太陽生命ウィメンズセブンズ2025が6月21日に開幕!直前カンファレンスレポート | ラグビージャパン365

太陽生命ウィメンズセブンズ2025が6月21日に開幕!直前カンファレンスレポート

2025/06/11

文●大友信彦


太陽生命ウィメンズセブンズシリーズ2025の開幕前会見が11日、東京都港区の青山ビルで行われた。

会見には2016年リオ五輪サクラセブンズHCだった日本協会の浅見敬子副会長、2014年の大会設立時から特別協賛を続けている太陽生命から出席した池田久幸取締役常務執行役員、参加チームを代表して昨年優勝のながとブルーエンジェルスから平野優芽主将、昨年2位の三重パールズから山中美緒主将、昨年3位の東京山九フェニックスから岡元涼葉主将とパリ五輪代表の奥野(旧姓・原)わか花、今季昇格した北海道バーバリアンズディアナから吉田鳳子主将とパリ五輪代表の三枝千晃の6選手が参加した。

中央左が浅見副会長、中央右が池田取締役常務執行役員

中央左が浅見副会長、中央右が池田取締役常務執行役員


会見では冒頭、日本協会の浅見副会長が「この大会が始まって11年、この大会で育った選手のおかげで日本代表サクラセブンズの選手層が厚くなり、今年のHSBCワールドシリーズのバンクーバー大会では最高成績となる4位になることができました。新たな日本代表が発掘されてきたのはこの大会が続いてきたおかげと感謝しております」とあいさつ。今季の変更点として、日本代表選手が出場できるように大会の時期をずらしたこと、ワールドシリーズに合わせてグランドファイナル制を導入したこと、暑熱対策として7-8月の屋外で行われる北九州大会と花園大会では登録人数を12から13に増やしたことなどを説明。太陽生命の池田常務は「この大会から日本代表の選手が出てきてくれていることがとても嬉しい」と、冠スポンサーとして協賛を続ける理念と喜びを言葉にした。


続く質疑応答で、大会がサクラセブンズに与えた影響について問われた浅見副会長は「日本女子の選手層が本当に厚くなりました」と即答。

「大会が始まった当初は各チーム、12人を揃えるのに苦労していたけれど、それから各チームが環境を整備して、今はストレングスのトレーニング環境は当時とは雲泥の差。各クラブが外国のトップ選手を積極的に連れてきてくれたこともあって、若い選手が国内にいても海外のトップ選手と対戦したり練習したりする経験を積むことができて、実際に海外に出たときも物怖じしなくなった。実際に海外遠征に出ても、ケガをする選手も減りました。選手のみなさんの日々のトレーニングの成果だと思います」と、大会の誕生がもたらした大きな影響をあげ、謝意を示した。


ながとブルーエンジェルス、平野優芽キャプテン

ながとブルーエンジェルス、平野優芽キャプテン


3連覇を目指すながとブルーエンジェルスの平野主将は「3連覇というプレッシャーはあるけれど、それに打ち勝って、どのチームよりも勝ちに貪欲に行きたい。チームの今季のスローガンは『コンカー』(Conquer)。英語で『打ち勝つ』という意味です。3連覇のプレッシャーに打ち勝って、最後にチャンピオンになって終われたらいい」と抱負を口にした。

今季の新フォーマットでは、3戦までに総合8位に入れば、最後のグランドファイナルは一発勝負で、8位からでも同条件で年間優勝は可能。逆に言えば、第3戦まですべて優勝していても、最後のグランドファイナルで負ければ最悪年間8位まで落ちてしまうこともありうる。いろいろな面で従来とは異なるフォーマットは、不確定要素が増える分、前年王者には相対的に不利に思えるが「私たちは一戦一戦どの大会も優勝したいと思っているので、フォーマットは関係ない。最後の大会で全てが決まるというフォーマットも、気の抜けないものだと思うし、1日ですべてが決まるというメンタルの勝負だと思うので、そこで負けないことが大切になる」と決意を明かした。


PEARLS・山中美緒キャプテン

PEARLS・山中美緒キャプテン


昨季2位のパールズから出席した山中主将は「私は第1回大会から参加させていただいて、毎年レベルが上がっていることを実感している。今年も参加できることにワクワクしています。去年は優勝に届かず悔しい思いをしたので、今年はチーム一丸で優勝を掴み取りたい。スローガンは『Catch the wave』。良い波も厳しい波も乗り越えていく。そのためにサムライの三つの心得『無心・残心・不動心』をキーワードにしています」と明かした。

パールズには今季、NZ代表ブラックファーンズで五輪とW杯あわせて6度の世界一に輝いているサラ・ヒリニ、ブラジル代表でワールドシリーズ通算100トライを達成したタリア・コスタというワールドクラスのレジェンドが加入。プレシーズンの大会でも圧倒的な強さを見せている。

