ながとらしさ―これが私たちのラグビー!東あかり・辻崎由希乃 | ラグビージャパン365

ながとらしさ―これが私たちのラグビー!東あかり・辻崎由希乃

2025/07/23

文●編集部


20日、21日に行われた「太陽生命ウィメンズセブンズシリーズ2025・北九州大会」ながとブルーエンジェルスが今シーズン初優勝を果たし幕を閉じた。昨シーズンまで圧倒的な強さを見せたながとだったが、今シーズンは熊谷大会で4位。さらにこの北九州大会でも1日目は苦しい試合が続き、これまでの「ながとらしさ」は影を潜めていた。

ただ、今大会準決勝のPEARLS戦で長く暗いトンネルから抜け出す会心の試合で大勝。その勢いそのまま決勝でも地元・ナナイロプリズム福岡に今季初勝利を収め見事に優勝を果たした。試合内容はこれまで多くの人が目にしてきた「ながとらしい」強さが光るもので、ついに王者が覚醒したと感じずにはいられないものだった。

東あかり

東あかり


表彰式を終え、準決勝ではPEARLSのトライゲッター、ブラジル代表のタリア・コスタを止めてチームに勝利を呼び込んだ東あかりと、サクラセブンズで世界を経験した辻崎由希乃、2選手に心境をきいた。




ながとブルーエンジェルス 東あかり

――タリア選手を止めていました!


いや、あまり(ディフェンスは)得意ではなかったんですけど、しっかりこの1ヶ月、前回大会はでていないですけど、すごく練習してやってきたことがこの試合に出せたかなと思います。


――今シーズンチームは苦しんでいました。今大会も一日目は決してよくなかったですが振り返ってみて。


そうですね。1日目は苦しい戦いが多かったように「ながとらしい」部分があまり出せなかったんですけど、2日目はすべての試合のアップのところも、試合の出だしのところも、全員で一丸となって戦うという少し「ながとらしい」プレーができたかなと。準備全てが完璧にできたのが試合に繋がったかなと思います。

――第1戦を終えてからチームでは話し合いとかしたのですか?


チームの中でちょっと個人で戦ってしまうところが前回大会はあって、ちょっとチームとしての組織的なことがあまりできてなかったよねという反省点があったので「ユニティー(団結)」という部分をこの1ヶ月間、すごくみんなの中で意識してきました。


――今大会ではどんな役割を期待されていましたか?


WTBだったので、一人で止めにいかずに内の人とディフェンスコネクトをしっかりつながって全員で止めることをすごく意識してました。一人でいっても、1v1では負けてしまう部分があるので、チームで隣の人に助けてもらいつつ全員でやるというのはすごく言い合っていました。



――準決勝でPEARLSに勝利してからチームとしてはいい雰囲気だった?


はい。やっぱり士気もあがりましたし、PEARLS戦ですごく全員が自信をつけてそのまま(決勝に)挑めました。ナナイロに対しては1日目で負けていましたけど、苦手意識みたいなものは試合に出る前には、全く負ける雰囲気もなく私達でやりたいことやろう。やることをしっかりやれば勝てるという同じ気持ちを共有しながら、試合に出ていったことはすごいでかかったなと思います。

――これまでナナイロには前半でリードを許して追いつかないという展開でした。決勝では17‐0とリードして前半を折り返しました。ハーフタイムではどんな話をしましたか


このまま流れを切らさないように、さらに集中をし直すということと、勝っているからといってこう慢心してしまうとやっぱり隙をつかれてしまうので、0対0じゃないけど、そういう気持ちで自分たちがもっともっと覇気じゃないですけど、勢いを持って後半出していこうという話をしました。


――ながとは「優勝するのが当たり前」じゃないですけど、やっぱりそう見られると思われてしまいますが、勝てない時期はチームの雰囲気は苦しい部分がありましたか?


そうですね。すごい前に戻ってしまうんですけど、シーズン初めのナナイロカップから、海外にいって香港テンズだったりいろんな公式戦で優勝を逃してきたシーズンでこう下におちていってしまうこともあったんですけど、やっぱりこうしてチーム一丸となって組織で戦ったら、「ながとらしい」ことができて、自分たちも「私たちだ」と思える試合が今大会はできたので、苦しい場面も盛り返すことができました!


――今シーズン最後に1発勝負の新しいフォーマットになりますが、この優勝はながとにとってすごくプラスに働きそうですか?


