サクラセブンズが歴代最高位タイの5位!今季3大会連続の8強入り | ラグビージャパン365

サクラセブンズが歴代最高位タイの5位!今季3大会連続の8強入り

2025/01/28

文●編集部


サクラセブンズこと女子7人制日本代表がワールドシリーズ「HSBC SVNS 2025」第3戦のパース大会で、史上最高位タイとなる5位(2023年トゥールーズ大会以来2度目)、そして今季3大会連続の8強入りを果たした。

今季、新たに就任した兼松由香HCが率いるサクラセブンズは、ワールドシリーズ第1戦のドバイで7位、第2戦のケープタウンでは6位と好調。ケープタウン大会のあと12月の別府合宿、1月の鹿児島合宿を経て、過去2大会メンバーに堤ほの花、田中笑伊が復帰し、初キャップとなる庵奥里愛が加わった布陣でパースへ向かった。

田中笑伊(ながとブルーエンジェルス)

田中笑伊(ながとブルーエンジェルス)

パース大会の登録メンバーは以下の通り
(背番号/氏名/所属/身長/体重/年齢(セブンズキャップ数★はパリ五輪代表、☆はバックアップ、△は五輪スコッド)

1☆辻崎由希乃 ながとブルーエンジェルス 161/61/30(20)
2★三枝千晃 北海道バーバリアンズディアナ 167/68/27(26)
3★堤ほの花 日体大女子 154/56/27(30)
4★梶木真凜 自衛隊体育学校PTS 164/68/25(26)
5★田中笑伊 ながとブルーエンジェルス/167/65/25(27)
7★大谷芽生 ながとブルーエンジェルス/162/61/24(27)
12△永田花菜 ナナイロプリズム福岡 168/60/24(26)
13△吉野舞祐 ナナイロプリズム福岡 160/60/23(19)
14 岡元涼葉 東京山九フェニックス 155/60/22(5)
16 秋田若菜 自衛隊体育学校PTS 165/60/21(4)
18△大橋聖香 ナナイロプリズム福岡 160/69/20(9)
19 谷山三菜子 日体大女子 163/60/19(5)
20 庵奥里愛 三重パールズ 160/60/28(-)

キャプテンを努めた吉野舞祐(ナナイロプリズム福岡)

キャプテンを努めた吉野舞祐(ナナイロプリズム福岡)


主将はドバイの大谷芽生、ケープタウンの内海春菜子に続き、今回は吉野舞祐が指名された。アジアシリーズ韓国大会の大橋聖香、中国大会の岡元涼葉、タイ大会の辻崎由希乃に続き、6大会で6人目のキャプテンだ。

日本は前回ケープタウンで6位に入ったことで、組み分けでは第2バンド入り。同じA組になったのは第1バンドがNZ、同3はアイルランド、同4はブラジル。アイルランドは昨年のパースで初優勝を飾ったディフェンディングチャンピオンであり今季もドバイで6位、ブラジルはドバイの9位が最高位だが、サクラセブンズとは長年死闘を繰り広げてきた歴史的なライバルで、着々と実力をつけている。油断できない組み合わせだった。

初戦 vs アイルランド 14-7 ◯

日本の初戦はアイルランドが相手。前半は7点を先行されたが、タイムアップ後に三枝千晃が相手DFの真ん中を突破する力強いブレイクから独走してトライを返し、7-7の同点にして折り返すと、後半に岡元涼葉が相手DFを巧みなステップですり抜け勝ち越しのトライ。永田花菜のコンバージョンも決まり14-7として昨年のパース王者を破った。

吉野舞祐キャプテンを先頭に入場

吉野舞祐キャプテンを先頭に入場


突破を図る三枝千晃

突破を図る三枝千晃


鮮やかなランニングスキルをみせた岡元涼葉(東京山九フェニックス)

鮮やかなランニングスキルをみせた岡元涼葉(東京山九フェニックス)

