9日、関東大学対抗戦Aグループ、開幕節、筑波大学対慶應義塾大学の一戦が駒沢オリンピック競技場で行われた。昨年大学選手権準決勝進出を果たした筑波大学は、選手権出場メンバーが多く残り、2年になったSO楢本幹志朗はU20日本代表でも10番をつけて世界を経験してきた。一方、慶應義塾大学は、青貫浩之監督新体制で臨む初戦。昨年は4年生に主力メンバーが多かったが、1年生から出場しているSO山田響らを中心に新チームとして臨む対抗戦の初戦だ。この2チームは春季大会で対戦して61-17と筑波大学が大勝している。
夏合宿を経てこの2チームがどういう状態となっているのか注目された。
先制したのは慶應。前半10分、接点でPKを獲得するとWTB上野知和がPGを決め0-3。その後互いにスコアを奪えないまま迎えた27分、筑波大が敵陣ゴール前のラインアウトモールを押し込みHO平石颯がグラウディング。楢本のゴールも決まって7‐3とする。

橋本弾介
前半終了直前の37分、筑波がハイタックルのペナルティで慶應が敵陣深く入ると、ラインアウトからボールをキープしフェイズを重ね、相手ディフェンダーを引き付けて最後は大外のWTB上野までボールをつないでトライ。7-8と慶應が1点リードして前半を終えた。

中矢健太にイエローカードが出される

前半27分筑波がラインアウトモールからHO平石がトライ

楢本幹志朗のゴールも決まり筑波が7-3とする

慶應はハイボールを使って揺さぶりをかけた

大内田陽冬は大内田優月・夏月選手の弟

慶應・上野のトライ
後半スコアしたのは慶應。11分、後半から出場したWTB永山淳が山田響のキックパスをキャッチして右隅にトライを決めて7-13としてリードを広げた。

後半、永山淳のトライで慶應がスコア
リードを許した筑波は17分、SH白栄拓也のパスインターセプトからトライを決め再び流れを引き戻して14-13と再逆転。

リードを許した筑波はSH白栄拓也がパスインターセプトで再び流れを引き戻した
試合は終盤残り10分を迎える。28分、慶應は敵陣22m内側でペナルティーを獲得。トライを狙いにいく選択。直後のラインアウトでボールをキープすると、先程トライを決めた永山が再びゴール前で相手ディフェンダー二人をものともせずトライ。14-18と再び慶應がリードした。

後半30分永山が再び敵陣ゴール前で縦に突破し

後半だけで2トライを決めた永山
直後のキックオフ、筑波の飯岡建人にシンビン。追いかける筑波は一人少ない状況で追いかける。攻め込む慶應は38分、FL富田がゴール中央にボールを持ち込むが筑波も堀日向太が体を入れてトライセイビング。試合を決めさえない。

するとそこから筑波が反撃、慶應のペナルティーが続き筑波が敵陣に入り込む。ロスタイムは6分。筑波は残り2分というところで敵陣ゴール前ラインアウト。モールを押し込む筑波、最後まで押し込みHO平石がトライ。19-18。難しい角度のコンバージョンをSO楢本幹志朗が確実に決めて21-18と筑波が再々逆転。

後半40分、攻め込んだ筑波はラインアウトをキープ

モールを押し込んだ筑波がHO平石のトライで逆転

後半ロスタイムは6分、筑波は相手のペナルティで敵陣に入ると前半から優位に立っていたラインアウトモールで平石颯が勝利を決めるトライ

残り時間が少ない中、次のキックオフに対して指示する髙田賢臣

最後は筑波がFWでボールをキープ。SH白栄拓也がボールを蹴り出しノーサイド

直後のキックオフ、筑波が確保しペネルティーを犯さずボールをキープし、最後はSH白栄がボールを蹴り出しノーサイド。

今シーズンから選出されるモーストインプレッシブプレーヤー(MIP)には慶應・永山選手が選ばれた

そしてこの試合のマッチオブザプレーヤーは筑波・白栄拓也選手が選ばれた
筑波大学・嶋崎達也監督
慶應大学さんとは夏試合をして点差つけて勝利しましたが、秋は全く違うと対抗戦に向けて必ず仕上げてくるという話をして、昨年の対抗戦で負けた映像を見ながら、準備してきました。必ずうまくいかない時間帯が絶対くる中で、最後まで仲間を見て立ち上がろうとして試合に臨みました。

