太陽生命ウィメンズセブンズシリーズ2025北九州大会直前、タリア・コスタ、サラ・ヒリニ、エミリー・レクル、熊谷大会で輝きを見せた3選手 | ラグビージャパン365

太陽生命ウィメンズセブンズシリーズ2025北九州大会直前、タリア・コスタ、サラ・ヒリニ、エミリー・レクル、熊谷大会で輝きを見せた3選手

2025/07/15

文●大友信彦


太陽生命ウィメンズセブンズシリーズ2025開幕戦の熊谷大会は、三重パールズの優勝で幕を閉じた。2022年静岡エコパ大会以来3年ぶりの優勝。そのシンボルになったのは新加入のビッグネームだ。

サラ・ヒリニはニュージーランド代表ブラックファーンズで長く主将を務め、五輪とワールドカップあわせて6度も世界一になっている女子ラグビーの世界的レジェンド。

タリア・コスタはブラジル代表のトライゲッターとして活躍、五輪には東京都パリの2大会に出場し、ワールドシリーズでは通算100トライの大記録を打ち立て、今季のSMBC SVNSの年間ドリームチームにも選出された、新世界のスーパーランナーだ。

サラ・ヒリニ

サラ・ヒリニ


FWのサラは最前線でセットプレー、タックル、ブレイクダウンに体を張り続け、ボールを持てば長身と長い腕、特大ストライドを活かしてボールを前に運んだ。

BKのタリアはボールを持てば迷わずアタック。大外のエッジを駆け上がり、内側に張り付いたタックラーを抜き去り、目の前にタックラーがいれば鋭いステップ、スワーブですり抜け次々とトライをあげた。

タリア・コスタ

タリア・コスタ


パールズはDAY1は初戦でアルテミ・スターズを41-7で大破。第2戦はPTSに前半5-12とリードされる苦戦に陥るが、後半にタリアが2トライをあげ逆転勝ち。第3戦は日体大に33-0と完勝し、3戦全勝でDAY1を勝ち抜くと、DAY2は準々決勝で日体大との再戦を29-5で制すると準決勝でながとブルーエンジェルスを21-10、決勝では東京山九フェニックスを28-12で下した。


表彰式でMVPとして表彰されたのは、今季加入したそのタリア。2日間の6試合で9トライをあげた。


「優勝できてとてもハッピーです。日本に来て、こんな経験ができるなんて本当にうれしい。チームのために働けたことがとてもうれしい。MVPはチーム全体が努力した結果です」



サラはコーチ陣を称えた。

「私たちのクラブには素晴らしいコーチが2人います。ヒリニと坂井。彼らがいろいろな準備をしてくれて、いい練習メニューを考えてくれるから良い準備をしてこの大会に臨むことができました」


サラがパールズに加わったのは2度目だ。一昨季も三重にやってきたが、そのときは必要書類の提出が期限に間に合わず、出場できずじまい。サラは三重での最初のシーズンを練習相手兼コーチとして過ごした。サラは言う。

「あの経験がなかったら、今回また戻ってくることもなかったかもしれない。プレーするみんなの姿をあの時見ていて、このチームでプレーしたいという思いが強くなったんです」

ではタリアが来日した経緯は。それは斎藤久GMが教えてくれた。

「去年までいたオケロが抜けた(ながとブルーエンジェルスに移籍)ので、彼女の後釜のトライスコアラーを探していたときに、以前(2019年)パールズでコーチをしていて、ブラジルのHCになっているカウア・クリスタルが紹介してくれたんです。代理人がいたわけでもなく、コツコツ積み重ねてきたパールズの人脈の成果です。でもタリアはポルトガル語しかしゃべれないので、通訳を兼ねて英語を喋れるガブリエルにも来てもらいました」

ガブリエル・リマはタリアと同じく東京&パリ五輪のブラジル代表だが「2年前、プレシーズンにながとブルーエンジェルスに来ていたんです。そのときから、また日本に来たいと思っていました」と明かす。ブラジルでは国内で活動しているセブンズのチームはないという。

「15人制の女子チームが2つあります。セブンズの活動はナショナルチームだけですね」

と2人は声をそろえ「日本にはレベルの高いチームがたくさんあって素晴らしいね」と笑った。

パールズ勢だけではない。熊谷大会では世界各国から集った新加入選手たちがそれぞれ印象的なパフォーマンスを見せた。その中で異色の輝きを放ったのが北海道ディアナのエミリー・レクルだ。ウガンダの女子選手で初めてのプロ選手としての来日。圧巻のスピードで「フェラーリ」と異名をとった豪脚はDAY1の3試合で3トライという活躍。

エミリー・レクル

エミリー・レクル


「HSBC SVNSで活躍している世界のトップ選手がたくさんいる。本当に素晴らしい大会ですね」

ウガンダがプレーするのはHSBC SVNSの下部にあたるチャレンジャートーナメント。いわば憧れの選手たちが集結しているのが太陽生命シリーズなのだ。

エミリーは17歳だった2017年に7人制ウガンダ代表にデビュー。15人制でもプレーし、2019年にNZのセントビーズ校に3か月留学。そのときのコーチがディアナへの入団を橋渡ししてくれたという。「2019年に香港のチャレンジャートーナメントに出場しました。そのときから日本に来たいと思っていました」

熊谷大会はDAY1、DAY2とも快晴。夏至の強い日差しが降り注ぐ中でプレーしたエミリーは
「ウガンダは1月から3月までとても暑い。でもこんなに暑いのは初めてです」と笑った。

世界各国から集まった選手たちに異なる文化、異なる環境を経験してもらうのも大会の意義に違いない。今年の太陽生命シリーズは、例年以上に多様性が進んでいる。
次戦、北九州大会ではどんな輝きがみられるだろう?

大友信彦
(おおとものぶひこ)

1962年宮城県気仙沼市生まれ。気仙沼高校から早稲田大学第二文学部卒業。1985年からフリーランスのスポーツライターとして『Sports Graphic Number』(文藝春秋)で活動。’87年からは東京中日スポーツのラグビー記事も担当し、ラグビーマガジンなどにも執筆。

プロフィールページへ


 

記事検索

バックナンバー

メールアドレス
パスワード
ページのトップへ