「選手は、自分たちで修正していました」
有水剛志ヘッドコーチはそう言って、笑った。
「この天気ですから、選手はまず着替えさせないといけないけど、女子ですから、僕ら男性スタッフは中に入れないんです。僕らがロッカーに入ったのは、ハーフタイムの残り3分くらい。そのときにはもう、選手たちがユニットごとに修正の話をしていましたね」
雨が降り続く中で行われた女子アジア選手権の香港vs日本の一戦。1週間近く降り続いたという雨で、グラウンドは重く水を含み、足首まで水に沈む。恐ろしいほどの湿気で体中から汗が噴き出す。
サクラフィフティーンはこの試合、男女の日本代表を通じて最年少記録となる17歳になったばかりの黒木理帆(石見智翠館高2年)、パディヴァカイロロ・ライチェル海遥(都立板橋有徳高3年)がCTBに、WTBにも堤ほの花(佐賀工高3年)という3人の高校生を先発のBKに並べるなど、攻撃的な布陣で臨んだ。
しかし、降り続く雨と滑るボール、そして香港の闘志と、かなり地元びいきのレフェリング……若いサクラフィフティーンは、なかなか自分たちのリズムを掴めなかった。
前半は5−5の同点。