2月7日、埼玉県・熊谷ラグビー場では、OTOWAカップ・第31回関東女子ラグビー大会決勝、TKMフェニックスvモーニングベアーズの試合が行われた。

TKMフェニックスは、YOKOHAMA TKMと東京山九フェニックスの合同チームで、準決勝では日体大と対戦し、後半39分に劇的な逆転勝利で決勝進出を果たした。

モーニングベアーズは、アルカス熊谷と自衛隊体育学校PTSの合同チーム。準決勝ではRKUグレースを29−0で完勝し決勝進出。

3分、モーニングベアーズNo8黒川がPGを狙うが失敗
決勝にふさわしい互いに粘り強いディフェンスでスコアを与えない展開が続く。

モーニングベアーズの両LO葛西杏奈の突破を門脇桃子がサポート

前半15分、TKMフェニックスは敵陣ゴール前でモールを組んで押し込むがオブストラクションでチャンスを活かせない。

序盤はTKMフェニックスの堅守に手を焼いていたモーニングベアーズだが、前半21分、交替で入ったSO今釘小町が裏へのキックを使って流れを変える

25分、FB平山のキックに反応したWTB谷口令子が追走するが、インゴールでTKMアテカともつれ押さえきれず
均衡が崩れたのは26分。モーニングベアーズはマイボールスクラムからFB平山愛がゲインし、裏のスペースへショートパント。

インゴールに弾んだボールへ追いついたFB平山が飛び込んで押さえトライ
WTB谷口令子がチェイス。TKMもカバーするがボールを確保できずインゴールへ。そのボールを平山が抑え先制のトライ。

突破を図るSH山本久代とサポートするSO今釘小町

テンポよいパスさばきをみせたTKMフェニックスSH新原響

力強い突破をみせたモーニングベアーズのHO公家明日香主将

昨季までは横浜TKMでプレーしていたPR藤本麻依子。元チームメイトを相手にパワフルな突進をみせた

前半41分、モーニングベアーズ左WTB本間美月が相手タックルを次々とかわしてビッグゲイン
さらに42分、モーニングベアーズはWTB谷口がゲインし、左WTB本間美月がパワフルな突破でビッグゲイン、さらにFL井口瑞穂、田坂藍と右に展開し、CTB伊藤睦がトライ。貴重な追加点をあげ10-0とする。

そこから右へ大きく展開。CTB伊藤睦が相手FL宮田里菜をハンドオフ

そのままインゴールへ回り込みトライ。ハーフタイム直前の大きな追加点だった

リードを許したTKMフェニックスは、前半の残り時間で積極的に攻撃し、PKを獲得。SO片山薫が落ち着いて決め3-10として前半を終えた。

後半の入り、モーニングベアーズがFB平山のキックで敵陣深くに入り、直後の相手アタックに対してプレッシャーをかけPKを獲得。ショットを選択し、平山が決めて13-3とリードを広げる。

後半途中から「からっ風」が吹き、大会本部のテントも途中から外された。

FB平山が相手ディフェンダー2人をひきつけてオフロードパス。

今釘がインゴールへ絶妙なタップキックでボールをインゴールへ転がす
さらに後半12分、左右にボールを散らしTKMフェニックスのディフェンスを揺さぶったモーニングベアーズはSO今釘小町が技ありのタップキックでインゴールにボールを転がし、自らグラウディング。平山のコンバージョンキックも決まり20-3とリードを広げた。

今釘、自らがボールをグラウディングしトライ


平山のコンバージョンも決まって20-3とリードを広げた

ラインアウトを捕球するLO佐藤優奈。TKMフェニックスは安定したセットプレーから反撃を試みる。

突破を図るTKMフェニックスFL鈴木実沙紀。大会のMVP(FW)を受賞

TKMフェニックス主将のNo8松永美穂。タックルするのはモーニングベアーズPR小松崎菓鈴

TKMフェニックスCTB阪本結花にモーニングベアーズPR桑島彩花がプレッシャーをかける

密集からパスアウトするモーニングベアーズSH阿部恵

後半27分、TKMフェニックスはラインアウトモールを押してようやく初トライ
追いかけるTKMフェニックスは、相手のペナルティーに乗じて敵陣深くに攻め込むと27分、ようやくラインアウトモールからLO三村亜生のトライで反撃。

