桐蔭学園が御所実業に勝利し、史上2校目の選抜大会3連覇を達成 | ラグビージャパン365

桐蔭学園が御所実業に勝利し、史上2校目の選抜大会3連覇を達成

2019/04/07

文●編集部


7日、熊谷ラグビー場では第20回全国高校選抜ラグビーフットボール大会の決勝が行われた。

決勝に進出したのは桐蔭学園(神奈川)と御所実(奈良)の2校。準決勝で関西王者の京都成章(京都)に劇的な逆転勝利をした桐蔭学園は「今日のゲームテーマは『前に出る』」(藤原秀之監督)前日2時間のミーティングで自分たちが今できることにフォーカスをおいて臨んだ。

一方、同じ奈良県の天理高校との準決勝で1点差の接戦を勝利しファイナルの舞台にたった。過去の対戦では桐蔭学園はこれまで御所実業に勝利したことがなかった。

御所実が強みのモールで押し込む

御所実が強みのモールで押し込む

序盤、御所実業がラック周辺でのプレッシャーで桐蔭学園のアタックを止め、リズムをつかむ。8分、長船鉄心(3年)のトライで先制。準決勝ではFBだったが決勝ではWTBで出場の石岡玲英(3年)のコンバージョンも決まって7-0。さらに19分にもNo8西林勇登(3年)のトライで14-0とリードを広げる。

長船のトライで先制。

長船のトライで先制。

 

昨年の花園準優勝時を経験しているSH亀井

昨年の花園準優勝時を経験しているSH亀井

 

桐蔭はSO伊藤主将のゲインから攻勢に転じる

桐蔭はSO伊藤主将のゲインから攻勢に転じる

 

桑田のPGで3点を返す。

桑田のPGで3点を返す。

桐蔭学園は25分、CTB桑田敬士郎(3年)のPGで3-14。さらに前半終了間際、ゴール前の攻防で桐蔭学園はFWにこだわって最後はSH亀井健人(3年)のトライで10-14と追い上げて前半を終えた。

No8佐藤の突進

No8佐藤の突進

 

前半終了間際にSH亀井のトライで10-14と追い上げて前半を終えた。

前半終了間際にSH亀井のトライで10-14と追い上げて前半を終えた。

 

後半に入ると、御所実業の足が止まりはじめ前半見せたような出足鋭いディフェンスが影をひそめる。ブレイクダウンでのプレッシャーが次第に弱まると桐蔭学園が強みである展開ラグビーでフェイズを重ねるごとに前進。流れが桐蔭へ傾く。

後半4分、岡広将(3年)のトライで桐蔭が逆転すると16分にはFL石塚勝己(3年)のトライで24-14とリードを広げる。19分、桐蔭のミスから御所実が敵陣22m内側でマイボールラインアウト。そして強みであるドラインビングモールで押し込む。ゴール前5m付近でショートサイドに展開し、WTB石岡のトライで19-24と再び1トライ差に迫った。

後半16分、石塚のトライで24-14。

後半16分、石塚のトライで24-14。

 

19分、桐蔭のミスから御所実が敵陣22m内側でマイボールラインアウト。そして強みであるドラインビングモールで押し込む。ゴール前5m付近でショートサイドに展開し、WTB石岡のトライで19-24と再び1トライ差に迫った。

勝負を決めるトライを決めたのは2年生No8佐藤だった。

勝負を決めるトライを決めたのは2年生No8佐藤だった。

残り10分弱、桐蔭はマイボールを継続。御所実は点差と時間を考えるとペナルティーを気にしながらのディフェンス。26分、No8佐藤がゴールポスト左にボールを持ち込むもグラウディングが認められず、5mスクラム。今度はLO青木(2年)がインゴールへ持ち込むも再び御所実がディフェンス。再び5mスクラム。SH島本が8番の位置へ、No8の佐藤がボールを入れる。佐藤が右へ流れ9番、8番で展開。御所実も対応し止める。桐蔭がボールをキープしゴール前の攻防。ラックサイドの後方にいたNo8佐藤が勝負を決めるトライ。そのままフルタイムを迎え29-19。桐蔭学園が史上2校目となる大会3連覇を果たした。

史上2校目の3連覇を果たした桐蔭学園

史上2校目の3連覇を果たした桐蔭学園

 

「桐蔭のラグビーはこういうラグビーをやっていくんだという伝統を築きあげてくれている」桐蔭学園 藤原秀之監督

(今日のゲームテーマは)今日は「前にでる」ということをテーマにしていました。その前のときは「低くする」というものでしたが、できないなということで選手たちが一つ目標を下げていました。できないことをやるんじゃなくてできることをやろうと。昨日の夜、ミーティングを2時間ほどやって、いろんな意見をだしあって、そういうテーマにしました。