あまり気にしないようにはしていたんですけど、1大会目、順位を落としてしまって、もしかしたらいつもどおりの大会だったら総合優勝が危なかったかもしれないけど、新しいフォーマットになって、それに向けてこのまま進めて優勝につなげていければいいなと思います。

――対面は相手の強くて速いランナーがいます。ご自身のプレーはどの部分をあげていきたいですか?


ディフェンスの部分では今大会自信につながる場面がすごく多かったので、ディフェンスだけでなく次はアタックでもしっかりアタックしたいですね。一応自分の強みがタックルされても倒れないというところなので一人で突っ込んでいってしまって、味方がいなかったとしても常に立ち続けてボールを守り続ける、プラス、しっかり走り切ったり、パーンっとぬけるようなプレーをできればしたいですね。


アタックとディフェンスの8割くらいは自分の中ではできていますし、言われたこと、期待されていることをしっかり仕事できていると思うので、トライを取り切るところをもっとフォーカスして今後の大会にむけてレベルアップしていきたいです。

ながとブルーエンジェルス 辻崎由希乃

辻崎由希乃

辻崎由希乃


――1試合の中でも良いプレーの時とゴール前でノックオンしてしまう時がありますが、ああいうときの気持ちの切り替えは?


結構小さいミスに気を取られやすいというか、全部100点にしなきゃいけないって思っちゃう人間だから、あのトライミスの時も、あれを決めていれば多分チーム的にも勝ちを確信できる点数差になったと思うんですけど、(平野)優芽とか、(大谷)芽生ちゃんとかいろんな選手がハドルのところで「いや大丈夫だと。また取り返せばいいよ」と言ってくれたので、自分が落ちたらダメだなという反省を活かして切り替えることができました。


――決勝の相手がナナイロでしたが1日目には負けていて、嫌な気持ちにはならなかった?


代表で顔を合わせている子ばっかなので、多分自分の強みも弱みも全部知られているし、逆手に私も相手の強みや弱みも全部知っているからこそ、戦術とか関係なく、自分が見えているラグビーをしたら勝てるかなと思っていたので、昨日は昨日だし、今日はすごくいい流れでみんなラグビーができていたので、そこを信じてやるだけかなと思っていました。

全然、ナナイロだから負けるかもということもないし、とりあえずここら辺で勝っておかないとというのもありました。


――これまで苦しかった中で優勝ができたからこそ、これからすごくプラスになりそうですか?


本当に暗いトンネルを今やっと抜け出したかなというくらい決勝の最後のフォーンがなったときには、本当にこれが見たかった景色だなと思いました。プール戦では思ったような自分たちのラグビーができなかったからこそ、1試合1試合、負けても勝っても反省して苦しんで今年は勝っていかないといけないなってすごく感じていました。自分としてもチームとしてもやっとスタートラインに立てたかなと思います。あと2大会、これより上に成長できるようにやっていかなきゃいけないなって思っています。

――先ほど、失敗したことを気にしたりされると言われていましたけど、今大会中でもそういったところはありましたか?


あったんですけど、いい言葉がわからないんですけど、いい意味で「他力本願」じゃないですけど、自分以外の6人もそうですし、ベンチで待ってくれているメンバーも一緒に練習してきたメンバーも含めて本能に素晴らしい選手がながとには揃っているんで、自分がちょっとミスしたところで絶対誰かが取り返してくれるし、その逆で誰かがミスした時に自分が体を張ればいいかなというマインドに1試合ごとになっていけました。それが自分の役割を果たした結果かなと思っています。

――東さんは2日目は準備の段階から完璧で、「ながとらしさ」が出せていたと話をしてくれました。辻崎さんは「ながとらしさ」を出せたと感じていますか


今日のこのDay2に至っては毎試合で自分たちの強みが一つずつ出せたかなと思っていて、スーパースターたちが揃っているチームなので、一人一人が自分のしごとをすれば絶対勝てると私はすごく信じています。今まではちょっと人のところまでいっちゃったりとか、誰かにやってもらえればいいやというところがあったので、今日はほんとうにプレーの精度も高くて、メンタル的にも「ながとらしさ」が出ていたと思います。

――これからの2大会にむけて


ナナイロさんもそうだし、PEARLSさんもそうだし、いろんなチームが2週間かけて修正してくると思いますし、どのチームも本当にいい選手がたくさん揃っているからこそ、自分たちもこのスタンダードを下げない、というのが多分自分たちらしさだと思うのでそこを意識してやっていきたいです!

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