長谷川慎スクラムコーチ「ジャパンのスクラムは8人の力を漏らさないスクラム。コーチとしてワールドカップで勝ちたい」 | ラグビージャパン365

長谷川慎スクラムコーチ「ジャパンのスクラムは8人の力を漏らさないスクラム。コーチとしてワールドカップで勝ちたい」

2019/09/03

文●編集部


31名のワールドカップスコッドが発表され、ラグビー日本代表は本番前最後のテストマッチとなる南アフリカ戦に向けた練習を開始。3年間、ジャパンのスクラムを築いてきた長谷川慎スクラムコーチ。試行錯誤の連続、ジャパンのために網走までスクラムを組みに来た、ヤマハ発動機ジュビロの選手たちがもう一度、「スクラムの真髄」を思い出させてくれたと話した。

相手の力を70%くらいにさせるスクラムの組み方を3年間ずっとやっている

――この1週間は、南ア戦にむけた準備でしたか?


これからいろいろと相手が変わってくると思いますが、スクラムそのものの組み方の大枠はそう変わらないと思います。最後のちょっとした気にしないといけないこと、は変えていきますけど。自分たちの組み方がきつい時や暑い時にどれだけ組めるかが重要だと思っています。

木津悠輔

木津悠輔

――今回フロントローが8人という選出でした。


網走ではコーチ陣で何度も話し合いをして今のメンバーにしました。僕らが考えていることは、会見でジェイミーが言っていることと全く同じ。そこはみんな納得していると思います。


――ジョセフHCが「PR木津選手は試練を与えて、すべて打ち勝ってきた」と評価していました。


一番最初に、ウルフパックでハリケーンズとやった時に彼はスタメンでした。ずっと練習でも国内でやっている時と海外のチームでやる時の組み方は違うよ、という話をしていました。そこで、悪い癖がでました。ここにくるまでにそういう部分をしっかり理解して、自分の組み方自体を修正して、周りの選手に意見を求めて、どんどんいいスクラムになってきました。

彼はスクラムだけでなく、ボールキャリアとか、タックルも非常に強いです。何よりも、最初全然しゃべらなかったのに、色々としゃべるようになりました(笑)。そういうところも、自分で変えないといけないと思ったんじゃないですかね。

――網走合宿ではヤマハがスクラムを組みにきました。


これまでは自分らのやり方で、自分たちの中で組んできたスクラム。試合以外は。そういうやり方をやっていたんですが、スクラムだけを組みにヤマハが来てくれた。僕らを上回るスクラムにかける熱を見せてくれた。熱だけでなく、テクニック的な部分で、色々とやりすぎて根本的な部分を忘れていたなということを気づかせてくれました。さっそくそこに時間をかけて直していくと、さすが日本代表選手。しっかりと修正できてました。南アフリカ戦の前に間に合ったのは感謝しかないです。


南アのスクラムってここしばらくの試合を見ると、世界トップクラスかなと思います。重さでもテクニックでも。選手が変われば、その選手の個性が反映されている。選手たちに対して一つひとつこちらが対処することはできないと思っています。相手が、70%になるような力になるスクラムの組み方をここ3年、ずっとやってきています。そういうところをしっかりとだしていきたい。

サンウルブズ、ウルフパック、日本代表、ジャパンのスクラムを3年間で作り上げた。

サンウルブズ、ウルフパック、日本代表、ジャパンのスクラムを3年間で作り上げた。

――先程言われていた「気にしなくてはいけないこと」とヤマハから教えられた「スクラムの根本的な部分」とは


気にしなくては行けない部分は、やっていいこと、いけないこと、国内と海外ではちょっと違う部分があります。認識の違いとか、そんなことができるのか、と思うような力があるPRが国内にはいなかったり。こういう組み方があるぞということを個人個人に映像を作って渡して気をつけさせています。


