日本のセブンズ(7人制ラグビー)の命運をかけたパリ五輪アジア予選が始まる。
日時は11月19-20日の2日間、会場は大阪のキンチョウスタジアムだ。五輪に7人制ラグビーが正式種目として採用されたのは2016年リオデジャネイロ五輪から。そのときは男子は香港で、女子は香港と日本の2大会で予選が行われ、男女とも日本が勝利、五輪出場権を獲得した。次の2020年東京五輪は開催国ということで予選免除となり自動的に出場した(五輪はコロナで延期され2021年に開催された)。
そして今回、パリ五輪のアジア予選が日本で行われる。男女の日本代表にとっては(他の種目でもそうだが)リオのとき以来、8年ぶりに五輪予選を戦うことになる。
10月27日、アジア予選を控えたサクラセブンズこと7人制女子日本代表の熊谷合宿がメディアに公開された。
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梶木真凜
練習では1on1のタックル、キックオフやハイボールキャッチからのカウンターアタックなどを入念に反復。キックオフのディフェンス(レシーブ)ではクリーンキャッチではなくタップバックして地面にボールを落とすプレーが目立った。
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吉野舞祐
これについて鈴木貴士HCは「アジアシリーズではキックオフへの反応が課題として出ましたので」と説明した。日本女子は昨季(2022年11月-2023年6月)のワールドシリーズにコアチームとして参戦。最後のフランス大会で史上最高順位の5位に入るなど好成績を収めたが、中国・杭州で行われたアジア競技大会では決勝で中国に敗れ銀メダルに終わった。
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三枝千晃
この結果について鈴木HCは「ワールドシリーズではチャレンジャーとして向かっていけたけれど、アジアではどうしても挑戦を受ける立場になってしまう。そういう中でも勝てるように、最初から100%の力を出せるようにしたい。特にアジアシリーズの中国との試合では、キックオフのこぼれ球を拾われて、そのまま持って行かれる場面が多く出てしまった。そこを修正して、試合の最初から自分たちのラグビーをできるようにしたい」
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鈴木貴士HC
10月28-29日の2日間は、熊谷ラグビー場Bグラウンドで開催された第6回全国U18女子セブンズのインターバルにサクラセブンズとSDSトレーニングメンバーによるエキシビションマッチが行われ、近未来の代表入りを目指す若手の目の前で世界に挑むサクラセブンズのレベルを披露した。U18のレベルは着実に上がっているが、球際の厳しさ、切り返しの素早さ、一瞬で到達するトップスピード、強度の高いプレーを続ける一貫性には、サクラセブンズが世界の修羅場を重ねて獲得してきた財産が垣間見えた。
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前回リオ五輪予選を知る唯一の選手となった大黒柱の中村知春も、アジア競技大会での負けを前向きに受け止めていた。
「私自身、五輪予選は2回目ですが、アジア競技大会で銀メダルに終わったことで、改めて、挑戦者の気持ちで試合に臨むことの大切さを学びました」と話す。
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中村知春
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大竹風美子
「アジア競技大会では、必死さの部分で中国が優っていた。あのタイミングで課題をもらえたのはありがたいです」
五輪では、他の大会とは違う緊張感が生まれると言われる。それは予選にも言えることだ。独特のプレッシャーがかかると同時に、独特のモチベーションも生まれてくる。その意味で、8年前の五輪予選を経験している中村の経験値は頼りになる。
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