初トライをあげたTKMフェニックスが攻勢に出る。突進するFL宮田里菜

残り10分、体力的にも厳しくなってくる時間帯。突き放したいモーニングベアーズはSH阿部恵の素早い展開と、SO今釘の正確なパスワークが冴え、アタックを継続すれば確実にゲインし敵陣に迫る。

守るTKMフェニックスもなんとか食らいつこうとするも、ボールキャリーへのプレッシャーが遅れ止めきれない。31分、モーニングベアーズはWTB谷口がトライ。平山のコンバージョンも決まって25-8と再び17点差に引き離した。

厳しい状況に追い込まれたTKMフェニックス・鈴木実沙紀は「自分たちの好きなラグビーやろう」とチームを鼓舞した
トライを許したTKMフェニックス。すぐにハドル組んで、「自分たちの好きなラグビーをやろう」「まだいける」「気持ちを切らさない」メンバーが声を掛け合い残り時間に全てをかける。

36分、TKMフェニックスはLO三村亜生がタックルを受けながらトライ
すると36分、ボールを繋いでLO三村が再びトライを決めると、後半47分、TKMフェニックスは敵陣ゴール前の攻防で諦めず攻め続けFL鈴木実沙紀がトライを決めるも逆転するための時間は残されていなかった。

ロスタイムの46分、TKMフェニックスは10点差をつけられていてもあきらめずに攻めFL鈴木実沙紀がトライ

ファイナルスコアは25-20。激戦を物語るスコアボード

この試合のMIPは、モーニングベアーズWTB谷口令子が選出された。
25-20でモーニングベアーズが勝利し、関東大会優勝を果たした。21日に瑞穂ラグビー場で行われる「第7回全国女子ラグビーフットボール選手権大会」に関東代表として出場。関西ラグビー協会推薦で出場する、三重パールズと対戦する。

モーニングベアーズ 武田達也監督
PTSもアルカスも7人制を主軸にしたチームなので、まともにやっても難しいということで強みはハンドリングの部分なのではじめは定積とは違うアプローチからチームを作っていきました。やっていくうちに突き合わせることができた。今日はボールを動かしてどれだけアタックできるかという部分にフォーカスしましたが、中々思うようにできず、早めにSOを変えてキックを使っていくようにしました。
優勝できたことも嬉しいですが、こうして選手たちが活躍出来る場所を多くの方の努力でご用意いただけたことに感謝しています。女子ラグビーにとってとても大切なことだと思います。

モーニングベアーズ 公家明日香キャプテン
PTSさんと合同チームということでオフフィールドでも積極的にコミュニケーションを取り続けたことでチーム力が上がったと思います。次のゲームに向けて更にお互いの理解を深めていきたい。

モーニングベアーズ WTB谷口令子(MIP)
このような中で大会を開催していただき本当にありがとうございました。合同チームということでコミュニケーションの部分で難しかった部分もありましたが、練習や試合を通じてチームとしての質が高まっていき、一つのチームに仕上がってきたと思います。次のゲームにむけて一人ひとりのレベルも、チームのレベルも上げたい。

モーニングベアーズ FB平山愛(大会MVP・BK)
ラグビーができる環境を用意していただいた皆さんに感謝しています。MVPを取りましたが、大会中、自分たちを支えてくれたスタッフ、それから相手チームの皆さんに恩返しできるよう、全国大会では体を張ったプレーをしていきたい。

TKMフェニックス FL鈴木実沙紀(大会MVP・FW)
合同チームということで最初の試合ではチームとして修正する部分が多かった。試合を重ねていくうちに一つのチームとなって、今日は最後の一試合になってしまいましたが、最大限できることをやりきったと思います。勝利したモーニングベアーズさんには全国大会で、ぜひ勝利してほしいし、応援したいと思います。