「サラのような世界のトップの選手が練習でもオフフィールドでも高いスタンダードを見せてくれて、新加入でも遠慮せずにオンでもオフでもひっぱってくれる。日本人選手の新人も須田倫代、大内田夏月、樋口真央とみんなすごく明るくて、チームに溶け込んでくれている。彼女たちが、今までなかった新しいスキルをチームに持ち込んでいます。タリアはワールドシリーズでもトップクラスのスピードがあって、練習でも置き去りにされるくらいスゴいです。英語はしゃべれないけど、ブラジルから一緒に来たガブリエラ・リマが通訳してくれるし、本人もゼスチャーで積極的にコミュニケーションを取ってくれる。やりやすいです」と好調の背景を明かした。

東京山九フェニックス・岡元涼葉キャプテン

東京山九フェニックス・岡元涼葉キャプテン


昨季3位のフェニックス岡元主将は「これまで選手として一緒にプレーしていた野田夢乃さんが今年からヘッドコーチになって頑張っています。3年ぶりのチャンピオンを目指して切磋琢磨しています」とキッパリ。今季の新加入選手は3人と少ないが「カナダから来たチャリティ・ウィリアムスはオリンピック3大会に出場した選手で、すごく経験が豊富で、チームでもすごく発言してくれる。チームのコンセプトは『ブルームアップ』。昨シーズンの15人制では『リンクアップ』を掲げて、チームとしてレベルを上げて目標の優勝を達成できたので、今年は個々がチームの上に勝利という花を咲かせたい」と到達イメージを明かす。

東京山九フェニックス・奥野わか花

東京山九フェニックス・奥野わか花


同じフェニックスから出席した奥野はパリ五輪後に結婚。引退を表明していたが、15人制シーズンを終えたところで「家庭を持ちながらプレーを続けることに良さを感じる」と引退を撤回した。夫の奥野翔太さんはリーグワン3部・狭山セコムラガッツのHOで、新妻のわか花も夫の入替戦の奮闘を応援した。

「惜しくも敗戦になってしまったけれど、いつもお互いに刺激をもらっています。この前の入替戦の悔しかった分、フェニックスで3年ぶりの優勝に貢献して晴らしたい」

襟付きの新ジャージーで登場した奥野と岡元

襟付きの新ジャージーで登場した奥野と岡元

北海道バーバリアンズディアナ・吉田鳳子キャプテン

北海道バーバリアンズディアナ・吉田鳳子キャプテン


一方、毎年優勝を争ってきたトップ3に対し、少ない人数で活動しながら2年ぶりに太陽生命のコアチームに戻ってきた北海道バーバリアンズディアナは違った感覚を持っていた。
吉田鳳子主将は「2年ぶりのチャレンジで緊張していますが、今の私たちがどれだけできるかワクワクしています。今年は最終戦が札幌の大和ハウスプレミストドームなので、そのグランドファイナルに進めるように各大会、一戦一戦に勝てるところを確実に勝っていきたい。ドームで女子のスポーツが行われることは滅多にない。それに、グランドファイナルにいけば一発勝負なので、その面では楽しみにしています」。

北海道バーバリアンズディアナ・三枝千晃

北海道バーバリアンズディアナ・三枝千晃


同じディアナの三枝千晃も「普段私たちの試合を地元の方々に見てもらえるチャンスはあまりないし、最終戦ではグランドファイナルを戦えるように一戦一戦ベストを尽くしたい」と言い切った。

そんなディアナには今季、日本人の大卒選手が2人、高卒の新大学生選手が1人、そして外国人選手が5人加入。中でも注目されそうなのが、ウガンダから初めて海外でプロとしてプレーする選手となったエミリー・レクルだ。

「普段はとても穏やかだけど、その姿からは想像できないくらい、グラウンドに入ったら馬のように速い。誰も追いつけない」と吉田は呆れ気味に苦笑した。


外国人を積極的に招聘するチームもあれば、国内の選手で固めるチームもある。外国人もトップ国の選手がいれば未知の国からやってくるパイオニアもいる。日本人選手も中学・高校時代からアカデミーで揉まれた期待のエリート選手がいる一方で高校・大学まで他競技に打ち込み、転向して間もない選手も。いろいろなストーリーを持った選手・チームが、それぞれの条件を抱えながら大会に参集し、それぞれの目標を持って臨むのが太陽生命シリーズ。「多様性」を象徴するような大会が、いよいよ始まる。

大友信彦
(おおとものぶひこ)

1962年宮城県気仙沼市生まれ。気仙沼高校から早稲田大学第二文学部卒業。1985年からフリーランスのスポーツライターとして『Sports Graphic Number』(文藝春秋)で活動。’87年からは東京中日スポーツのラグビー記事も担当し、ラグビーマガジンなどにも執筆。

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