12月22日(日)第61回全国大学ラグビー選手権は準々決勝2試合が、三重交通Gスポーツの杜鈴鹿で行われた。第1試合は京都産業大学(関西リーグ戦2位)が、大東文化大学(関東リーグ戦1位)から9トライを奪い、59-12と快勝した。第2試合は、京産大に勝利し関西王者となった天理大学(関西リーグ戦1位)と明治大学(関東対抗戦3位)が激突。1月2日に国立競技場で行われる準決勝、最後の1枠をかけた戦いが行われた。
実力拮抗の2校は前半18分までスコアレスで試合が進む。19分、明治は敵陣ゴール前のラインアウトから一気にモールを押し込みFL福田大晟がトライ。さらに26分、明治はラインアウトからのモールでHO金勇哲がゴールライン手前までボールをキャリー。PR檜山蒼介がラックのボールをピックしてトライ。0‐10と明治がリードして前半を終えた。
明大・SH柴田竜成
天理・SO上ノ坊駿介
後半最初にスコアしたのも明治。天理NO8上ノ坊悠馬が反則の繰り返しでイエローカード。明治はこの数的優位を活かし、54分、敵陣ゴール前のラインアウトからHO金がトライ。さらに明治は60分、キャプテン・木戸大士郎のトライで0‐24と大きくリードを広げた。
60分、明治NO8木戸大士郎キャプテンのトライで0‐24と明治が大きくリード
追いかける天理は67分、SO上ノ坊駿介がブレイク。敵陣22mに入ると、FL川越功喜がサポート。ゴール前で10m。SH藤原健之朗が右サイドに展開。WTB平松麟太郎がゴールラインまでボールをキャリー。LOアリスター・サウララがピックしてトライ。さらに72分、HO寺西翔生のブレイクから筒口允之がトライ。
天理・SH朝倉達弥
天理の反撃は終わらない。時計は80分を回っていたが、敵陣10m付近からCTB長友天馬がブレイク。さらに上ノ坊、藤原とオフロードがつながりゴール中央にトライ。終盤3連続トライで天理が追い上げるも時間が残っていなかった。明治が24‐21で接戦に勝利し準決勝進出を果たした。準決勝では帝京大学と対戦する。
HIGHLIGHT
明治大学 神鳥裕之監督
やはり天理大学さん、関西のチャンピオンらしく、素晴らしいチームでした。どれだけ点差が離れても、きれずにやってくるということは試合前から言ってたんですけれども、本当にその通りのパフォーマンスを見せられて、我々としては本当にまた成長させてもらえるようなゲームだったと思います。
このチームは一つ一つ下から登り上がっていき、試合するごとに成長していこうという、そういう目標で戦ってます。今日も天理大学さんにいろんな学びをいただいて、次、帝京大学戦に向けて、準決勝でしっかりとまた成長したいなと思っています。
――フォワードの成熟度、どういうふうに見られているかっていうのは?
明治は最近、バックスが非常にいい選手が揃っているという評価をしていただきがちだったんですけど、僕自身はやっぱりバックスが活きるのも、ここにいる(木戸)大士郎を中心に、しっかりとしたフォワードがいるからという考えをずっと持っています。
この選手権に入ってくると、タイトなゲームが続いてプレッシャーの激しい中で、バックスもなかなか今まで通りにゲインが切れないシーンっていうのも増えてきているような状況です。これはもうネガティブにとるのじゃなくて、負けたら終わりっていう中で、こう思いのこもったディフェンスが多く出てくる中なので。
こういう時にはやっぱりフォワードがパフォーマンスを出すっていう、本当に理想的な形、結果的にはやっぱどこがとかフォワードだけがとかバックスだけがというわけじゃなくて、(FW・BK)お互いがうまくいかない時は、お互いがしっかりと支えようという、結束みたいなものが成長の一つの要因だというふうに思ってます。
僕自身は年間通して、明治のフォワードにこだわって、大士郎を中心に作ってきています。 それが少しずつフューチャーされるような局面が増えただけかなというふうに思っています。
――その中で一人ピックアップして、F L最上太尊選手。今日スチールもあってインターセプトもありましたけど、彼の成長であったり、今日のパフォーマンスの評価を。
彼はボールキャリー、ボールを持った時のプレーの強さっていうのは、もう高校時代からずっと定評あったんで。明治に入って、それだけではここにいるメンバーたちを相手にレギュラーを張るっていうのはやっぱ難しいというところを本人も感じたのか体感したのか、ちょっとわからないんですけれども。
まあ、特にやっぱりオフザボールの部分。フォローしたりジャッカルしたりタックルしたり、次のプレーに向かう動きをしたり、こういう部分の能力がもう本当にすごく上がってきました。その中で元々コンタクトの強さっていうのを生かしているっていうところが、彼がちょっと成長してきていることかなというふうに評価しています。
明治大学 NO8木戸大士郎キャプテン
本日はありがとうございました。神鳥監督も言ってたんですけど、やっぱり80分間絶対タイトなゲームになるっていうのはずっとわかっていて、先週すごい僕たちがいい準備できて、夏合宿の借りも返したいというところで、まず勝ち切れたこと、次のステージに上がれたことを嬉しく思います。
まだまだ成長過程のチームであるということをしっかり認識させられた。今回もタイトなゲームで成長した部分、良かった部分があると思います。そして修正しないといけない部分も出てきたんで、次に帝京大学戦も対抗戦のリベンジ、夏合宿のリベンジいろいろあるんで、去年の選手権も決勝で負けている相手なんで、次絶対帝京大学さんに勝ちたいと思います。
――今日はフォワード戦で勝ったっていう印象もあると思うんですけども、取り切れたという部分に関しては。
モールで取り切れたという部分っていうのは何個かあって、良かったとは思うんですけど、一発で取り切る力というのはまだまだなくて、ペナルティが重なったり、何フェーズか重なったりっていう部分があったんで、そこはもっと修正して、自分たちの形っていうのを持っていきたいと思います。
――大声援の明治コールは耳には入っていましたか。
僕基本必死なんであんまり人の声は聞こえないですけど、どこにいても明治のファンがいてくれることは、すごい明治にとって戦いやすいし、どこでもアウェイじゃないっていう気持ちにさせられるんで、ほんまにありがたいです。
――この試合に向けてのマインドなどは具体的にどうだったか。
夏合宿の最後、天理大学さんとやった時に、最後自分たちのラインアウトモール、ラインアウトのところでミスして、そこで逆転されてしまったっていう悔しい思いをしてたんで、どんだけ一個一個大切にできるかっていうのは、もうちょっと春からやってきたんですけど、そこをもう一回再認識してやった結果がこれみたいな感じです。
――6年前も対抗戦3位から日本一っていうところだと思うんですけども、そこの部分に関してはいかがですか?
