29日からトップリーグの第2節が開催。チャンピオンシップをかけたセカンドステージ上位進出を決めるには、どのチームも負けられない試合となる。先週の開幕節を、RJ365スーパーバイザーの大友信彦氏とスポーツライター斉藤健仁氏が振り返る!
最終順位で上位のチームが勝っていたという事実は興味深い−− 大友信彦氏
大友信彦氏 開幕戦のパナソニック対東芝は見応えがあった。
東芝の集中力とひとつひとつのプレーの強度、それを休みなく反復する能力は見事だった。冨岡HCは「今のラグビーはどれだけアスリート能力の高い選手を揃えられるかが勝負」と話しているが、日本代表主将のリーチを筆頭に、激しく強いプレーを80分間遂行したことが、初戦の快勝につながった。東芝の伝統の強さに、ボールを動かすチャンネルの変化を加え、絶好のスタートを切った。
パナソニックは敗れたとはいえ、内容は悪くなかったと思う。TLデビューとなったLO谷田部、初先発のPR河野ら、経験の浅い選手を使いながら臨んだ開幕戦。最終的には点差がついたが、過酷な条件下の試合で、冷静な試合運びを見せていた。
第1節の8試合を通じて見ると、プールBは終了直前の逆転で決着したサントリー×コカ・コーラ、神戸製鋼×リコーなど4試合すべてが7点差以内の決着。対してプールAは4試合すべてが8点差以上、負けチームは勝ち点ゼロという結果だったが、両プール8試合すべて、昨季の最終順位で上位のチームが勝っていたという事実は興味深い。
すべての試合を見たわけではないので、あくまで自分の見た範囲だが、開幕節で最も印象的だったのは東芝SH小川だ。ビッグルーキー内田について「パナソニックにいることも知らなくて、田中さんが交代したことも気が付かなくて、『この子(内田)見たことあるなあ』と思ってたんです……」というコメントは、個人的には、早くも今季のベストコメント候補が出たなあと思っている。
開幕戦はこれまでで一番エキサイティングだった−−斉藤健仁氏
斉藤健仁氏(以下、斉藤) 12年目のトップリーグが開幕しました。まずは開幕戦ですが、個人的には12年間で一番エキサイティングな試合だったと感じています。結果は、昨シーズン、パナソニックに4連敗を喫していた東芝が見事に39−26に勝利をしました。
今シーズンから東芝を率いることになった冨岡鉄平ヘッドコーチは試合後の記者会見で「パッション&エナジー」という言葉で勝因を表現していましたが、もちろん、それだけではありません。
セットプレー、特にスクラムでプレッシャーをかけていました。前半のはじめにはパナソニック攻撃の前にトライを許しましたが、接点でもファイトしていましたし、アタックでは相手の前に出るディフェンスに内に向かって斜めにランナーを走らせることで効果的にブレイクするなど、冨岡さんのきめ細やかな指導の成果が出ていたと思います。
また東芝はゴール前のモールでトライをとることができましたが、パナソニックは同じ場面でトライを取り切ることができませんでした。そこの差が大きかったと思います。
一方、パナソニックはPR河野悠輝とLO谷田部洸太郎が初先発し、さらにと通からSH内田啓介やFLヴァルアサエリ愛といったあまり試合経験のない選手を出場させたにも関わらず、あれだけの接戦ができたというのは次の戦いに向けて期待できるのではないでしょうか。
ただシーズン序盤ということもあり、まだディフェンスが整備されていないという印象を持ちました。今後のロビー・ディーンズ監督の手腕にも注目です。いずれにせよ、この2チーム、今シーズンは何度か戦う可能性があるので楽しみです。