イングランドが開催国の意地を見せて開幕戦を飾った。
2015年第8回ラグビーワールドカップの開幕戦は、ホストのイングランドがフィジーを迎え撃った。
8万人で埋まったトゥウィッケナム。イングランドサポーターの大声援にかき消されたフィジー代表戦いの舞い「ジンビ」
オーストラリアのマイケル・ライナー、アルゼンチンのアグスティン・ピチョット、ウェールズのシェーン・ウィリアムズ、日本から大畑大介……ワールドカップの歴史を彩ったレジェンドたちが競演した開会セレモニーに続いて行われた開幕戦。
試合前のフィジー代表の戦いの舞い「ジンビ」は、スタンドを埋めたイングランドサポーターの歌う応援歌「スウィング・ロー」の大合唱で圧殺された。遠来のチームを迎える歓迎感などないのがワールドカップの真剣勝負、なのかどうかは不明だが、少なくともこの日、トゥイッケナムのスタンドを埋めたイングランドのサポーターはそうだった。
何しろ「死のプール」だ。
今回のワールドカップの組分けは、抽選会が行われた2012年12月4日時点の世界ランキングで、1-4位を第1バンド、5-6位を第2バンド……と振り分けて抽選された。
その結果が以下の組み分けだ。
A組…オーストラリア(3)、イングランド(5)、ウェールズ(9)、オセアニア1(フィジー)、敗者復活(ウルグアイ)
B組…南アフリカ(2)、サモア(7)、スコットランド(12)、アジア1(日本)、米州2(アメリカ)、
C組…NZ(1)、アルゼンチン(8)、トンガ(11)、欧州1(ジョージア)、アフリカ1(ナミビア)、
D組…フランス(4)、アイルランド(6)、イタリア(10)、米州1(カナダ)、欧州2(ルーマニア)、
(カッコ内は3日に発表された世界ランク)
これは、世界ランク4強の常連(最新ランクでも4位)ながら、一時的に4位以内から落ちたイングランド、同じく8位から落ちたウェールズが、抽選のいたずらで同組になってしまったことから生まれた死の組。さらに、残り2枠に入ったひとつが、過去W杯8強2回を数える「大物喰い」のフィジーなのだ。まさしく史上「最凶」の死のプールなのだ。突破には勝利はもちろん、4トライのボーナスポイント、得点差など、あらゆる要素が求められる、タフな戦いだ。
フィジーの「ジンビ」を聞かせなかった『スイングロー』の大合唱は、そんなイングランドの立場を理解したファンの叫びだったのかもしれない。
そして始まった開幕戦は、イングランドが先行した。
2分にSOフォードが先制PGを成功。
12分にはラインアウトからモールを押してペナルティトライを獲得。
21分には相手ゴール前のラインアウトでフィジーのロングスローをFLウッドがカットし、そのまま展開してFBブラウンがトライ。15−0とリードした。