12月21日(土)、秩父宮ラグビー場では第61回全国大学ラグビー選手権大会準々決勝、慶應義塾大学(関東対抗戦4位)と帝京大学(関東対抗戦2位)の試合が行われ、帝京大学が73‐24で快勝し、準決勝に駒を進めた。
帝京のキックオフでゲームがスタート、先制したのは帝京、前半4分、LOダウナカマカマ、LO本橋拓馬、FL青木恵斗という強烈なFWで縦にゲインを続け、最後は外に展開。大外にいたNO8グアイニ優人がトライ。CTB大町佳生のゴールも決まって0‐7と帝京が先制。
前半11分、帝京はFB小村真也のゲインで一気に敵陣22m内側に入ると、SO本橋尭也からのキックパスをWTB日隈太陽が確保しそのままトライ。0-12とリードを広げる。
追いかける慶應は、14分、ハーフウェイ付近のスクラムでペナルティを獲得。敵陣深くに入りラインアウトのチャンスを迎える。しかし、ラインアウトからマイボールをキープできず、チャンスをものにすることができない。
一方帝京は前半16分、敵陣22m手前のラインアウトからフェーズを継続。慶應の低いタックルを前にボールをキープできず、でこちらもチャンスを活かすことができない。
すると16分、慶應は自陣22m付近のマイボールスクラムから、CTB今野椋平が風にものってロングタッチキックでエリアをハーフ付近まで戻す。直後ラインアウトを慶應が獲得しアタックをしかけると帝京がノットロールアウェイのペナルティ。
慶應がさらに前進。ラインアウトからモールで押し込む慶應は中山大暉キャプテンがゴール前5mまでボールをキャリー。右オープンサイドに展開しSO和田健太郎が少し間をためてからCTB今野椋平へラストパス。3回戦の東洋戦でもみせた和田、今野のホットラインで慶應が反撃。
直後のキックオフ、帝京はWTB生田弦己がキャッチしボール確保。一気に22m付近まで帝京が前進するも慶應のラッシュディフェンスにプレッシャーを受けて帝京がノックオン。
前半27分、帝京は適時22m手前のラックからFL森元一気がラックからボールをピックしそのまま空いたスペースをぬけてインゴールに走り込みトライ。7‐17と帝京がリードを広げる。
更に帝京は直後のキックオフ、FB小村が慶應の前に出てくるタックルを交わすと、小村からボールを受けたCTB上田がボールを敵陣に蹴り込む。慶應はFB伊吹がなんとかボールをタッチに蹴り出すのがやっと。敵陣に入った帝京は、ラインアウトからモールを押し込みHO當真蓮がトライ。7‐22とリードを広げた。
追いかける慶応は前半33分、敵陣15m付近のラインアウトからCTB村田紘輔がステップを切ってゲイン。ゴール前直前でオフロードパスをWTB石垣慎之介に繋ぎトライ。和田のゴールも決まって14‐24と10点差に迫った。
さらに帝京は直後のキックオフからWTB生田がゲイン。一気にハーフウェイ付近までボールを運ぶとSO本橋が裏に出て、PR森山飛翔が前進。そこから連続オフロードがつながり最後はLOダウナカマカマがゴール中央にトライ。14‐38と24点差をつけて前半を終了した。
後半、慶應はFL米津幸治が投入。その起用に応えるように、ファーストプレーで米津が敵陣10m付近でジャッカル。慶應が最初にチャンスを迎える。敵陣22m付近でのラインアウトのチャンスだったが、ノットストレートで慶應がボールをキープできない。
46分、帝京は敵陣10m付近でハイボールをキャッチした青木が一気に前進。日隈に繋いでそのままトライ。14‐45と試合を決める追加点をあげた。
さらに53分、慶應は自陣ゴール前でボールを継続するが、帝京のプレッシャーを受けてボールを奪われるとWTB日隈がトライ。14‐52とした。62分には、帝京LO本橋拓馬のトライで14‐59として勝負を決めた。
68分、慶應はNO8冨永万作がトライを返すも帝京もFB神田陸斗がトライを返す。今シーズン、チームの精神的支柱として牽引してきた慶應HO中山大暉が78分、真骨頂のモールからのトライを決め意地を見せた。
帝京も最後まで手を緩めることなく、強さを見せてHO知念優来がこの試合11本目のトライを決め試合終了。帝京が強さを見せつけて準決勝進出を果たした。準決勝の相手は、明日22日に行われる、天理大学 vs 明治大学の勝者となる。
帝京大学 相馬朋和監督
試合が空いた三週間ですかね、きちんと準備してきたことが十分にゲーム出せた要因だと思います。このような状態を維持しながら次の試合に向けて学生たちがより成長するように準備を進めて参りたいと思います。
――準決勝に向けて
とにかく準決勝に残る4チームの中で、一番元気のあるチームになれるようにコンディショニングとかそういうことにチームとして目を配って進めていくのが一番重要だと思っています。
帝京大学 青木恵斗キャプテン
