サクラフィフティーン(サクラXV)は27日、ケープタウンでWXV2初戦の南アフリカ戦を戦い、24-31で敗れた。
試合開始のキックオフから敵陣に入った日本は前半9分、相手ゴール前ラインアウトでキャッチャーが空中で前方の選手にパスしてモールの位置をずらすサインプレーでラインアウトからモールを押し、HO谷口琴美がトライ。SO大塚が難しいコンバージョンを決め7点を先制する。
しかし直後のキックオフを捕ったところからのパスがスローフォワード。自陣22m線での相手スクラムとなり、そこから相手の重量FWに連続縦突進を浴びトライを献上。7-5とされる。
日本は20分、左ゴール前のラインアウトから出たボールをCTB弘津悠が巧みなグラバーキックでインゴールに転がし、鋭く追ったSO大塚朱紗が左中間にトライ(WTB松村C失敗)。日本は12-5とリードを広げるが、次の相手キックオフをSO大塚がノックオン。再び自陣ゴール前で相手ボールのスクラムを組まれ、同じようにFWの連続ゲインからトライを許し12-10。
交互に点を取り合う展開が続き、次のキックオフから日本はまた敵陣深くに侵入するが、28分、相手ゴール前のラックからインゴールに入ったPR北野和子が相手NO8ヘレに阻まれグラウンディングできず、ゴールラインドロップアウト。そこから南アはじわじわと陣地を戻し、35分にラインアウトモールで前進したところからPR1チャーリーが抜け出してトライ。
日本も次のキックオフから敵陣に入り、WTB今釘小町が絶妙のキック。インゴールに入るバウンドを待った相手の隙を突いて長田いろは主将が相手ゴールラインぎりぎりで押さえたかに見えたが惜しくも届かずノートライ。前半は12-17の劣勢で折り返した。
後半は南アがキックオフから日本陣に入り、45分にパリ五輪セブンズ代表のWTB11マリンガが左サイドをステップ&スピードで走り切りトライ。24-12とリードを広げる。
これ以上離されたくない日本は48分、相手のキックチェイスのオフサイドで敵陣PKをもらうとSO大塚の好キックで右ゴール前ラインアウトに持ち込み、モールを押しておいて持ち出したNO8齊藤聖奈が左中間にトライ。17-24と追い上げると、5分後の53分にも同じように相手ゴール前のラインアウトに持ち込み、フェイズを重ねたところでNO8齊藤がトライ。WTB松村がコンバージョンを決め、24-24の同点に追いついた。HO谷口琴美の正確なスローとLO佐藤優奈、吉村乙華、FL川村雅未のジャンパー陣によるラインアウトの精度、モール形成の速さはサクラXVの武器として頼もしかった。
齊藤聖奈は2012年の日本代表デビュー以来これがテストマッチ通算20号トライ。女子日本代表歴代トップの最多記録を更新し続けるトライハンターが、45キャップ目で節目の金字塔を打ち立てた。
勢いに乗った日本は次のキックオフからも齊藤聖奈がビッグゲイン。相手陣10m線まで戻すが、ここで南アがターンオーバー。日本も崩れずに対応してPR加藤幸子がボールを奪い返すがそこからパスミス、さらにSO大塚がラックで相手の頭部に肩でコンタクトしたことでTMOの結果イエローカード。
14人になった日本は57分、自陣ゴール前ラインアウトに持ち込まれ相手LOウビシに勝ち越しトライを許す。コンバージョンも決まり24-31。
リードされた日本は、そこから14人で相手の圧力に耐えて反撃。FB西村蒼空のタックル&WTB今釘小町のジャッカルでボールを奪って敵陣に入り、相手ゴール前に攻め込むが、64分のチャンスはWTB松村が惜しくもノックオン。
69分にはパリ五輪セブンズ日本代表の松田凜日が交代でピッチに入り、2度3度豪快なゲインを披露。71分には相手ゴール前でフェイズを重ね、途中出場のPR峰愛美がインゴール中央に飛び込んだが、直前にオブストラクションがあったとしてTMOの末にトライ取り消し。
78分には相手ゴール前PKから前に出た吉村乙華が相手タックルを受け落球したが、相手にノット10mバックがあったとしてイエローカード(ゴール前の速攻を阻止しようとした相手の確信的ノットバックタックルにイエローカードが出るならペナルティートライの対象だと思ったが…)。日本はこのPKからも執拗に攻め立てたが、フィジカルに優る南アの壁を突き破れず、WTB今釘のノックオンで万事休した。
日本の次戦は10月5日、昨年のWXV2でも対戦し7-38で敗れたスコットランドと再戦する。
レスリー・マッケンジーHC
「大きくて重い南アフリカを相手に、私たちの磨いてきたフィジカリティとラインスピード、タックルはお見せできたと思うけれど、ラインスピードはもっと上げられる。ディフェンスのときのコネクションももっとあげられると思う。出来は総じて悪くなかったと思うけれど、課題であるハンドリングエラーから失点したことがスコアに直結してしまった」
長田いろは主将
「相手のモメンタムを受けてしまう時間帯があって、試合をうまく進められなかった。修正点は、トライを取りきるべきところでのミスを少なくすること。これからも試合が続くので、切り替えて頑張りたい。準備してきたモールでトライを取れたのはFWパックとして自信になる」
NO8齋藤聖奈
「ラインアウトモールでいいセットアップができて、しっかりガマンできればトライまで繋がると分かったので、ラインアウトモールはこれからも自分たちの武器にしたい。
(通算20トライについて)全然知らなかった(笑)。ホントに順番というか、たまたま自分に回ってきたところでトライをしただけ、誰がトライしても同じ。みんなのトライです」
PR加藤幸子
「スクラムは分析して臨んだけれど、セットしたあとの相手の重さと圧を受けてしまった。スクラムのテクニック的な部分でも、去年スコットランドにやられたときと同じような感じで対応できなかったのが悔しい。南アフリカの重さは、今まで組んだ相手ではフィジーの次くらいに重かったです」
CTB弘津悠
「イタリア戦のあとはチームでキャッチとパスにフォーカスして練習してきて、前にボールを運ぶことを意識して臨みました、ラインスピードは成長した部分だと思うし、フィジカル的にもアメリカ戦を経験しているのでそれほど苦しさはなかった。(大塚のトライにつながった)キックパスは決めていたプレーではなく、周りから『裏キック』という声があったからですが、普段からバンジーと一緒に裏を狙うキックは練習していたので、自信を持って蹴りました」
パリ五輪後に合流、途中出場したFB松田凜日
「出られたら自分ができることを精一杯やろうと思って臨みました。(出場時間は短かったが)ボールを持ったときに前へ出られたのは良かった。あとは、外にいるときにもっとボールを呼べるようにしたい。
(父・努さんからのアドバイスは何かありましたか?)
いえ、今回は慌ただしくて、サクラXVに選ばれたこともLINEできていないんです(笑)」