23−23。これまで1勝も上げたことのないフランスを相手に、ラグビー日本代表は再び世界を驚かせた。しかし、その結果に満足している選手は一人もいない。昨年、ウェールズでは同じく終盤まで接戦で相手を追い詰めたが勝利することは出来なかった。
1年を経て、今回勝ち切ることが出来なかったが確実にチームとして成長していることを証明した。とはいえ、キャップ数の少ない選手も多かった。これまで課題となってきた「個の強さ」が確実にあがってきているということを証明したといった方が正しいのかもしれない。
試合を終え、SH田中史朗、SO田村優、FL姫野和樹が感じたこととは。
選手全員が勝つために「ラグビーに集中して勉強している」 SH田中史朗
--チームの成長を感じる部分は。
「選手が自主的に空いている時間にビデオを見たり、話をしたりしている部分はジャパンとしてレベルアップしているところ。リーダー陣がしっかりしてくれている。自分たちからやろうという意識がある」
--これまでよりもボールをキープしてアタックした。
「相手のフォワードが疲れていたので、早いボールを出したり、ペナルティーを誘ったり、スペースをつくことを意識していました」
--昨年のウェールズ戦は最後に競り負けた。今回は引き分け。一歩進歩したとすればどういう点か。
「自分たちで考えるということがまずレベルアップした点。ラグビーを理解するという点で一人一人がレベルアップしている。(状況判断についても)準備の段階ですべて決まっている。これだけの準備をしてきたからこの試合ができたというのもある。そこが、昔の日本代表に比べると、レベルアップしたところだと思います」
--ディフェンスについて
「ディフェンスの部分では、ジョン・プラムツリーが来てシステムを変えていきなりの試合だったので、オーストラリア戦では戸惑っていた部分もあって、いい部分と悪い部分の両方が出てしまった。今回は、長い期間一緒に活動したことで、選手みんなが彼の考え方を理解しながら出来ていた。
この期間、メンバー全員がラグビーに集中して、勝つために勉強しているのが良かったと思う」
僕にとっては「まだ2年ある」FL姫野和樹
--惜しい試合でした。
「勝てなかったことは悔しい。やっぱり勝ちたいし、自分たちへの期待をすごく持てる試合内容でしたから」
--日本代表で過ごした1ヵ月あまりについて。
「世界選抜との試合は、ジャパンに初めて入って、1週間やっただけで臨んだ試合だったし、慣れていないLOということもあって、アタマの中がいっぱいいっぱいでした。まだ戦術理解が浅かった。
そのあと、オーストラリア、トンガ、フランスと試合を重ねる中、しっかりジャパンのラグビーに取り組んで、ジャパンの目指す考えるラグビーをできるところまで行けたかな、あとは自分の持ち味を出すのが目標かな、と思います」
--フランス戦でも良いプレーをしていた。
「大事なところでノットリリースザボールをしてしまったし、反省点も多いです。でもアタックについては自信になりました。
自分自身も、ジャパンにとってもここまで出来たことが一番の収穫です」
--次のワールドカップまではあと2年を切りました。
「この時点で満足している選手はいない。次はしっかりと勝ちきれるように。あと2年あるので、僕はまだ時間がある、間に合うと思っています。僕はポジティブな人間ですから(笑)」