4月6日、女子7人制ラグビーの日本一を決める、国内サーキットシリーズである「太陽生命ウィメンズセブンズ2024」が開幕。第1戦北九州大会がミクニワールドスタジアムで行われた。初日は12チームが3つのプールに分かれ総当たり戦を行い順位を決めた。
シーズン初戦ということで各チームともに難しさを抱えながら挑んだ。昨シーズン、トップ4入りをしている、ながとブルーエンジェルス、日本体育大学ラグビー部女子、東京山九フェニックス、ナナイロプリズム福岡はいずれも決勝トーナメントに進出した。
中でも東京山九フェニックスは、サクラセブンズに選手を招集、さらに香港10sにも参加していて、今大会は新加入の選手や若手中心のメンバー構成で挑んだ。結果は1勝2敗と苦しんだがプール全体の7位に入った。
プールA TKM 12 - 17 アルカス熊谷
アルカスは、今釘小町、阿部恵、長田いろはといったサクラフィフティーンメンバーに加え、今シーズンから大塚朱紗が加入。大塚は自身初のFWでスクラムを組む。ボールを動かしてTKMディフェンスを崩し3つのトライ。TKMは試合終了間際に新加入のグレイス・スチュワートがトライを決めるも追いつかず。
ながと 22 - 0 アルテミ・スターズ
フェニックスから移籍したニア・トリバーはFWで出場。スクラムも組んだ。ゴール際になるとこれまで見せたパワフルなランでしっかり移籍後初試合でトライを決めた。アルテミ・スターズはながとのプレッシャーを前に自陣から脱出できず苦しんだ。ニアとジラワンがリザーブに控えているというまさに「ボム」級のインパクト。
TKM 36 - 5 アルテミ・スターズ
アカニシ・ソコイワサがブレイクダウンでボールを奪い、TKM・新原響が先制のトライ。さらに相手ディフェンスがボールに寄ってきたところ、外にできたスペースに素早くボールを展開し、グレイスがこの日2本目のトライ。アルテミ・スターズはサクラフィフティーン、津久井萌がトライを返すも流れを引き戻すことができない。
ながと 21 - 0 アルカス熊谷
アルカスがボールをつないで敵陣ゴール前までアタックするも、トライにつなげることができない。対するながとは少ないチャンスを確実にスコアにつなげ、アマーリ・ハラがトライを決める。その後もアルカス優勢で試合は続くが、ながとの粘り強いディフェンスでスコアできずそのまま前半終了。後半ブルーニー・キヴィットの個人技からながとが最初にスコアすると、後半から出場のジラワン・チュトラクンがトライを決めそのまま試合終了。ながとがアルカスを零封して勝利。
アルカス熊谷 33 - 7 アルテミ・スターズ
アルカスは序盤から今釘小町の連続トライで14-0とリードして前半を終えると後半も攻撃に手を緩めなかった。小出深冬、サクラフィフティーン・阿部恵らのトライでリードを広げた。一矢報いたいアルテミ・スターズは後半6分に南奈那がトライを決めるもこの1トライのみに終わった。
ながと 31 - 5 TKM
ながとはニアの2トライを含む3トライで19-0とリードして前半を終える。後半もながとが優勢に試合を進め31-0とながとがリードした後半6分、TKMは自陣22m付近のスクラムから左オープンサイドへ展開。TKMのトライゲッター、アカニシにボールをつなぐとボールをもったアカニシが加速。ハーフウェイ付近で相手にのジラワンを吹き飛ばすと、オフロードで永岡萌につなぎ、永岡から新原にわたり、再びアカニシにつながってトライ。敗れはしたものの、体力的にも厳しい時間帯で自陣からボールをつないで決めたトライは2日目にもつながるものになりそうだ。
プールB 三重パールズ 43 - 0 追手門VENUS
パールズ新加入のモニーク・コフィがいきなり先制トライ。かなりインパクトある髪型はカナダでプレーしていた時と同じだという。(プロフィールの画像は、落ち着いたものとのこと)。また今シーズンで引退を決意している保井沙予もトライ。前評判が高いパールズが追手門を零封。