そんな前はどうやったとかもあんま関係ないと思うんで。まず自分たちがやることを一個一個やっていきたいと思います。
――先ほどおっしゃってたモールっていう部分で今回最初のトライのところもPG狙わずにラインアウト。風も強かったということもあると思うんですけど、やっぱりモールで取り切ろうというのをチームとして意識されていた。
そうですね。風も強かったというのももちろんあるんですけど、モールは早明戦ですごい自信のついたところでもありましたし、僕たち自身もやっぱりずっとやってきた部分であるんで、しかも明治っていうところでやっぱりモールで取りたいっていう気持ちがフォワードであったんで、モールしたいっていうので、前々から決めてたとか、そういうわけじゃないですけど。 自分たちの武器を出していきたかったのでモールにしました。
――天理大のモールディフェンスというのは、京産大と戦った時にはかなり効果的だったんですけれども、そのあたり分析されたりとか、それでもやっぱり自分たちの方が上回れるなって自信があった。
何も変えたことはなくて、全然自分たちの形、自分たちのセットアップであった部分なんで、どこにでも絶対通用するっていう自信は自分たちであったんで。そこを自分たちにフォーカスして突き詰めるとこっていうのをずっとやってきました。
――夏合宿でラインアウトモール最後にミスしてるからやっぱりラインアウトモールの時間を増やした。
いや、特に変わりはないです。ほんまに明治は学業優先で朝練しかなくて。短い時間でどんだけ集中できるかってところ、質の部分すごい高めて、その(LO田島)貫太郎であったり、(LO佐藤)大地、僕やFL(福田)大晟っていう4年生がどれだけ一個一個大事にするかっていうのをずっと浸透させてきた結果が今日のいいモールにあわれたんかなと思います。
――今日天理大学さんかなりスピーディーに工夫しながら、こう明治の外のスペースを攻めてきてるんだと思うんですけど、そこをしっかりと凌ぎきれた。試合前の意思統一とか、実際、試合中の手応えとかどうだったのか。
試合やっていくごとに、 展開されたりという部分は、その帝京大戦、対抗戦でやられた部分でもあったんで、ゲインは切られたんですけど、修正することはしっかりトークして、やっていくうちに自分たちのディフェンスが良くなって、あまり相手のアタックは脅威じゃなくなった。60何分間までゼロに押さえたのは、そのトークができていたからかなと思います。
――慌てずにディフェンスできるようになってきた。
そうですね。ずっとやっているディフェンスなんで自信もあった。ディフェンスでやっぱりずっと止められてるんで、オーバーラップされてても全然トークできてるし、カバーもいけてるし、問題ないっていうちょっとトークがあったんで。
天理大学 小松節夫監督
今日はありがとうございました。 一言で言えば残念だなということです。久しぶりにやっぱりこの準々決勝っていうところに来て戦う経験値が不足してたんですけど、まあ若いチームですから、この試合の悔しさを持って、この場で勝てるようなチームで作っていきたいと思います。
――経験不足ところはどういうことだと感じた?
意外にミスが多くて、ハンドリングエラーとか。簡単に取られるし、ねばらないといけないところで粘れなかった前半ですね。 かなりその辺でボールが手につかなかった。 もうちょっとこうボールが動けばよかったが、ミスが多かった感じですかね。 明治のプレッシャーはやっぱりありました。だから、このレベルの戦いの中でどういうラグビーをしていくか。
天理大学 FB筒口允之キャプテン
前半は自分たちのミスで取り切るところは取りきれなくて、悔しい時間帯が続いたんですけど、最後の15分過ぎたあたりから、自分たちのラグビーができたと思う。3点差という悔しい結果に終わりましたが、1、2、3年がこの悔しさをプラスに変えて 来年のこの舞台に戻ってくると思います。
――最後追い上げを見せた。
そうですね。やっぱりシンプルに継続すれば、自分たちが前に出るっていうのは、自信を持ってやってきていたので、そこを前半、細かいところが悪かったんですけど、後半という部分で言えば、そういったところもつながることができてた。そこが良かったので、そこでやっぱり修正っていうのは本当に良かったですけど、そこをもっと最初からできていたらと思います。
――前半のミスは普段と違う感じだったのか。
プレッシャーもありましたが、先ほど監督も言ったように経験値の不足だと思います。