オールブラックスが心の痛みを切り替え7トライでウェールズに快勝―両名将のラストゲームは興奮の展開 | ラグビージャパン365

オールブラックスが心の痛みを切り替え7トライでウェールズに快勝―両名将のラストゲームは興奮の展開

2019/11/02

文●編集部


1日、東京スタジアムではラグビーワールドカップ2019、3位決定戦、ニュージランド代表対ウェールズ代表の一戦が行われた。両チーム、決勝に進出することができなかった悔しさ、痛みを力にして祖国のプライドをかけ80分戦った。両チームともに若い選手を起用し、2023年フランス大会にむけた布石としたい。スコット・ハンセンNZ代表ヘッドコーチ、ウォーレン・ガットランド、ウェールズ代表ヘッドコーチはともにこの試合が代表を指揮するラストマッチとなる。これまでの「1点でも上回ればいいという手堅いラグビー」から、「自分たちがやりたいかたちで勝利するラグビー」をピッチで見せた。序盤からボールが大きく動くダイナミックな展開、自分たちのスタイルにこだわるプレー選択。”3位決定戦ならでは”の展開に、会場に集まった48,842人の大観衆も興奮に包まれた。

HIGHLIGHT

TIMELINE

ウェールズのキックオフで試合が開始。

2分 ニュージーランド PG失敗。 NZ 0-0 WAL
ウェールズが自陣22m手前でノットリリースザボールのペナルティ。SOモウンガの蹴ったボールはゴールポスト左にあたり失敗。

4分 ニュージーランド TRY NZ 7-0 WAL
8番、4番、1番とオフロードパスでFWがスペースを突いてPR1がトライ。SOモウンガのコンバージョン成功。

ハットトリックのWTBベン・スミス

ハットトリックのWTBベン・スミス

12分 ニュージーランド TRY NZ 14-0 WAL
敵陣22mのラックからSHアーロン・スミスの外から内へ返すパスを受けたFBボーデン・バレットが相手のスペースを華麗なステップで抜け出しインゴールへ。

14分 ウェールズ

自陣10m付近でオールブラックスLOスコット・バレットがノットロールアウェイのペナルティー。ウェールズはトライを狙うためSOパッチェルがタッチへ蹴り出す。ゴール前のラインアウトからモール。WTBジョシュ・アダムスがゴール前、さらにフェイズを重ねるもグラウディングできず。

FBボーデン・バレット

FBボーデン・バレット

18分 ウェールズ TRY 14-7

マイボールラインアウトを保持するウェールズ。フェイズは14。FBエーモスがトライ。SOパッチェルのコンバージョンも成功。

24分 ウェールズ PG 14-10

LOスコット・バレットが自陣10m付近でオフサイドのペナルティー。ウェールズは22m内側でラインアウト。ボールをキープし、フェイズを重ねるウェールズに対して、NZはゴール正面でペナルティー。アルン・ウィンジョーンズキャプテンはショットを選択。SOパッチェルのPG成功。


32分、ニュージーランド TRY 21-10

ニュージーランドが敵陣22m内側でカウンターラック。ボールを奪いWTBベン・スミスがトライ。モウンガのコンバージョンも成功。ウェールズの隙をついた攻撃。

40分 ニュージーランド TRY 28-10

前半終了間際、ウェールズのペナルティーから敵陣に入ったオールブラックスは、ショートサイドにウェールズのディフェンスラインが整っていないのを見逃さず、SHアーロン・スミスから絶妙なパスを受けたWTBベン・スミスがこの日3本目となるトライ。難しい角度からのコンバージョンもモウンガが成功。

イングランド代表戦では激しいマークで思うようなプレーができなかったSOリッチー・モウンガもこの試合では縦横無尽にいいプレー選択ができていた

イングランド代表戦では激しいマークで思うようなプレーができなかったSOリッチー・モウンガもこの試合では縦横無尽にいいプレー選択ができていた

後半、ニュージーランドのキックオフでスタート。

41分 ニュージーランド TRY 35-10

後半はNZのキックオフでスタート。41分、モウンガのキックで22m内側に押し込んだNZ。ウェールズのラインアウトにプレッシャーをかけ奪うと一気に攻勢をかけ、ゴール前でCTBソニービルのオフロードパスをうけたCTBライアン・クロッティーがトライ。モウンガのコンバージョンも成功

55分、ウェールズは自陣を脱出できない時間帯が続くが、それでもフェイズを重ね、我慢比べ。ようやくディフェンスをこじ開けて、敵陣へ。ゴール前でペナルティー。スクラムを選択する。

7試合で7トライ。この試合でも59分にトライを決めたジョシュ・アダムス

7試合で7トライ。この試合でも59分にトライを決めたジョシュ・アダムス

59分 ウェールズ TRY 35-17

全員でつないで作ったチャンスをウェールズはしっかりとスコアにする。スクラムからフェイズを重ね、ボールをキープ。最後はWTBジョシュ・アダムスがトライ。SOダン・ビガーのコンバージョンも成功。


75分 ニュージーランド TRY 40-17

ゴール前のマイボールスクラムからSOモウンガがトライ。コンバージョンは失敗。
79分、ウェールズはペナルティーで敵陣22mでマイボールラインアウトとするもスコアできず逆にボールを奪われ、自陣ゴール前までボールを運ばれるもそのままノーサイド。

