関東大学リーグ戦グループ1部の注目カード2試合が12日、熊谷ラグビー場Bグラウンドで行われた。
流経大 vs 日大
第1試合は流経大vs日大。昨季は78-64という、互いにノーガードで殴り合う大乱戦の末に流経大が勝利。一昨季も55-33で流経大が勝つなど近年ビッグスコアが続いていたカードだったが、今季は一転、ロースコアの戦いに。

両チーム入場
2025/10/13
文●大友信彦
関東大学リーグ戦グループ1部の注目カード2試合が12日、熊谷ラグビー場Bグラウンドで行われた。
第1試合は流経大vs日大。昨季は78-64という、互いにノーガードで殴り合う大乱戦の末に流経大が勝利。一昨季も55-33で流経大が勝つなど近年ビッグスコアが続いていたカードだったが、今季は一転、ロースコアの戦いに。
両チーム入場
試合は開始早々から日大が流経大ゴール前に攻め込み、7分に日大No8神崎朝飛が先制トライ。日大はその後もスクラムで再三PKを獲得するなど主導権を握る。しかし追加点はなかなか奪えない。
WTB加藤アディナン
一方の流経大は日大のミスから相手陣に攻め込むと27分、33分にNo8ティシレリ・ロケティが連続トライで逆転。ロケティは36分にも自陣から豪快な突破で日大ゴールに迫るが、パスをつないだところで日大FBオツコロがインターセプトしてカウンターアタック。WTB田中隼人がトライを返し、日大が10-14と追い上げて折り返した。
日大_SO柏原慶太
FBサミペニ・オツコロ
後半も早々に日大はSO柏原がPGを決め13-14の1点差に迫る。だが流経大はここから再加速する。12分にロケティが3本目のトライ。24分にはラインアウトモールでHO土方倖矢がトライ。FB手嶋風碧がすべてのコンバージョンを決め28-13とリードを広げる。
日大LO大宮悠希
日大も34分、途中出場のFWマラカイ・ナワイカパカパが相手タックルにつかまりながら振り払って中央突破してトライ。SO柏原のコンバージョンで20-28と反撃するが、ロスタイムに流経大がWTB濱谷海斗のトライで突き放した。
日大_FWマラカイ・ナワイカバカバ
流経大は前節の立正大は前半33-5と大きくリードしながら後半は5-26と反撃を浴び、7点差で逃げ切る苦しい試合を経験。この日は逆に、前半10-14と苦しみながら後半に突き放した形だ。池英基監督は「今日は、後半は取り切れたけれど、前半は我々が求めるダイナミックラグビーができていない。まだまだ課題は多い」と言いながら「それでも勝ち切れたのは学生には自信になったと思う」と前向きに総括した。
ロケティとオツコロ、マラカイのアイランダートリオは試合後、チームの壁を越えて感謝の祈りをささげた
この試合でも抜群の存在感を放ったのはNo8ロケティ。立正大戦に続き2戦連続のハットトリック、3試合で8トライ、リーグ戦のトライ王争いトップを走る。池監督は「今年は最上級生になったことで自覚が出て、練習態度もマジメだし常に全力。体も締まって、人間的にもみんなに頼られる存在になった」と高く評価。福田拓人主将も「3年まではユニークなキャラだったけど、4年になって責任感が出て、私生活面でも『ちゃんとやろう』とチームをめちゃリードしてくれてます」
No8ティシレリ・ロケティ
勝利の流経大、応援の部員たちとともに
敗れた日大の稲田仁監督は「後半途中までは我慢できていたけれど、最後の20分で突き放された」。モストインプレッシブプレーヤーに選ばれたのはFBサミペニ・オツコロ。ゲームキャプテンを務めたSO柏原慶太副将は「去年のCTBナコのようなパワー系ではなくスキルフルで、ひとりで違いを生み出せる選手です」と、シーズン後半戦の主役候補に期待を寄せた。
MIPのオツコロ
第2試合の東洋大vs法大は、試合開始のキックオフを捕った東洋大がそのままキックオフリターン。WTB中山二千翔が右に左にステップを切って約70mを独走するノーホイッスルトライで先制する。
法大も11分、PKで相手ゴール前に入り、副将のLO細川幹太がトライ。ゲームキャプテンのCTB田中大誠がコンバージョンを決め7-7に追いつく。
試合開始のキックオフキャッチからリターンで快走する東洋大WTB中山二千翔
そのまま独走トライ
だがそれが、逆に東洋大のアタックに点火。15分、こぼれ球を拾ったWTB浅尾至音がポスト下にトライを決めて勝ち越すと、19分からはHO小泉柊人の3トライなど4トライを畳みかけ、前半だけで38-7と大量リード。
東洋大WTB浅尾のトライ
東洋大HO小泉柊人、この日3トライ
後半も東洋大は5分、SH生田旭が前半35分に続くこの試合2トライ目。リードを45-7まで広げる。大きくリードされた法大はここから「開き直って」(LO細川)反撃し、18分にFB福本耀の突破から細川が2トライ目。36分にはSO福本亘のキックパスで福本耀がトライ。後半に限ればトライ数2-1と上回った。
東洋大SH生田のトライ
東洋大SO林のコンバージョン
法大のタックル
法大CTB炭竈
新宮孝行監督は「後半開き直ってやればあれだけの試合ができるのになぜ最初からやらないのか…」とがっくり。クラブキャプテンのFB北川拓来、FWリーダーのNo8宮下晃毅、BKリーダーのSH小山田裕悟ら主力に故障者が相次いでいることもあり、大学選手権出場への3位以内確保が厳しくなった。
法大SH箕輪
一方、3連勝の東洋大も、前半の大量リードから後半はトーンダウン。No8ステファン・ヴァハフォラウ主将は「前半は前に出るディフェンスができた。ただ後半はアタックでもディフェンスでも我慢が足りず、ターンオーバーされたりペナルティをしてしまったりと課題が残った。もっと強気で、我慢していかないと」と反省しきり。「今年はリーグ戦優勝と大学選手権優勝をはっきりと目標に掲げているけれど、まずは目の前の1戦1戦を大事に戦っていきたい」と、足元を見失わない姿勢を強調した。
福永監督は「まだメンバーも固まっていないし、そこまで悲観する内容ではないと思う」とポジティブに総括。「今年はゲームウィークにもフルコンタクトの練習を入れて、自分たちから厳しい状況を作るようにしている」と、チームの底上げには手ごたえを感じている様子だった。
リーグ戦グループは3節を終え、東洋大、東海大、流経大の3校が3戦全勝。大東大が2勝1敗、関東学院大が1勝2敗、法大、立正大、日大の3校が3敗となっている。
![]() (おおとものぶひこ) 1962年宮城県気仙沼市生まれ。気仙沼高校から早稲田大学第二文学部卒業。1985年からフリーランスのスポーツライターとして『Sports Graphic Number』(文藝春秋)で活動。ラグビーマガジンなどにも執筆。 プロフィールページへ |