込んでポスト左にトライ。このコンバージョンは外れたが。5分に西のジャッカルで得たPKからクイックスタートした平野優芽が独走トライ。26-14で地元スペインを破った。


平野優芽

平野優芽

最終戦 ○26-12アルゼンチン

プールAで2位となった日本の最終戦の相手はプールB3位のアルゼンチン。同じラテン圏のチームとあって、地元スペインに次ぐ大声援が贈られ、スペイン戦に続くアウェーの雰囲気の戦いとなった。

アルゼンチンのキックオフで始まった試合は、日本が自陣からアタックに出るものの自陣22m線でペナルティー。アルゼンチンはスクラムを選択し、左サイドへムーブ。日本DFは逆を突かれ、完全にフリーになるが相手が落球。ピンチを敵失で救われると、このスクラムから平野優芽主将がビッグゲイン。

矢崎桜子

矢崎桜子



さらに田中笑伊、中村知春が相手ゴール前までボールを運び、いったんボールを奪われたものの矢崎桜子のタックルで奪い返し、持ち出した平野からオフロードパスが通り田中が左中間に先制トライ。自陣ゴール前のピンチから長いプレーでボールをつないであげたスリリングなトライに、スペインの観衆も大きな喝采を贈った。

さらに次のキックオフからも相手ノックオンを平野が拾ってゲイン。相手陣に攻め込んだラックから中村知春がショートサイドを突破してそのままトライ。左隅のコンバージョンを田中が決め12-0とリードした。

アルゼンチンもそこから反撃。ハーフタイムをはさんで2連続トライを奪い12-12の同点に追いつく。しかし、その直後にアルゼンチンに反則がありイエローカード。数的優位のチャンスを得た日本は、アルゼンチンのプレスDFの圧力を受けながらも丁寧にボールをつなぎ、3分に大竹風美子が左サイドを70m独走する豪快な勝ち越しトライ。西亜利沙のコンバージョンも決まり19-12と再びリードを奪う。
さらに5分にはキックで自陣22m線まで攻め込まれながら矢崎桜子がカウンターアタックでハーフウェーまで攻め返し、そこから中村知春がDFのギャップを突いて50m独走トライ。西がコンバージョンを決めて26-12として勝負を決めた。

中村知春は4試合で堤ほの花と並ぶチーム最多の4トライをスコア。ワークレートの高さに加えチャンスにトライを取りきる決定力も見せ、チームを残留に導いた。復帰組の大竹風美子も3トライ、松田凜日はトライこそなかったが懐深くタフなプレーを反復し、パリ五輪に向け計算できる戦力であることを実証した。


プレーオフ残り3試合の結果は次の通り。
中国 33-0 ベルギー
スペイン 22-0 南アフリカ
ブラジル 38-7 ポーランド
日本とスペイン、ブラジルはコア残留、中国が新たに昇格して南アフリカが降格した。

HSBCSVNS2025(女子)はオーストラリア、NZ、フランス、米国、カナダ、フィジー、アイルランド、英国、日本、ブラジル、スペイン、中国の12カ国によって行われる。

鈴木貴士HCと選手のコメントは以下の通り。

鈴木貴士ヘッドコーチ

「昨年12月から始まったワールドシリーズを通して、サクラセブンズを応援いただき、また直接会場に足を運んでくださった皆様、本当にありがとうございました。今大会はこれまでと違ったプレッシャーの中、とても難しい状況ではありましたが、選手達が最後まで粘り強く戦ってくれたことに本当に感謝いたします。このワールドシリーズを通して、サクラセブンズとして色々な意味で成長できた部分は大きかったと思います。しかし、ここが私達のゴールではありませんので、オリンピックに向けて更に成長できるように、一日一日を大切にやっていきたいと思います。引き続きサクラセブンズの応援の程、よろしくお願いいたします」

平野優芽キャプテン

平野優芽

平野優芽



「今大会はワールドシリーズ残留をかけ絶対に負けられない大会でプレッシャーもある中、最後まで走り続け、身体を張り続けてくれたチームメイトに、感謝の気持ちでいっぱいです。残留を決め、パリ五輪後のサクラセブンズへ繋げることが出来ました。まだまだパリ五輪でのメダル獲得には成長すべきところや課題はありますが、最後まで自分達のラグビーを信じ切り、残りの期間で質を高めていけるよう、サクラセブンズ全員で頑張っていきます。日本からまた現地での沢山のご声援、ありがとうございました」