後半から出場のSOダン・ビガー。先発のパッチェルも健闘したが、やはりビガーが入るとアタックに勢いが生まれた

後半から出場のSOダン・ビガー。先発のパッチェルも健闘したが、やはりビガーが入るとアタックに勢いが生まれた

史上初の大会三連覇を逃したニュージーランド代表が、7トライをあげ勝利。これまで8年間チームを率いてきたスティーブ・ハンセンHCのラストマッチを勝利で飾った。


「また他国を圧倒するオールブラックスになってほしい」ニュージーランド代表 スティーブ・ハンセンHC

「まずはじめに自分のチームにどれだけ誇りをもっているか伝えたい。この試合をやりたくないのではないか、という声がうるさかった。イングランド代表に敗れた後だったから。単にその日は相手が強かったから負けた。そんな状況の中で、もう一度ピッチに戻って、メンタルの強さと、(オールブラックスの)ジャージに対する約束をもって試合をすることができたので、同胞のプライドを満たすことができた」と試合を振り返った。

ハンセンHCはワールドカップで勝利することが年々難しくなっているかという質問に対して「もちろん」と答え、「次の4年間はもう一度チームを作り直して目標をリセットされるでしょう」といい、「また他国を圧倒するオールブラックスになってほしい。」話した。

「観客に見せたい試合だった」ニュージーランド代表 キアラン・リードキャプテン

選手として代表が最後となるキャプテンのキアラン・リードも、試合後、子どもたちをピッチに入れて、ブロンズメダルも一緒にもらった。「特別な瞬間を家族と共有できた。最高だよ。」と話した。一度きれた気持ちを再び奮い起しテストマッチを戦うことは容易なことではない。「今日は素晴らしい日だった。この瞬間に本当とにかく一瞬一瞬に集中し、楽しんだ。いろいろな感情は週の初めに出し切って、今日はプレーに集中した。」(キアラン)



「このような観衆を見ることを心から誇りに思い、ジャージーを背負うのは最高です。彼らはオールブラックであることの意味を本当に理解していて、私はそれが本当に大好きなので、そこに戻ってこれのは最高です。」

「観客に見せたいゲームでした。この大会での私たちのサポートは、私たち自身のファンからもニュージーランドのファンからも、そして日本人からも素晴らしいものでした。サポートに本当に感謝しています。このジャージはとても意味があります。それは長い間私の人生の一部でした。私にとっては、最初より良い場所に置いておくことがそれが私のキャリア全体の目標だったので、できればそうしたいと思っています。」

「トップの国々に対して出来る限りの競争力を持ち続けてほしい」ウェールズ代表 ウォーレン・ガットランドHC

初の決勝進出を逃し、さらにけが人続出のウェールズ代表も、12年間という長い期間チーム率いてきたウォーレン・ガットランドヘッドコーチのラストマッチを最後まで粘り強い戦いを見せた。特に59分のトライは、自陣からシンプルにフェイズを重ね、「我慢比べ」に勝って、ディフェンスを崩して決めたもの。トライを決めたジョシュ・アダムスが拳を強く握りしめた喜びのシーンは、ウェールズの未来を感じさせる素晴らしいトライだった。

点差は広げられたが、「自分たちのスタイルで」オールブラックスから奪ったトライに喜びを表現する、ジョシュ・アダムス

点差は広げられたが、「自分たちのスタイルで」オールブラックスから奪ったトライに喜びを表現する、ジョシュ・アダムス

「ハーフタイム直前にトライを許したのは残念。後半はそこまで悪くなかったし、南アフリカ戦から5日で、選手もケガで失っていて中4日という短い期間だったので苦しかった。今日の結果について文句はない」(ウォーレン・ガットランドHC)

「これからも代表の強化をしてほしい。スティーブン(・ジョーンズ アタックコーチ)にとっても、物事がどうなるのかを知るいい機会だった。次のグループにはこれまで作り上げてきたものにさらに改善されたものを積んでいってほしい。

シックスネーションズに勝利するのがどれだけタフなことかは知っているので、あまり欲張らないが、良いパフォーマンスをして何度かタイトルを獲得して、トップの国々に対して出来る限りの競争力を持っていてほしい。」と未来のウェールズにガットランドHCはエールを送った。

「私はウェールズでの時間が大好きで、人々は素晴らしく、とても歓迎してくれましたが、その時は終わりました。私は次の挑戦に胸を躍らせています。ニュージーランドに戻ってチーフスに関わることです。」と最後を締めくくった。

チームをまとめたアルン・ウィンジョーンズキャプテンは、ガットランドHCについて質問されると以下のように答えた。

「彼の成功は他には類を見ないもの。シックスネーションズでのグランドスラムや、ワールドカップの準決勝という結果を見れば明らかだ。そしてアイデンティティーの面でも。選手としてラグビーに集中できても自分自身については集中できなかったが、彼とコーチングスタッフが(考え方を)再構築してくれた。国全体が信じられるものを与えてくれた。

チームの大部分は、キャップを「ガッツ(ガットラントヘッドコーチ) 」のもとで獲得しました。彼は12年間ここにいて、成功して、私たちは彼のためにこのような終わりにはしたくなかったが、彼のレガシーはひとつの試合よりもずっと強いものです。」


また自身の去就については

「今はまだこのスカーレットのジャージーを再び着るかはわかりませんがオスプレイズ(所属するクラブチーム)の黒か赤のジャージーはもう少し着るかもしれません。でも、様子を見ましょう。家に戻って家族に会ってから考えます。」

と話した。



 

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