筑波・嶋崎達也監督
試合内容は本当になかったというか、やりたいことが全く出来ていない中で、チームとして勝ち星をとったことに感謝したいですし、よくやったと思います。
筑波大学・谷山隼人キャプテン

谷山隼人
今日の試合は相手のハイボールのところとブレイクダウンの攻防が鍵になってくるということうまくいった時間帯もあったんですが、自分たちのミスから劣勢になってしまうことがありました。今日はラインアウトモールのところが出せたので、勝ち切ることができたと思います。

筑波・永山隼人キャプテン
――うまく行かない時間帯、どうやって自分たちの気持ちを落とさないでいれたか
得点はとられていなかったですし、自分たちがいつもで攻めたらいけるという感覚もあったので、次にやることをとにかく集中して、「1の1」という言葉を使っているんですけど、次のプレー、先のプレーに集中する、そういう声掛けをしていました。

――ラインアウトモールでトライを取れましたが、手応えは試合前からありましたか?
背の高い選手が多いこともあって、自分としてはラインアウトを武器にしていこうと言う話をしていました。モールについてはいけたらいいねという話はしていたんですが、一本目の感触がかなり良かったので、ずっと使い続けて、相手が嫌がっている感じだったので、こだわっていこうという話をFWでしていました。

――後半ロスタイム6分ある中でチームは落ち着いていたのか。
自分が出ていない時間帯の話ですが、本当に「1の1」の意識を持って次やることに集中しようということを練習からずっとやっているんで、最後は良い展開に持ち込めたのかなとおもいます。
――アタック継続して一人がゲインしたあとの繋ぎがつながらなかったり、細かなところが課題になったかと思いますが、今日はアタックとしてどういう形で慶應の裏をついていこうというイメージでしたか
FWはしっかりモメンタムを出すということをテーマにして、どんなゾーンでもしっかりコンタクトバトルで勝っていかないといけないところだったんですけども、接点で受けてしまったり、自分もなかなかいいゲインができなかった。繋ぎのところは汗で滑ったり、練習しているところがだせなかったり、そこは今後しっかり練習していきたい。

本郷雄斗
――試験的にタックルに関する新ルールが適用されましたがプレーしていて意識した部分はありますか。
今日の試合ではあんまりハイタックルのところはそんなに意識しなくてもできるような状態になっていたのかなと思います。練習で一人目はローでいって二人目の入り方も少し低く入るようにやってきました。夏合宿では難しいところもありましたけど、今はだいぶできるようになってきたと思います。
昨年のような形でいくとやっぱり高くなってしまうと思うので、今年は練習で低く低くという意識はもってやっています。
慶應義塾大学 青貫浩之監督
今日の筑波さんとの一戦は本当に大事な試合と捉えていました。8月3日から夏合宿をやっていますが、初日からこの試合を意識しようと臨んできた大事な一戦でした。6月の春季大会で40点差以上の大差をつけられて負けた相手でした。かつ、本当慶應がやらなければいけない細かい積み重ねが出来ている、それをやられて負けたということで、筑波さんには絶対勝ちたいという思いでした。

慶應・青貫浩之監督
結果は3点差という悔しい結果に終わりましたが、本当に選手たちはよく成長してくれて素晴らしいパフォーマンスを見せてくれたと思います。ただ、3点届かないというのが今の慶應の実情ですので、これから対抗戦は続きますが、一戦一戦、ベストパフォーマンスを尽くして成長していきたいと思っています。
――今日は特にBKでけが人が出ましたが交代についてどのくらい苦労された
やっぱりラグビーですので、ある程度けが人がでるということは想定していましたが、それ以上にBKに集中してしまったので、脳震盪とか、足がつるとか。そこは今回の試合で反省すべき点だったかなと思います。経験という部分もあると思いますが。
たらればがいえるのであれば、BKのリザーブを増やしておけば結果がまた変わってきたかもしれません。
慶應義塾大学 PR岡広将キャプテン

慶應・岡広将キャプテン
監督がおっしゃるとおり、春すごく大きな学びを与えてくれたチームに対して、初戦開幕戦で対戦するということで、夏合宿から今まで筑波さんを一つの目標にしてがんばってきたんですけど、力及ばず3点差というのが現状ということで非常に悔しいです。もう一度今の現状を受け入れて次の試合に対して向かっていきたい。