サンウルブズの明日―立ちはだかるタフな経験、そこに新たなリーダー出現への期待 | ラグビージャパン365

サンウルブズの明日―立ちはだかるタフな経験、そこに新たなリーダー出現への期待

2017/03/08

文●大友信彦


6日、辰巳グラウンドで、日本代表ジェイミー・ジョセフHC肝いりのプロジェクト「NDS(ナショナル・デベロップメント・スコッド)キャンプが始動した。

これは「将来日本代表に選出される可能性のある高いポテンシャルを持った人材に加え、スーパーラグビーチーム『ヒト・コミュニケーションズ サンウルブズ』のメンバーのうち遠征に参加しない選手たちも招集し、ジェイミー・ジョセフヘッドコーチをはじめとした日本代表マネージメントスタッフのもと育成し、日本代表のマインドセットを共有することで、将来日本代表に選出された際にスムーズな合流を目指す」(日本協会のプレスリリースより)取り組みで、FWとBKあわせて34人の選手が参加した。

心身ともに疲弊する厳しい状況の中でも勝負のチャンスを与えられている遠征組と練習でしかアピールできない居残り組。

松島幸太朗が大学生NO1のWTB/FB尾崎晟也を1対1で抜く

松島幸太朗が大学生NO1のWTB/FB尾崎晟也を1対1で抜く

そこには、今年のサンウルブズに選ばれていながら負傷やコンディション調整でまだチームに合流していない選手、南アフリカ遠征のメンバーに入らなかった選手、さらに5月からの日本代表のアジアシリーズ、6月のテストマッチシリーズで代表入りが期待される選手らがいた。

初日の練習は、「1時間で終わるよ」と言って始まったが、グラウンド上では2時間。全体練習終了までに限っても90分に及んだ。合宿初日から、日本代表を率いるジェイミー・ジョセフHCが直接指導する。ワールドカップ組の山田章仁や松島幸太朗が、新星・松田力也や尾崎晟也と抜き合いを演じる。昨秋の欧州遠征で日本代表の主軸を務めた布巻峻介やアマナキ・ロトアヘアが密集でボールを奪い合う。ピッチの外ではリハビリ中の真壁伸弥や矢富勇毅がバイクを漕ぐ。


その様を見ながら「本隊」つまり、南アフリカ遠征中のサンウルブズのことを考えた。


慣れない気候で、厳しい日程で、移動を繰り返しながら強敵と戦う。心身両面の負荷は大きいだろう。ケガで戦列を離れる選手も多いだろう(事実、NDS合宿初日に、参加予定だった坂手淳史がサンウルブズの南アフリカ遠征に追加招集されて旅立ち、かわってサントリーの中村駿太がNDSに招集された)。

シンガポールで行われた試合では、キングズの選手たちが見事な集中力をみせた。それは、消滅してしまうかも知れないチームにあって、自分が力を発揮しなければ、自分自身の未来も開けないという危機感の発露に思えた。対して、主力選手をターンオーバー制で休ませながら戦うサンウルブズには、そこまでの切迫感は伝わってこなかった。(「サンウルブズのいる場所」

サンウルブズはその夜、21時すぎに試合が終わると、ホテルに戻って荷物をピックアップすると、その足で空港に向かい、ジョハネスバーグ行きの飛行機に乗り込んだ。標高1,800m、富士山5合目に相当する、薄い空気の中で合宿し、ブルームフォンテインでチーターズと、プレトリアでブルズと戦う。そのあとも帰国は許されず、再びシンガポールに戻り、今度はストーマーズと戦う。帰国したとき、選手たちは相当疲弊しているだろう。消耗して戻ったとき、もしかしたら、国内で鍛えていた選手たちの方が評価される……なんてことがあったらやりきれないな……シンガポールでは、そんな思いも頭をよぎった。

だが、辰巳で激しい練習に取り組んでいる選手たちを見て、もっと大事なことに気づいた。

 

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