12月27日、第105回全国高校ラグビーフットボール大会(花園)が開幕した。記念大会で出場校が例年の51校から56校が出場。シート校が8校に減ったため、例年シード校として2回戦から出場する高校が1回戦から登場した。この日も、東海大大阪仰星、常翔学園、中部大春日丘、石見智翠館、茗溪学園、が登場。
そんな1回戦屈指の注目カード、常翔学園(大阪第2)と茗溪学園(茨城)の一戦は、戦前の予想通り激しい戦いとなった。

快晴の中、開会式が始まった

選手宣誓をする関西学院・西浦章博主将
序盤の猛攻を凌いだ常翔学園が連続トライでリード
キックオフ直後、常翔学園がノックフォワード。茗溪学園ボールのスクラム。茗溪は右オープンサイドに展開するもボールをキープできず好機を逸した。それでも直後、常翔学園が自陣ゴール前でオブストラクションのペナルティ。茗溪学園が再びゴール前ラインアウトのチャンス。茗溪学園はボールを左オープンサイドへ展開。ゴール前5mへ前進するもノックフォワード。常翔学園がディフェンスで持ちこたえる。接点では常翔学園がプレッシャーをかけ、茗溪学園としてはボールを動かしているものの有効なゲインができない。
序盤、茗溪学園の攻撃を耐えきった常翔は、前半5分、相手のペナルティからチャンスを迎える。WTB11伊勢亀大悟(3年)が左隅にトライ。常翔がチャンスをしっかりトライにつなげた。さらに接点で上回る常翔はゴール前ラインアウトからHO岡本慶次(3年)がトライ。12-0とリードを広げた。
このまま流れを掴むかと思われたが追いかける茗溪学園が、マイボールスクラムからWTB14川崎巧聖(3年)がビッグゲイン。そこからボールをキープし最後はNO8宮内伸一朗(2年)が左隅にトライ。常翔学園は、すぐにWTB池田大翔(3年)がトライを返し流れを渡さない。

風下の茗溪学園は前半24分、自陣からボールを繋いでトライラインまで前進。WTB川﨑の突破からゴール直前までボールを運ぶも常翔も接点で粘りを見せてトライを許さない。茗溪学園としては前半最大のチャンスを活かすことができなかった。
前半から激しい攻防が続く中、常翔学園の足がやや鈍る。茗溪学園は相手ペナルティから敵陣22mまで前進。時間はロスタイムに入る。ラインアウトからどんなアタックを見せるか。モールを作り、ラストアタックを仕掛けるがそのまま前半終了。
後半、風下でも攻め続けた常翔学園がリードし続け優位に試合を展開
後半は風上の茗溪学園。12点差をどう追い上げていくか。後半最初にチャンスを迎えたのは常翔。敵陣22m手前の相手ボールスクラムでペナルティー。ラインアウトから、FWでフェイズを重ねるも茗溪がディフェンスでピンチを凌ぐ。それでも後半5分、常翔は一瞬の隙をついてNO8山本智輝(3年)がトライ。22-5とリードを広げる。

常翔学園NO8山本智輝
茗溪も食い下がる。直後のキックオフボールを常翔がハンブル。そのボールを抑えたFL笠井宥志(3年)がそのままトライ。CTB田代幸大(2年)がゴールを決めて22-12。再び10点差に。
その後の時間帯は両校が激しく攻守が入れ替わる。常翔は後半9分、敵陣22m手前でNO8山本がジャッカルを決めてチャンス。FWでジワジワと前進する常翔。最後はNO8山本がトライ。SO南悠介(3年)がゴールを決め29-12とリードを広げる。
さらに常翔は接点で上回ると、敵陣でボールを奪い返すとFL田中蓮聖(3年)がトライ。34-12と22点差に突き放した。
18分、追いかける茗溪学園は相手ペナルティーからラインアウトで一発でFB奥田創(3年)がトライ。17-34。残り10分、次のトライで試合が決まってくる。20分、ハーフライン付近から常翔学園がアタック。茗溪学園が自陣でディフェンスでボールを奪うと、WTB岩崎貴寿(3年)がビッグゲイン。奥田創がトライ。22-34と12点差に迫る。27分、常翔学園がペナルティートライ。41-22として試合を決めた。

試合終了間際、奥田が再びトライを決めるもそこまで41-29で常翔学園が勝利し、2回戦、桐蔭学園に挑む。
常翔学園 白木繁之監督
練習から両校の優勝の話はしていました。昔も今も、(相手は)展開速いラグビーをするし、上手だし、ランナーもいるし、判断力に優れているチームだった。ディフェンスはついていった部分もあったが取られ方が簡単だった。ただ相手も強いので選手たちも頑張っていたと思います。
――桐蔭学園にむけて
基本プレー、接点で負けないところ、最後までファイトする粘り強さが肝になる。1対1でどれだけバトルできるかに尽きると思います。
――春の選抜、12月の練習試合で負けました。リベンジしたいですよね?
今度、また(桐蔭学園と)試合できることがすごく幸せです。攻め続けるラグビーがしたい。
――桐蔭学園のキーマンは
相手はHO堂薗、うちはキャプテンHO岡本、今日、活躍したNO8山本、セエットプレーではPR古澤 9番の元橋、FB井上あたりがリズムを作ってほしい。
常翔学園 HO岡本慶次キャプテン