第2戦 vs ブラジル 17-12◯

幸先の良いスタートを切ったサクラセブンズは、続くブラジル戦では俊足コスタに連続トライを奪われ0-12となったが粘り強く反撃。前半ラストプレーで堤ほの花がトライを返し、7-12で折り返す。後半は早々に梶木真凜のトライで12-12の同点に追いつき、終了直前に岡元涼葉のトライでサヨナラ勝ち。

DAY1は2連勝という最高の形で終えた。


岡元涼葉のトライ

岡元涼葉のトライ


梶木真凜(PTS)

梶木真凜(PTS)




第3戦 vs NZ 5-53 ●

しかしDAY2は厳しい1日となった。プール最終戦のNZ戦は、9トライを奪われる一方的な展開で、最後に岡元涼葉がピック&ゴーで約60mを独走するトライを返したが5-53で大敗。

谷山三菜子(日体大)

谷山三菜子(日体大)


秋田若菜(PTS)

秋田若菜(PTS)

準々決勝 vs オーストラリア 0-35 ●

A組2位となった日本は準々決勝ではC組1位の地元オーストラリアと対戦。この大会で優勝するオーストラリアの充実ぶりはすさまじく、パリ五輪でも活躍したFWマジソン・リーバイの2トライなど5トライ5コンバージョンを奪われ0-35で完敗した。

田中笑伊

田中笑伊


大谷芽生(ながとブルーエンジェルス)

大谷芽生(ながとブルーエンジェルス)

5/6位決定戦 vs アメリカ 29-22◯

ワールドシリーズは今季から、準々決勝敗退チームはこれまでのポイント数により5/6位決定戦に回るチームと7/8位決定戦に回るチームに分けられる新フォーマットを導入している。日本の最終日はアメリカとの5/6位決定戦となった。昨年の香港大会と今季のケープタウン大会では決勝に進み、準優勝している強敵だ。

試合は壮絶な展開となった。

米国はキックオフを蹴ると、捕球した日本にDFでプレスをかけ、PKを奪うと速攻をしかけて①ラムゼイが先制トライ。次のキックオフからも日本がノックオン(この大会ではほとんどのレフリーが新語「ノックフォワード」ではなく「ノックオン」と言っていた)したボールを捕って攻め、ラムゼイが連続トライ。日本はいきなり10点のビハインドを負う。

しかし日本は次の相手キックオフでノット10mのボールをあえて捕ってアタック。三枝千晃のアタックでこの試合初めて相手陣に入り、大谷芽生がワールドシリーズ通算19号となるトライを返す。しかし前半終了のホーンがなったあと、米国は日本陣深くで得たスクラムから攻撃を継続してトライ。日本は5-15の劣勢で折り返す。

大谷芽生

大谷芽生

しかし、この大会を通じて後半に強さを発揮してきたサクラセブンズはフィットネスを武器に後半、反撃に転じる。2分、右ハーフウェー手前で相手がタッチに出たボールをクイックで入れて岡元涼葉がタッチ際をアタック。相手DFを滑らかなスラロームランでかわしながら約55mを走り抜ける鮮やかな独走トライ。さらに1分後にはDFのターンオーバーからの連続攻撃。再び岡元が巧みなコースチェンジで連続トライを決め、15-15の同点に追いつく。

岡元涼葉のトライ

岡元涼葉のトライ

米国も4分、ミッドフィールドのブレイクから⑯ジェシカ・ルーが60m独走トライを返し、22-15と勝ち越すが、日本は6分に吉野舞祐主将がトライを返すと、田中笑伊のコンバージョンも決まり22-22の同点に追いつく。

そして残り0分、キックオフを捕った米国選手をタッチに押し出して敵陣ラインアウトのチャンスを掴み、そこからの連続攻撃で途中出場の谷山三菜子が右サイドを走り抜けて劇的なトライ。ギリギリの戦いになっても決して諦めず、最後の時間帯に運動量で上回り、多くの選手がパスを繋いでトライを取りきり掴んだ勝利だった。