大竹風美子選手

大竹風美子

大竹風美子



「たくさんの応援本当にありがとうございました!応援の声、しっかり届きました!ワールドシリーズは本当に特別で尊い場所です。 その出場権を得るための大事な大会でした。チーム全員が“未来のサクラセブンズのために"の一心で、戦い切ることができました。 こういった負けられないプレッシャーのかかる試合で、勝って終われたことは本当に良かったです。個人としても、このジャージーを着て戦うことが本当に誇らしく、この機会に感謝したいです。今後さらにチームとして成長し続けられるように頑張ります。引き続き応援のほど、宜しくお願いします!」


梶木真凜選手

梶木真凜

梶木真凜


「応援ありがとうございました。SVNS2025 出場を決められて、ひとまず嬉しく思います。今大会は、厳しい試合を勝ち切れたのは良かったですが、課題が見つかる大会でもありました。サクラセブンズのこだわりをもっと体現し、パリオリンピックで桜を咲かせられるよう、 日々精進して参ります。引き続き応援よろしくお願いいたします」

中村知春選手

中村知春

中村知春



「コアチーム残留を勝ち取り、ひとまずほっとしています。昇格のかかった大会はプレッシャーのコントロールが難しく、試合前半で相手の勢いに受け身になってしまう場面が多くありました。特に予選での一敗は、非常に悔いが残ります。しかし、今季はワールドシリーズの 7 大会の中で多くの振れ幅の試合を経験することができました。サクラセブンズとして次の五輪がゴールではなくスタートとなるように、スコッドメンバー一丸となって残りの期間高め合っていきます」

お知らせ! パリ五輪セブンズ応援企画 「高田馬場でセブンズに浸ろう!」開催

※RUGBYJAPAN365では、パリ五輪に挑む男女セブンズ日本代表の応援アクションを東京・高田馬場にあるラグビーバー「ノーサイドクラブ」と共同で企画しました。


パリ五輪セブンズ応援企画 「高田馬場でセブンズに浸ろう!」


いよいよ迫ったパリ五輪。悔しさを味わった東京五輪から3年、男女セブンズ日本代表の活躍を祈って、五輪の舞台で活躍した男女セブンズのレジェンドをノーサイドクラブにお招きし、セブンズの魅力、五輪の魅力、さらにフランス帰りのお2人にはフランスの魅力を伺いつつ、パリを目指す男女セブンズに応援パワーを届けましょう!





■サクラセブンズ応援ナイト(女子):6月16日(日)19時開場、19時30分開演
ゲスト:鈴木彩香さん(2016年リオ五輪、2009、2013年RWC7s、2017年RWC出場)
冨田真紀子さん(2016年リオ五輪、2013年RWC7s、2017年RWC出場、2023年フランスでプレー)


■サイモンジャパン応援ナイト(男子):6月28日(金)19時開場、19時30分から
ゲスト:坂井克行さん(2016年リオ五輪、2013、2018年RWC7s出場)
合谷和弘さん(2016年リオ&2021年東京五輪出場、2023年フランスでプレー)
■MC:ともに大友信彦(スポーツライター、RUGBYJAPAN365スーパーバイザー)
※採録を後日、ラグビー専門WEBマガジン『RUGBYJAPAN365』(会員専用ページ)にて掲載予定。


■会費:¥5,000- (1Drink付) ※お食事/追加のお飲み物/は各自ご注文でお願いします!
■会場:ノーサイドクラブ(東京都豊島区高田3-10-22 キャッスル安斎ビル2F)
■定員:40人
■ご参加申し込み方法:お名前と人数を明記の上、「nosideclub@gmail.com」までご連絡下さい。 お申込はお一人様3名様までのお申込とさせて頂きます。 複数名さまでのお申し込みの際は全ての方のお名前をお知らせ下さい。 お申込みが定員に達し次第、受付終了とさせて頂きます。 尚、両日とも前日の正午12時以降のキャンセルにつきましては 大変恐縮ですが、キャンセル料と致しまして 全額(5,000円)を頂戴する形とさせて頂きますので 予めご了承の程何卒、宜しくお願い申し上げます。


大友信彦
(おおとものぶひこ)

1962年宮城県気仙沼市生まれ。気仙沼高校から早稲田大学第二文学部卒業。1985年からフリーランスのスポーツライターとして『Sports Graphic Number』(文藝春秋)で活動。’87年からは東京中日スポーツのラグビー記事も担当し、ラグビーマガジンなどにも執筆。

プロフィールページへ


 

記事検索

バックナンバー

メールアドレス
パスワード
ページのトップへ