(前半は厳しい展開でしたが)キックオフであんなにミスしてはだめですよね。2本取られましたがまだ18分だったのとそれで折り返してくれてよかったかなと思います。

(ワールドカップが行われる会場で試合をすることについて)最高ですね。ここをもっと満員になったら…。ロッカールームも素晴らしくて選手たちのモチベーションも上がりますよね。

(試合のコンディションについて)体のあたりも厳しく、特に決勝トーナメントになると一試合ごとに重いのでこの日程はタフですね。

だんだん桐蔭のラグビーはこういうラグビーをやっていくんだという伝統を築きあげてくれていると思います。先輩たちがこうやって歴史を作っていて、それを超えなければならないという。本当にしんどいですよね。10回大会から全大会でベスト8以上。ここ5年では、ベスト4以上に入っているというデータがあったんで大変だなという話を(選手たちに)この大会のはじめにしました。先輩たちはすごいことをやってきたんだと。これで4年連続決勝進出ですから。次はサニックス(ワールドユース)ですから、そこにむけて準備します。

桐蔭学園 伊藤大祐キャプテン

(チームの強みは?)FWは機動力、BKはスピードだと僕は思います。
(この大会を通じての課題は?)ミスが多かった、それはスキルの部分だったり、気持ちの部分だったり。もう一度自分たちが何をしなければならないのかということ考えて、基本的なスキル、パス、キャッチといったところをもっと重点的にやっていきたい。そこをないがしろにしては上に上がっていけないと思います。

桐蔭学園 佐藤健次

(相手からマークされることに対しては)慣れというものないですけど、あまり気にしないようにしています。マークされているのであれば、それをマイナスに捉えるのではなく、プラスに考えて、周りを活かそうというプレーをしようとうまく頭の中で切り替えることができるようになってきました。ちょっとでも前が空いたら、トップスピードで抜いてやろうという気持ちは試合中、常に思っています。自分は足の速さで相手を抜くというよりハンドオフだったり技術を使いながら抜いていきたいなと思っています。

桐蔭学園 岡 広将

三連覇がかかっていたので気持ちの部分はきらすことなくプレーできました。自分たちの成章戦ではFWが負けてしまう部分がありましたが、今後の試合を考えてもFWで圧倒することが大きなアドバンテージなるだろうと思っていましたので、体で当たりにいくということにチャレンジしました。予選の大分東明戦とか、チャレンジが足りなかったとスタッフからもチームのミーティングでも出たのでそこは決勝トーナメントに入ってからこだわっていました。

(前半、後半でFWでゴール前攻めきってトライまで取りきりました。そこはこだわっていた部分?)相手もFWが強く仕上げてくるということはわかっていたので、自分たちとしても、FWの中で、相手より一歩でも上回っていけば、これからの自信にもつながるし、試合でもいい時間が作れると思っていたので気持ちを入れてやっていました。

御所実業 竹田寛行監督


ディフェンスは結構、継続できるようになってきた。秋に向けては、あとはマネジメントだけですね。点の取り方、ゲーム運び方、大会で成長できたので、今後も伸ばしていきたい。(近畿大会から)10試合ですよ、名前のあるチームばっかりでしたが、フィジカルで戦えました。(また準優勝でしたが)・・・頑張ります。

御所実業 津村大志キャプテン


昨日のミーティングでは相手の8番、10番にいいランをさせるときついという話をしていましたが、受けてしまい余裕を与えてしまいました。そしてだんだんと強いランナーにボールを集められてしまいました。そしてテンポよくボールを展開させられ、ディフェンスが甘くなったところをゲインされました。

プレーやっている中で、こういう全国大会でキャプテンをやらせてもらっているという誇りをもって、相手はいいBKが揃っているんで、そこは自分がもっと体を張っていかなければと思っていました。

(相手との差はどこに感じた?)最後まで勝ちたいという思いの部分だと。
(前半と後半)体が小さい分、フィジカルでもフィットネスでも相手のレベルがずっと上で、まだまだ追いつける感じではなかった。一人がどんなに頑張ってもあと14人が頑張らなければならないときにしんどいのを我慢できなければならないし。フィットネス負けていたことで、自分たちの強みを出すことができなかった。

モールが自分たちの武器なので、敵陣に入ることができてモールを組むことができれば、絶対にトライをとれる自信はありました。とにかく前に出て、モールを組もうと話をしていました。(自陣を脱出するために)FWはとにかく前に出て、早くボールを出すために運動量をあげていこうとということと、BKが蹴りやすい位置までボールを運んでキッキングさせようというところをしていました。

(相手のフィットネスはそこまで落ちてこなかった?)相手も苦しくて落ちてきていましたが、やっぱり「走り負け」てしまいました。

(花園に向けて成長させていきたいことは?)絶対今日のようなしんどい場面は今後増えてくると思うので、しんどくなって来たときにこそ、自分がチームを引っ張っていけるように。チームとしては全員がフィジカル、フィットネスをあげて、こういう試合のときに足を上げて、前にでて、強い相手に対して向かっていきたいと思います。

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