24日(日本時間20時)ラグビー女子日本代表ことサクラフィフティーンが、「女子ラグビーワールドカップ2025・イングランド大会」の初戦アイルランド代表戦がノーサンプトンにある、フランクリンガーデンズで行われた。
ベスト8進出を目標として掲げるジャパンにとっては、この初戦に勝利することが最も重要となる大事な一戦。急成長中のアイルランドにどんなパフォーマンスを見せるか注目された。
前半からアイルランドがアタック・ディフェンスでプレッシャーをかける

長田いろはキャプテンを先頭に入場するサクラフィフティーン
アイルランドのキックオフでゲームスタート。WTB今釘小町のキックでハーフウェイ付近まで戻すも、アイルランドのフィジカルで22mの内側に入られるとPR加藤幸子がペナルティ。ゴール前ラインアウトからフェイズを重ね、ジャパンとしてはディフェンスの時間。粘り強いディフェンスで何とかトライを許さない。
3分、自陣ゴール前のマイボールスクラムから、今釘がハーフウェイまで蹴り返しエリアを挽回。アイルランドの強力FWで縦に楔をうち、アウトサイドにスペースを作るとWTBコスティガンが左サイドを突破され先制のトライを許す。コンバージョンも決めて0-7。
序盤からブレイクダウンでプレッシャーを受けるジャパンは中々アイルラインドを止めることができない。9分、ペナルティからゴール前ラインアウトを押し込まれて、HOジョーンズにトライを許し0-14。
12分、アイルランドのペナルティからジャパンが敵陣22m手前でのラインアウト。CTB弘津悠から松村美咲のパスは繋がらず。16分、アイルランドが自陣ゴール前のラインアウトでノットストレート。ジャパンがマイボールスクラムのチャンス。フェイズを重ねるも、アイルランドに押し戻されSH津久井萌がボックスキックでエリアを戻す。

佐藤優奈
直後のラインアウト、アイルランドのボールが乱れ、ジャパンに入るもモールパイルアウトで好機を活かせない。
23分、逆にアイルランドにセットプレーからWTBパーソンズに一発でトライを決められ0-21とリードを広げられてしまう。
追いかけるジャパンは、28分、敵陣ゴール前のスクラムからテンポよくフェイズを重ね、CTB弘津悠がトライ。大塚朱紗のコンバージョンも決めて7-21。

弘津悠のトライ
30分、ジャパンはアイルランドのカウンターアタックに対してFL川村雅未がジャッカル。敵陣22m手前のラインアウトで再び敵陣深くへの侵入を試みるもノックフォワード。直後のスクラムでジャパンがペナルティを取られ自陣ハーフウェイ付近にエリアを戻される。

弘津悠
直後のラインアウト。アイルランドはオブライエンがキックで裏スペースに蹴り込んでくるが、ここはWTB今釘小町が対応。ハーフウェイ付近までエリアを戻す。再びジャパンはディフェンスの時間帯が続くが、38分、CTBヒギンズの突破からFLトゥイートがトライ。オブライエンのゴールも決まって、7-28と再び21点差とされてしまう。

今釘小町
直後のキックオフ、アイルランドがノックフォワード。敵陣22m手前でジャパンがマイボールスクラム。左右にボールを振り分けるもゲインを切れずそのまま前半終了。

公家明日香
後半はジャパンのキックオフでスタート。アイルランドのカウンターでアイルランド陣内22m手前のラインアウトからリスタート。アイルランドがノットロールアウェイ。ジャパンは労せず22m内側まで入り込む。
ジャパンはこの好機をしっかり活かす。敵陣ゴール前のラインアウトからモールを押し込み、FL川村雅未がトライ。大塚のゴールも決まり14-28。

齊藤聖奈
直後のキックオフをWTBパーソンズがキャッチ。アイルランドが反撃に転じる。自陣でディフェンスの時間となるがPR北野和子がボールを奪い、SH津久井萌のボックスキックで敵陣までエリアを戻す。相手の中途半端なキックから再獲得したジャパンだったが、フェイズを重ねるもゲインできず、結局アイルランドがボールに絡み、チャンスを活かせない。
50分、FL櫻井綾乃、PR永田虹歩を投入。川村雅未、松村美咲の突破から勢いのあるアタックを見せるも、アイルランドにパスをインターセプトされてしまい14-35。60分、アイルランドにラインアウトからペナルティトライを奪われ、さらにPR加藤幸子にイエローカードが出されたかと思われたが、TMO判定となりアイルランドのオブストラクション。ジャパンは、峰愛美、細川恭子、阿部恵、山本実を投入。

松村美咲
63分、アイルランドCTBダルトンにブレイクされると、モメンタムを止めることができずFWでゲインされ最後はCTBブリーンにトライを許し14-42。64分、ジャパンはHO谷口琴美を投入。山本のキックでエリアを敵陣に入るも、崩しきれない。
互いに疲れの見えた両チームは決め手にかけてそのまま試合終了。サクラフィフティーンの初戦は14-42で勝利することはできなかった。次戦ニュージーランド代表戦は30日キックオフ。
サクラフィフティーン レスリー・マッケンジーHC
チーム全体が悔しく、残念に思っています。我々がターゲットにしていた結果ではありません。しかし、特に後半は我々の色、キャラクターを見せられたと思います。ハーフタイム後、アティチュード、フィジカル、勇気、闘志を見せられた。我々のスタイル通りの修正ができた。それは心から誇りに思っています。ただ最後の部分までフィニッシュすることはできませんでした。NZ戦のために良いラグビーをしていくために切磋琢磨したい。

レスリー・マッケンジーHC
――前半、上手くいかなかった要因は
最初の13分に反則してしまったのは厳しい部分だし、我々らしくなかった。今日は良い立ち上がりをしていたなと思います。我々が押されたゲーム展開になった。相手のアタックで1対1を作られてしまって、相手のやりたい形にされたことが多かった。後半、相手はキック、テリトリーを取るラグビーに戻っていた。ただCTBがランでしかけてくるという別の形の武器を見せて、後手を踏んで順応できなかった。
ーー次戦のニュージーランド戦について:
我々は良くできたことを強調するだけかなと思います。トレーニング通りに行かないのは、最高峰のワールドカップで試合をするには代償はつきものだと思います。どういうラグビーをするかという点ではポジティブな面が多かった。我々としてはポジティブな面を出して前に進むだけです。
サクラフィフティーン FL長田いろはキャプテン
すごく悔しい気持ちはあるが、これまで自分たちがやってきたことの自信は消えないので、NZ戦に向けてワークし続けたい。前半は相手のモメンタムを受けてしまったが、後半、修正できた部分もあって次につながる試合になったかなと思います。

長田いろは
――前半、相手にモメンタムを取られた理由と、後半、修正できた理由は
相手のアタックがBKに回してゲインされて、私たちのディフェンスのワークで上手くいかないところがあったので、後半はしっかりワークし続けることと、強いキャリーしてゴール前に行けるところがあった。そういったことは次につなげていきたい。
――相手の印象は
分析していた通りの試合だったが、一人一人のキャリーなどに食い込まれてしまって、上手くいかなかったなと思います。
――接点でプレッシャーを受けてしまったが
後半、替わった選手が体を張って頼もしいなと感じた。相手のコリジョンの部分で、ダブルタックルでボールを遅らせるようにしてきた。次のニュージーランド戦でも(コリジョンは)大事になってくると思うのでハードワークし続けていきたい。