岡本慶次キャプテン
まずは勝ったことが一番なので素直に嬉しいですね。相手は展開ラグビーをしてくることがわかっていたので、自分たちの強みである縦のプレー、接点で勝とうと話したのでできてよかった。ここを勝ち切れたことはむちゃでかい。2日間あるので(次の試合に向けて)集中したい。
――前半、ゴール前で粘れたことが大きかった
インゴール背負ったところで、組織ディフェンス、自分らのラグビーができた。
――次はシード校の桐蔭学園戦です
桐蔭学園さんはずっと目標にしていた相手なので、焦らずに自分たちのラグビーを貫き通したい。大阪のプライドがあるので、自分らの力を証明したい。全部をかけて、自分らの持っているものを出し惜しみせず出したい。
茗渓学園 HO山田朔太キャプテン

山田朔太キャプテン
前半の入りは想定通りで、FWは我慢するところ我慢して、BKは外にスペースあったらスイングしてトライも取れた。ハーフタイムで、入りとしては結構、良い形と話していたが、後半、やりたいラグビーができたところもあったが、立て続けにとられたところが敗因になった。我慢できなかった。
――後輩に向けて
主体性を持って、自分たちが決めたラグビーを自分たちのやり方でやってほしい。目標を達成するためにまた花園に戻ってきてほしい。
粘りのディフェンスで早実が石見智翠館に快勝!
勝利すれば東福岡に挑める、早稲田実業(東京第2)と石見智翠館(島根)との対戦も激しい一戦となった。最初にチャンスを迎えたのは石見智翠館。50/22から敵陣でラインアウト。モールを組んでフェイズを重ねるもグランディングできず、トライラインドロップアウト。早実が序盤のピンチを凌いだ。
前半5分、SH梅澤遊輝(2年)のボックスキックから、WTB飯泉敢太が突破。智翠館はたまらずペナルティ。早実はPGを選択。CTB中山大翔(2年)が落ち着いて決めて早実が先制。
8分、智翠館は敵陣22m内側でチョークタックル。パイルアップで智翠館ボールのスクラム。フリーキックから智翠館がクイックリスタート。智翠館がHO河井敢多(3年)がトライ。CTB﨑田廉人(3年)のゴールも決まり7-3。

早実はすぐさま10分、SH梅澤がキックチャージ。そのまま自らボールをおさえトライ。中山のゴールも決まって10-7と逆転。
14分、早実は敵陣22m手前でラインアウト。WTB飯泉敢太(2年)が2度のボールキャリーで簡単に倒れずボールをキープし智翠館ディフェンスを崩すと、HO村山康剛(3年)からのラストパスを受けたWTB白崎颯太(3年)がトライ。15-7で早実がリード。
18分、智翠館は相手のペナルティーから22m付近のラインアウトのチャンスを迎えるがノットストレート。チャンスを活かすことができない。
21分、CTB中山のグラバーキックからWTB飯泉が再獲得。さらに中山がオフロードでボールをつなぎ、FB河村和樹が突破。完全にディフェンスを崩しきりSO野口太朗(3年)がトライ、20-7とリードを広げる。さらに直後のキックオフ、智翠館のアタックに対してPR岩崎壮志(3年)がジャッカル。相手の流れを断ち切る。
残り5分弱。智翠館が自陣22m付近のマイボールスクラムからアタックを仕掛けるも、早実・岩崎が再びジャッカル。早実はPGを選択。中山が狙うも決まらずスコアはそのまま。
追いかける智翠館は、WTB濱田右京(2年)の個人技でエリアを戻すと、さらにラインアウトモールで敵陣に入ると、濱田がトライを決め14-20として前半を折り返した。

後半、智翠館のアタックを三度岩崎が止める。早実が敵陣22mに入って、ラインアウト。このチャンスを早実は活かし、FB河村がトライ。27-14とリードを広げる。さらに、早実は後半10分、梅澤が再びキックチャージからトライ。34-14と20点差をつける。さらに14分、WTB竹内柚葵(1年)のトライで早実が勝利を手繰り寄せる。
早い時間でスコアを入れたい智翠館は中盤の攻防で早実のディフェンスを崩しきれず中々敵陣に入ることができない。それでも智翠館は敵陣での時間帯をつくりアタックを仕掛けるも早実の硬いディフェンスがトライラインを超えさせない。その後も智翠館の攻撃を凌ぎきった早実が39-14で勝利。2回戦進出を決め、東福岡への挑戦権を獲得した。
1回戦の試合結果は以下のとおり。
第1グラウンド
東海大大阪仰星 137‐0 坂出第一
昌平 83‐0 四日市工
石見智翠館 14‐39 早稲田実
筑紫 33‐5 城東




筑紫

第2グラウンド
大分東明 73‐0 若狭東
茗溪学園 29‐41 常翔学園
青森山田 12-48 慶應志木

大分東明

第3グラウンド
中部大春日丘 69‐3 岐阜聖徳学園
遠軽 5‐74 尾道
鹿児島実 22‐14 コザ

中部大春日丘

岐阜聖徳学園

