7月14日、スーパーラグビーのハイランダーズ(ニュージーランド)の初優勝に貢献した日本代表SH田中史朗(パナソニックワイルドナイツ)が帰国した。プレーオフ決勝では残念ながら試合に出られなかったが、準決勝では初のプレーオフ出場も果たすなど3年目のスーパーラグビーは優勝という最高の形で締めくくった。現在、北米でPNC(パシフィック・ネーションズカップ)を戦っている日本代表への合流は7月20日以降になる予定だ。その前に、田中選手に3年目となったスーパーラグビーでの経験や、あと開幕まで70日を切った2度目のワールドカップ(W杯)への素直な思いを実直に語った。 7月27日、PNC第3戦フィジー戦の先発メンバーとして選抜された。
「ハイランダーズは能力の高い選手もいましたが、やはり、チームで戦っていた」
――ハイランダーズは今年、スーパーラグビーで初優勝を成し遂げました。
田中史朗(以下、田中) プレーオフの決勝に、日本のためにも出場したかったのですが、出られなかったのは悔しかったです。ただ優勝できたのはチームのおかげですし、その一員になれたのが嬉しいです。リーグ戦から毎試合自信を持って臨んでいましたし、決勝戦だから、という不安はなかったです。相手が特にニュージーランド(NZ)のハリケーンズだったのでライバル心を持っていましたし、気持ちの面で上回っていたと思います。
またリーグ戦では2回とも負けていましたが、前回戦ったことの反省を活かし、相手の弱点をチームが研究してくれました。ブラウニー(トニー・ブラウン/パナソニックアドバイザー)がBKコーチをしていてモチベーションを上げてくれましたし、ジェイミー(ジョセフ)という熱い指揮官がチームをまとめてくれました。
ハイランダーズは能力の高い選手もいましたが、やはり、チームで戦っていました。リーダーがコーチと話して、コーチが選手に話してというシステムがしっかりしていました。オールブラックスは今こそ5人いますが、もともと3人でしたし、FWには一人もいない状況でした。ハイランダーズが誰でもできることを証明してくれたと思いますので、その経験を日本に還元していきたいですね。
――祝勝会が何日か続いたと聞いています。
田中 地元の街はすごかったです! 飛行機でダニーデンに戻ったら、ファンの方がたくさん来ていて、1時間くらいサインしていましたね。祝勝会は3日間くらいありました。トレーニングしないといけないという不安もありましたが、3日だけ騒ぎました。飲んでしまえば楽しいチームメイトばかり。ラグビーの良いところを体感できましたね。一度、京都の実家に帰ろうかなと思っています。トレーニングは続けますが、いろんな人たちと会って、リラックスします。
「何でもいいので試合をして調子を上げていきたい」
――日本代表のことは気になっていたのでしょうか?
田中 (小野)晃征とかリーチ(マイケル)とかと連絡を取っていました。個人的には能力が上がっていないのが不安ですが、スーパーラグビーで優勝できた経験を日本のラグビーに生かして行ければいいなと思います。エディー(・ジョーンズ日本代表ヘッドコーチ)も「優勝おめでとう! これでワールドカップでも勝てればいいね」と連絡をくださいました。日本代表への合流は7月の21日くらいになると思います。PNCの2戦目には出られれば出たいですが、ちょっと厳しいですね。
――日本代表を少し離れていますが、不安などはなかったのでしょうか?
田中 現在、日本代表がやっていることに対してわからないというものはあると思いますが、日本代表から離れているという不安はないです。日本代表合宿の練習は「しんどい」と選手たちはみんな言っていますが、意味のある練習かは気になっています。一度、エディとしっかり話をしたいと思います。エディはW杯が近づいてきて、たぶんナーバスになっていると思いますし、選手たちからはあまり言わないと思うので、その練習が、これからの日本につながっていくのかエディや選手と話していきたいと思います。
個人的には試合と練習のフィットネスは違うので、試合のフィットネスが上がっていないところが課題です。ハイランダーズではリザーブの何人かの選手はクラブチームの試合も出ないでくれと言われていました。何でもいいので試合をして調子を上げていきたいですね。