日体大 28 - 26 日経大アマテラス
最後まで接戦となったこの試合。日体大が畑田桜子のトライで先制すると、アマテラスもテマレシ・ラヤシのトライで食い下がる。サクラフィフティーン、向來桜子がゴール前の攻防で落ち着いて相手のスペースを突いてトライを決めリードすると、アマテラスも原田紗羽の仕掛けから敵陣に入りボールをキープ。最後は原田がトライを決めて2点差で前半を終える。
後半、リリー・ニュートンのトライでアマテラスが逆転すると、すぐさま日体大は高橋夏未、大内田夏月のトライで7点差とする。後半終了間際、途中出場の町田美陽が自陣22m手前でボールをもつと70m以上を走りきりトライ。ゴールも決まって2点差とするもそこまで。日体大が辛くも勝利を収めた。
三重パールズ 41 - 0 日経大アマテラス
パールズが怒涛の攻撃で前半だけで4トライを決めて、アマテラスの勢いを止めた。後半もジャネット・オケロ、庵奥里愛、西村蒼空らのトライで7トライを決めたパールズが大勝。アマテラスは、勢いに飲み込まれで初戦のような本来のパフォーマンスを出すことができなかった。
日体大 24 - 14 追手門VENUS
ゴール前の攻防から相手ボールを奪った日体大が高橋夏未のトライで先制。追手門は松田向日葵のビッグゲインから岡本瑠伊のトライで逆転し、前半を終えた。後半日体大は高橋夏未がノーホイッスルトライですぐさま逆転すると、樋口真央キャプテンのトライで突き放す。追手門は山口みうのトライで再び3点差とするも、日体大は大内田夏月が仕上げのトライをきめて2連勝。
追手門VENUS 26 - 28 日経大アマテラス
互いに初戦を落としたチーム同士。追手門が松田向日葵のトライで先制すると、アマテラスも垂門奈々のトライで同点とする。追手門は徳永結羽のトライで14-7として前半を終える。
追いかけるアマテラスは垂門奈々が2本めのトライで再び同点とすると、追手門も松田向日葵がこちらも2本目のトライを決め再びリード。アマテラスはリリー・ニュートンのトライで再び同点とするも、後半6分、そのリリーにイエローカードが出され追手門が数的優位となる。すると追手門は松田向日葵がハットトリックを決め26-21となり万事休すかと思われた。アマテラスにとってはラストプレー。キックオフボールを町田美陽がキャッチ。内に返し、再び町田につないでハーフウェイ手前でポイントをつくると、素晴らしい角度で入ってきた原田紗羽にボールがつながりそのまま独走のトライ。下村理紗が落ち着いてゴールを決めて劇的な逆転でアマテラスが勝利を収めた。
日体大 26 - 12 三重パールズ
プールB、注目の戦いは予想どおり緊迫感ある展開。互いに2本ずつトライを決めて12-12で前半を折り返すと、後半最初に日体大が大内田夏月がハットトリックを決めて19-12とリードすると、新入生である谷山三菜子が後半4分、勝利を決めるとトライ。2トライ差をつけて日体大がプール全勝、全体2位で決勝トーナメント進出。三重パールズは全体の3位で進出を果たした
プールC ナナイロ 12 - 21 PTS
ナナイロが大橋聖香のトライで先制するとPTSもボールをつないでフィニッシャーの秋田若葉がトライを決め食い下がるも、前半ロスタイム、新加入の草野可凛のトライでナナイロがリードして前半を終える。後半、PTSが黒田美織のトライで逆転すると、そこから試合は膠着状態。互いにスコアできないまま後半6分、再び黒田美織がスプリント力を見せてトライ。PTSが今季初戦で昨シーズンのトップ4チームに勝利を収めた。
フェニックス 26 - 0 チャレンジ
新加入のサボナ・ボットマンがルーズボールを拾って初トライを決めて前半フェニックスリードで終了。後半、今大会FWで出場する増田結のゲインから中島涼香がトライを決めリードを広げると、後半終了間際には岡元涼葉がトライを決めて試合終了。若手選手中心で構成されたフェニックスがチャレンジチームを零封し初戦白星スタートをきった。