谷山三菜子のサヨナラトライ

谷山三菜子のサヨナラトライ

この結果、サクラセブンズは今大会を5位で終了。敗れた2敗はスコアこそ開いたが、その相手は今大会の決勝で超ハイレベルの戦いを演じたオーストラリアとニュージーランドの両国。それ以外の3試合を、すべて接戦で競り勝ったことは大きな進歩といっていいだろう。

今大会でチーム最多の5トライをあげた岡元涼葉、最後の5位決定戦でサヨナラトライを決めた19歳の谷山三菜子ら秋のアジアシリーズで初めてサクラセブンズ入りした新鋭と、東京&パリ五輪を経験して円熟味を増した堤ほの花、梶木真凜、田中笑伊、大谷芽生らベテラン勢が噛み合い、サクラセブンズは着実にステップアップ。今季のシリーズポイント12を加えて30とし、3大会を終えてランキングは現在6位。昨季の9位から着実に前進している。

ワールドシリーズ次の大会は2月21-23日のバンクーバー大会。そのあと3月28-30日の香港大会、4月5-6日のシンガポール大会を経て、シリーズポイント上位8カ国による5月3-4日のロサンゼルス・グランドファイナルへと進む。3大会連続の8強入りを果たし、次の大きな壁・4強入りに挑むサクラセブンズにこれからも注目したい。

大会後のコメントは以下の通り。

兼松 由香HC

兼松 由香HC

兼松 由香HC


「暑さが厳しい中、3日間を戦い抜いた13人の選手たちの強い気持ちとスタッフの献身的なサポートに感謝いたします。今大会は、勝ち切ることの大切さを学んだ1日目、世界トップのスタンダードを学んだ2日目、そして自分たちを信じる力を学んだ3日目でした。過去最高位(5位)になり、ようやくベスト4の壁の前に立つことができました。とても高くて厚い壁です。今大会を経験した13人が2日目の学びを国内にいるサクラセブンズの仲間たちへ伝え、壁の向こう側の景色を全員が想像できるようにこれからも努力を積み重ねていきます。3日間現地やLIVE配信でたくさんの声援を送っていただき、大変ありがとうございました。バンクーバー大会も応援よろしくお願いいたします。」

吉野 舞祐 キャプテン

吉野舞祐

吉野舞祐


「たくさんの応援ありがとうございました。今大会は1人1人が13分の1の役割を果たし、全員で戦い抜くことができた大会でした。接戦が多く苦しい時間帯もありましたが、全員の勝ちたいという気持ちが5位という結果に繋がったと思います。試合を通して、まだまだ個人としてもチームとしても成長できる部分があったので、次のバンクーバー大会に向けて全員でいい準備をしていきたいと思います。引き続きサクラセブンズの応援よろしくお願い致します。」

谷山 三菜子

谷山三菜子

谷山三菜子


「サクラセブンスの応援ありがとうございました。1日目から接戦が続きその中でも勝ちきることができたことが2日目、3日目の試合に繋がったと思います。世界1位、2位に圧倒されましたが目標としていた5位になれてよかったです。個人としては試合になかなか出れずとても苦しい大会でした。チームのお姉さんたちや家族の支えがあり、5位決定戦ではラスト30秒からという短い時間でしたが13人みんなが繋いでくれて、トライができて嬉しかったですし、ほんとに感謝しかありません。13分の1人としてもっとチームに貢献できるように頑張りたいなと思います。まだワールドシリーズは続くので引き続きサクラセブンスの応援よろしくお願いします。」

庵奥 里愛

庵奥里愛

庵奥里愛


「今回初めてワールドシリーズに出場させていただき不安もあったなか、チームメイトにたくさん助けてもらい、自分らしくプレーすることができました。チームメイト、スタッフの皆さんに感謝しています。アメリカ代表との5位決定戦では、チームのブレイクスルーというテーマを体現でき、5位という結果で終われたことを大変嬉しく思います。ここからベスト4の壁を破るために、次回の合宿からもう一度チームで課題と向き合い、世界に挑戦していきたいです。たくさんの応援、ありがとうございました!」

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