世界でも珍しい女子セブンズの国内サーキット大会、太陽生命ウィメンズセブンズシリーズは4月23-24日の第1戦・熊谷大会で開幕する。大会に向け、各チームは新体制を始動。各地でウォームアップ大会が行われている。RJ365では、各チームの会見、プレスリリース、SNS発信、そして独自取材で注目チームの新戦力情報などを収集。複数回に分けてお届けする。トップバッター、もとい、ファーストフェイズのアタックは、大会3連覇を目指すながとブルーエンジェルスから!

バティヴァカロロ・ライチェル海遥
昨年、大会優勝ゼロながらコンスタントに上位に入り、総合2連覇を飾ったのが、ながとブルーエンジェルス。大会最初の3度目の優勝そして3連覇に向け大型補強を敢行した。
今季は、東京五輪でサクラセブンズの共同主将を務めたバティヴァカロロ・ライチェル海遥がアルカス熊谷から移籍。「去年、私はチャレンジチームで対戦したのですが、ながととの試合では私も翻弄されるくらい面白いラグビーをしてきて、このチームでラグビーをしたら面白いと思いました」とながとへ移籍した理由を明かした。

平野優芽
もうひとりのビッグネーム、五輪後のアジア女子セブンズで主将を務めた平野優芽は日体大から加入した。
「ながとブルーエンジェルスには世界から素晴らしい選手が集まっている.素晴らしい環境で、日常から世界を意識した練習をすることで、自分を成長させることができると思いながとを選びました」

田中笑伊
同じ日体大からはやはり東京五輪代表候補だった田中笑伊、立正大/アルカス熊谷からはライチェルの妹で高3でサクラセブンズ入りしたバティヴァカロロ・アテザ優海、四国大からはチーム創立から初代キャプテンとして四国大を太陽生命コアチーム昇格に導いた井上藍が加入。

井上藍
井上は石見智翠館高3年のとき、ニュージーランド代表選手を並べて太陽生命シリーズ昇格を目指したながとブルーエンジェルスを入替戦で破る奇跡的な勝利にチームを導いたカリスマ主将。5年経って、今度は自分たちが倒したながとの一員となったわけだ。

バティヴァカロロ・アテザ優海
31日の会見ではアテザのコメントが印象的だった。
「私は、ながとブルーエンジェルスの、いろいろなバックグラウンドを持った選手が集まって、たくさんの文化を持って、ラグビーを通してひとつになっているところに魅力を感じました。私もいろいろな価値観を持つこのチームの一員になりたいと思いました」

クリスタル・メイズ
さらにNZ、オランダ、フィジー3カ国の代表経験を持つ4選手が新たに加わった。
クリスタル・メイズはセブンズNZ代表で6キャップ、ハリケーンズでプレーしていた。プルーニ・キヴィットはオランダ代表で7人制16キャップ、15人制3キャップを、ボーエン・マヌフトゥは同じくオランダ代表で7人制3キャップ、15人制1キャップを、アカニシ・ソコイワサはフィジー代表で7人制6キャップを持つ。

大会三連覇を目指す新生ながとブルーエンジェルス
ながとブルーエンジェルスを創部からリードしてきたヘイゼル・トゥビック、タイシャ・イケナシオ、昨季の年間MVPを獲得したファタシンプキンズ・カタリナら第1世代は10月のワールドカップに向けた準備などで今季は離れたが、新世代の選手を多く迎え、ながとBAが新しい歴史を刻み始める。

永岡萌
ながととともに、大型補強を敢行したのは横浜TKMだ。
RKUグレースからサクラ15のFL永岡萌、國學院栃木で2017選抜優勝キャプテンだったCTB内海春菜子(はなこ)の2人、日体大から決定力抜群のWTB小島碧優(みゆう)、追手門学院大からパワフルランナーの小林詩波、司令塔兼フィニッシャー堀毛咲良というサクラ15候補BK2人、四国大から斉藤琴音、国際武道大からスプリンターの石田雲母(きらら)、開志国際の司令塔でチャレンジチームの一員だった小池くるみ、さらに未経験組として、柔道から転向した福井夢七、吉田菜美、バスケットボールから転向した北越春香が山梨学院大から加入。さらにフィジーからの新戦力アシナテ・サブも加え、大量12人の新戦力を迎えた。

内海春菜子

小島碧優

小林詩波

堀毛咲良

小池くるみ

石田雲母
やはり意欲的な補強が目立つのが三重パールズだ。
日体大から加わるのがFB古屋みず希、FL/PR細川恭子、SH/SO秋山歩花の3人。古屋と細川はサクラ15候補で、秋山は國學院栃木で全国優勝を経験している。さらに流経大グレースからサクラ15のパワフルLO北野和子。追手門からはキャプテンとして全国大学女子セブンズ優勝に導いたHO土井望愛(みちか)、四国大からPR福澤恵、立正大から渡邉希海(のぞみ)が加わった。

古屋みず希

細川恭子

秋山歩花

北野和子

土井望愛
今季は15人制と7人制、両方の日本代表がワールドカップを控えており、合宿や遠征も行われそう。太陽生命シリーズの大会にトップ選手がどれだけ出場できるかは分からないが、その分、新たな才能が活躍するチャンスでもある。
そして、昨季ながとが2度目の総合優勝を果たしたことで、最多総合優勝はアルカス、日体大、ながとの3チームが優勝2度で並んだ。今季はどこかが3度目の総合優勝を飾って最多総合優勝回数の単独トップに立つのか? あるいは新しい総合優勝チームが誕生するのか?
4月23日の熊谷大会開幕、さらにそれに先立つ16-17日のリージョナルセブンズでは静岡大会、鈴鹿大会にゲストチームとしての出場権獲得を目指す9チームが激闘をくりひろげる。女子セブンズ国内戦線は今季、例年以上に面白くなりそうだ。
![]() (おおとものぶひこ) 1962年宮城県気仙沼市生まれ。気仙沼高校から早稲田大学第二文学部卒業。1985年からフリーランスのスポーツライターとして『Sports Graphic Number』(文藝春秋)で活動。’87年からは東京中日スポーツのラグビー記事も担当し、ラグビーマガジンなどにも執筆。 プロフィールページへ |