ナナイロ 26 - 0 チャレンジ
初戦を落としたナナイロは、自分たちのラグビーに立ち返って前半からトライを量産。迫田夢乃の2トライ、黒田佑美のトライで19-0とリードして前半を折り返す。後半、チャレンジチームもメンバーを入れ替え果敢に攻撃を繰り出すもスコアできないまま、後半6分、ナナイロは弘津悠が仕上げのトライを決めて試合終了。
フェニックス 12 - 14 PTS
フェニックスは、サクラフィフティーン、松村美咲の独走トライで先制するも、PTSも黒田美織のトライですぐさま同点とする。前半終了間際、PTSはボールを繋いでフェイズを重ねて最後は葛西杏奈のトライで逆転し前半を終える。後半追いかけるフェニックスはなかなかスコアできないが、野澤友那が後半試合終了間際にトライ。松村美咲のゴールが決まらず試合終了。PTSは初戦のナナイロに続き、フェニックスにも勝利し2連勝。
PTS 17 - 21 チャレンジ
PTSはチームとしては初のプール1位をかけた戦いに挑んだ。しかし、選手登録が一人すくないPTSはメンバーひとりひとりのプレータイムが他のチームに比べ長くなり疲労も蓄積し、これまでの戦いのようなキレがなく、ソフトなトライをチャレンジチームに許す苦しい展開。ここまで未勝利のチャレンジは宮本和、新居里江子、金芳歩のトライで9点差をつけて終盤を迎える。PTSはプレータイムのコントロールもあり、後半6分に、平山愛、葛西杏奈、秋田若葉のスターターでのキープレーヤーを交代。それでも、後半ロスタイムに黒田美織がトライを決めて4点差に縮めて試合を終えた。
フェニックス 10 - 26 ナナイロ
1日目最後の試合は地元ナナイロがフェニックスを圧倒。前半だけで3トライを決めて21-0とリードして折り返すと、後半も迫田夢乃がトライ決めて試合を決めた。フェニックスは今季新加入の尾崎夏鈴がトライ決めて試合終了。ナナイロが2勝1敗でプールCトップで決勝トーナメント進出を果たした。
プールCはナナイロとPTSが2勝1敗、フェニックスとチャレンジが1勝2敗ずつと混戦となったが、決勝トーナメント進出sはチャレンジを除く3チームとなった。
2日目の試合スケジュール
準々決勝1 9:00 ながと - YOKOHAMA TKM
準々決勝2 9:22 アルカス熊谷 - ナナイロプリズム福岡
準々決勝3 9:44 三重パールズ - 自衛隊体育学校PTS
準々決勝4 10:06 東京山九フェニックス - 日体大ラグビー部女子
9位決定戦1 10:28 日経大アマテラス - 横河武蔵野アルテミ・スターズ
9位決定戦2 10:50 追手門VENUS - チャレンジ
DAY1 トライランキング
1 大内田夏月(日本体育大学女子)5T
2 迫田夢乃(ナナイロプリズム福岡)4T
2 黒田美織(自衛隊体育学校PTS)4T
2 ジャネット・オケロ(三重パールズ)4T
5 高橋夏未(日本体育大学女子)3T
5 ニア・トリバー(ながとブルーエンジェルス)3T
5 保井沙予(三重パールズ)3T
5 今釘小町(アルカス熊谷)3T
5 黒田佑美(ナナイロプリズム福岡)3T
5 松田向日葵(追手門学院VENUS)3T
DAY1 得点ランキング
1 大内田夏月(日本体育大学女子)27=5T1C
2 黒田美織(自衛隊体育学校PTS)26=4T3C
3 谷山三菜子(日本体育大学女子)21=1T8C
3 黒田佑美(ナナイロプリズム福岡)21=3T3C
3 今釘小町(アルカス熊谷)21=3T3C
6 迫田夢乃(ナナイロプリズム福岡)20=4T
6 ジャネット・オケロ(三重パールズ)20=4T
8 プルーニー・キヴィット(ながとブルーエンジェルス)17=1T6C
9 高橋夏未(日本体育大学女子)15=3T
9 ニア・トリバー(ながとブルーエンジェルス)15=3T
9 保井沙予(三重パールズ)15=3T
9 松田向日葵(追手門学院VENUS)15=3T