根本的な部分は、押す、押されるの前に、真ん中に『ドロー』というのがあるんです。ドローの中で勝ちにもっていくか、負けにならないようにするのか。勝ちにいく、という練習をしていました。その前に、まずはしっかりと「組む」。実はこれ、僕が選手の前で謝ったんですが、ヤマハ時代に一番言っていたこと。3年前のアルゼンチン戦の前に、一番最初に代表に対してプレゼンしたこと、そこが抜けていました。そこを見直してもう一度修正しました。「組む前」「組んだ瞬間」「組んだ後」組んだ時の真ん中が抜けていたと気づきました。ある程度パーツは揃って組めると思います。

――これからラグビーを見る人に向けて、日本のスクラムはどんなもの


体重のところに一番目がいきがちですが、そこはあまり気にしなくてよくて、LOのコアの長さだったり、踏ん張った時から伸び切った部分の長さが重要。8人の力を漏らさないスクラムを組みたいです。

膝を下げろとかよく言われますが、みんな「膝を下げたい」と思っているんですが、それをどうやったらできるのか。それを一人でやらないといけないのか、まわりの人間が助けてやらなければならないのか。3番が押し込まれるのは、実は6番が悪かったり。そういう細かいところまでスクラムを全員が理解しないと中々いいスクラムが組めないということはわかっているので。何か迷ったら、過去に立ち返る。そういう3年間を過ごしてきました。多分今の選手はわかっているんじゃないかなと思います。

――坂手選手、北出選手についての評価


北出はウルフパックで一緒にやって特に成長した選手。何より、堀越の分までという思いも強いと思います。ワールドカップで代表初キャップ。ものすごいプレッシャーがかかると思いますが、みんなそういうプレッシャーを乗り越えてきたのでその一員なんだぞと、そんなこと気にせず、北出にいいプレーしてほしい。

坂手については3年一緒にやっています。いいところも悪いところもわかっています。相手がこういう組み方をしたら、お前はこうなるということもわかっています。本人もわかっています。今日もそういう練習できている。基本的に、個人の強さで組むスクラムではないので。日本代表のスクラムは。8人がシステムにどうはまるかというのが大切です。しっかりはまってくれると思います。


――堀江選手について


堀江の一番すごいところは、僕はプレーに徹するところだと思います。もちろん、過去に日本代表のキャプテンをやったりしています。私生活も含め。そういう選手を見て他の選手が、いい方向にすすんでいると本当に思います。たまに、練習中キレて、何か言って「返事しろ―!」と怒ることもあります。そういう時は、本当にチームが締まる時なんで。ここ、っていう時に頼りになる選手がいることはチームにとってもいいことです。

――スクラムの課題


久保さん、塩崎さん(A級レフェリー)、クリスが来てくれて本当に助かっています。自分が教える「みんなで組むスクラム」とレフェリーからどう見えているのかというところをあわせていかなければならない。ルールってちょくちょく変わります。トレンドも変わるんです。そこをしっかり追いかけてやっていかなくちゃいけない。高さも、レフェリーに低すぎると言われれば、高く組んでいることをアピールしなければならないし。

これから本戦に向けて決勝トーナメントまでずっとそのトレンドをおかけなくてはいけないと思っています。

――コーチとして挑むワールドカップ


一回、リーチ(マイケル キャプテン)に「慎さん、なんでワールドカップ行きたいんですか?あのままサントリーに働いていたらよかったのに。」と聞かれたことがあるんです。「サントリーに働いていたら、ワールドカップでコーチができないから辞めたんだよ」と言いました。「じゃあ、なんでそうなったんですか?」といわれ、その現役当時は、一生懸命やっていると思ったし、実際やっていました。2大会とも。7試合出場して、7試合負けた。帰ってきた時に、負けたら何にも残らなかったな。と思いました。ただ、一つです。あの時のメンバーの気持ちとか、あの時勝っていたら味わえていたことこととか。そういうのを含め、「コーチになってワールドカップ勝ちたいな」と思い、今はその気持だけでやっています。勝った先にいろんなことがつながってくるかなと思います。

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