今日の試合は久しぶりのゲームあったんですけど、自分たちの形であるフィジカルであったり、アタッキングマインドをもってラグビーができたのでそこは良かったと思うんですけど、慶應大学さんの激しいプレッシャーに対して自分たちが受けてしまうところがあったので、そこは次に向けてしっかり修正して頑張りたいと思います。
――慶應のモールと低いタックルへの対策
モールのところに対しては、ペナルティをしてしまって自陣に入れてしまってモールを組まれるという形になっていたので、規律高くプレーしようと話をしていたんですけど、それでもいくつかペナルティしてしまった。モールに対しては準備したんですけど、相手のいい形で組ませてしまったので、そこは少し反省です。
タックルのところはすごくいいタックルがあってブレイクダウンに対して激しくファイトしくるというのがあったので、まずは1v1を作って勝負しようとチームで決めていました。そこのところ出せた結果、あまり多くプレッシャーを受けなかったのでそこの部分についてチームとして良いアタックができたかなと思います。
――負けられない試合が続く中でチームに伝えていたメンタル面で意識してきたこと
自分たちが今シーズン一番目標にしてきた選手権というのが始まって、負けられない試合の中、しっかりチャレンジャーとして挑む続けるところ、そこのマインドのところ、自分たちから仕掛けて相手に対して、用意してきたものをチャレンジするということをこの試合前にもチームに伝えました。それが出せてよかったです。
――対抗戦から選手権にきてすごく迫力がある戦い方になってきたように見える。自身で感じる成長とは
対抗戦で早稲田大学に負けてから、自分たちの形が明確になって、どういうふうに戦っていくのかというのが、チームとしてもはっきりしてきたので、それを試合で遂行して、自信にもつながっているので、チームには今勢いがあると思っています。
――具体的にはどんな戦い方?
これまでの試合では少しコンテストキックが多かったイメージがあったので、そこのバランスのところとチームとしてフィジカルが強みということを再認識できたので、激しく体を当ててFWでアタックする。ディフェンスでも良い幅で立てていて、一人一人の役割が明確になっているかなと思います。
――準決勝に向けて
どちらが相手になるかはわからないですけど、チームとしては準決勝というマインドでhなく常に決勝戦を見据えて、日本一になるためには日本一の準備、日本一のクウォリティで常に練習し続けるところ、次の準決勝まで対戦相手関係なく、自分たちのラグビーをしていきたいと思います。
慶應義塾大学 青貫浩之監督
今日の試合、帝京大学さん、前年度優勝した、そして、2ヶ月前に40点差をつけられて負けたんで、その相手に対して、慶應らしく80分間むかっていこうそういう話をして試合に臨みました。
試合内容についてはタックルだったり、こだわっているモールなど随所に慶應らしさを見せることができたのかなと思いますが、帝京大学さんの本当に精度の高いラグビー、集中が切れないところ、ここに力及ばず、力負けだったかなと思っています。今シーズンどんどん成長していくこのチーム、中山主将のチームの成長をもっと見たかったんですけれども、今日でおしまいということなってしまって、残念ではありますが、また来年に戻ってきて、もう1個、2個上に行けるように成長してまいります。
慶應義塾大学 中山大暉キャプテン
今日の試合を迎えるにあたって、自分らしさ、慶應らしさをどこまで出せるか、慶應ラグビーはどういうラグビーなんだというのを知ってもらいたい、そして帝京大学に勝ちたい、そういった思いでこの1週間準備してきました。さきほど監督からもありましたように、帝京大学のすごく強いキャリアだったり、切れない集中力、そういったところは自分たちがまだまだ及ばない部分が多くて、試合中何度も諦めそうになっても、この80分間、とにかく慶應ラグビーを体現し続ける。
最後まで23人がファイトし続けられたというのは今後の慶應につながる80分間だったかなと思います。悔しいですけど、来年以降、また後輩たちには頑張ってもらいたいという思いが強いです。
――前半34分に14‐24とした後のキックオフでペナルティしてスコアを返されてしまった場面について。
あそこが試合のターニングポイントというか、慶應がしっかり接戦にもっていくためにあの時間帯を優位に過ごさないといけなかったというのは、僕自身理解しながらも、チーム全体として、15人がボールに対する執着だったり、この時間帯が大切だという認識がとれていなかったというか…。帝京大学さんの方がボールへのリアクションだったり、ここを取るのが、この時間帯が大切だというのは試合中、向こうからも聞こえたので、そこの我慢くらべのところで少し甘さというか自分たちがもう一つ帝京大学さんの後手に回ってしまったと感じています。