太陽生命ウィメンズセブンズシリーズ2025・年間ランキング発表 | ラグビージャパン365

太陽生命ウィメンズセブンズシリーズ2025・年間ランキング発表

2025/08/24

文●大友信彦


太陽生命ウィメンズセブンズシリーズ2025は最終戦の札幌大会・グランドファイナルを制したながとブルーエンジェルスが3年連続5回目の総合優勝を飾った。

今季は初めてグランドファイナル制を導入。第3戦までのシーズンポイント上位8位までが最終戦の札幌大会グランドファイナルに進み、その勝者がそのまま年間王者となる新方式が採用された。仮に、札幌大会の順位を通常のシリーズポイントとして換算すると、年間ポイントはパールズが74で1位。ながとは70で2位。3位と4位、5位と6位も入れ替わり、3位が66のナナイロ、4位が52のTKM、38でフェニックスと日体大が並び、大会の総得失点で5位がフェニックス、6位が日体大になる。

年間総合優勝に輝いたながとブルーエンジェルス

年間総合優勝に輝いたながとブルーエンジェルス


大会全体を見るとながと、パールズ、ナナイロの3チームは全4大会で4強入り。特にパールズは全4大会で決勝に進んだ。残る1枠に熊谷ではフェニックス、北九州ではPTS、花園と札幌ではTKMが入った(うち熊谷のフェニックスのみが決勝進出)。

以上が4強を形成。5位には熊谷ではTKMが入り、以後は北九州がディアナ、花園がアルテミ・スターズ、札幌が日体大とこちらも4大会ですべて入れ替わった。

上位チームとしての結果を残したナナイロプリズム福岡

上位チームとしての結果を残したナナイロプリズム福岡


一方、アルカス、追手門、チャレンジは今季一度も8強入りを果たせなかった。国内外の代表選手を多数並べるトップチームが、大学生を中心としたチームに対しその実力をきっちり示したシーズンだった。

以下にシーズン全体の個人ランキングを紹介する。

トライランキング



1)タリア・コスタ(パールズ)30T
2)レアピ・ウルニサウ(ナナイロ)29T
3)チャリティ・ウイリアムス(フェニックス)26T
4)オリブ・ワザーストン(パールズ)22T
5)平野優芽(ながと)19T
6)黒田美織(PTS)18T
7)堤ほの花(日体大)16T
8)ジャズミン・フェリックスボッサム(ディアナ)15T
9)大谷芽生(ながと)13T
ヨレイン・イェンゴ(TKM)13T
アカニシ・ソコイワサ(TKM)13T
サバナ・ボッドマン(フェニックス)13T
三枝千晃(ディアナ)13T
ダニー・マフィー(ディアナ)13T

タリア・コスタ

タリア・コスタ


得点ランキング

1)レアピ・ウルニサウ(ナナイロ)177点
2)タリア・コスタ(パールズ)150点
3)ヨレイン・イェンゴ(TKM)139点
4)プルーニー・キヴィット(ながと)138点
5)谷山三菜子(日体大)136点
6)チャリティ・ウィリアムス(フェニックス)130点
7)オリブ・ワザーストン(パールズ)110点
8)平野優芽(ながと)99点
9)黒田美織(PTS)94点
10)永田花菜(ナナイロ85点
11)山田晴楽(アルカス)84点
12)津田佳梨(追手門)83点
13)堤ほの花(日体大)80点
14)須田倫代(パールズ)76点
15)ジャスミン・フェリックスホッサム(ディアナ)75点

レアピ・ウルニサウ

レアピ・ウルニサウ


2025 ドリームセブン

RUGBYJapan365では太陽生命シリーズ2025の4大会9日間の熱戦をフル取材。各大会で活躍した選手は大会ごとにドリームセブンとして発表してきたが、今季は4大会を通じた年間ドリームセブンとして発表する。

平野優芽(ながとブルーエンジェルス 4大会出場 99得点=19T2C)

平野優芽―PEARLSとの決勝戦で見せたゴールデントライ

平野優芽―PEARLSとの決勝戦で見せたゴールデントライ


今季はながとBAの主将として4大会にフルコミット。なgはとを大会史上初の総合3連覇に導いた。HCのシーズン最中の交代など難しいシーズン、戦術を固定せず選手の判断で進める方針への変更が身を結んだのはリーダー平野の経験値と決断力のたまもの。ゲームコントロールだけでなく自らトライを取りに行く姿勢はグランドファイナル決勝パールズ戦の延長での決勝サヨナラトライにも表れた。シーズン19Tは高3でラガールセブンで参戦した2017年と並び自己最多。通算トライは83に伸ばし歴代7位に浮上した。

タリア・コスタ(パールズ 4大会出場 150得点=30T)

タリア・コスタ

タリア・コスタ


世界のトップ国とはいえないブラジル代表ながらワールドシリーズで通算100トライを達成したスピードスターは日本でも大活躍。熊谷大会と花園大会でパールズ優勝に大きく貢献。トライを取るだけでなく、細身に見える体ながら相手のトライを防ぐ猛タックルを再三披露。世界のトップフィニッシャーはDFでも働くことを実証した。独走するときの、長い脚の高速回転の様はもはや芸術的。脚の長さは比率でいえばワーナー以上か。

中村知春(ナナイロプリズム福岡 4大会出場)41得点=5T8C

中村知春

中村知春


パリ五輪を終えて2年ぶりの太陽生命シリーズ参戦。37歳で迎えるシーズンも中村知春は不死身と形容したくなるタフなパフォーマンスを反復した。キックオフを高く跳んで掴む。ディフェンスでは近場のタックルだけではない。失トライが濃厚と思える場面でも敵陣から自陣ゴール前までの激戻りで相手をコーナーに追い詰め、トライされてもコンバージョンを失敗させるという地道なワークを遂行する。自ら立ち上げたナナイロプリズムは今季準優勝2回。やはり優勝しないと辞められない(優勝してもやめないでほしい!)

チャリティ・ウィリアムス(東京山九フェニックス 4大会出場 130得点=26T)

チャリティ・ウィリアムズ

チャリティ・ウィリアムズ


今季はワールドシリーズと時期をずらしたことで、名だたる世界のトップ選手が次々と参戦したが、ゲームへの影響力が最も強かったのはこの人ではないか。フェニックスに加入したカナダ代表のチャリティ・ウィリアムスは攻守の両面で最前線でフィジカルにゲームにコミットし続け、ビッグゲインを勝ち取ってトライをあげ、守ってはタフなタックルで相手のトライを阻止。エース奥野(旧姓・原)わか花、岡元涼葉ら負傷者が続出したフェニックスを支えた。リオ、東京、パリと五輪3大会連続出場のキャリア通り、只者ではなかった!

黒田美織(自衛隊体育学校PTS 4大会出場 94得点=18T2C)

黒田美織

黒田美織


今季、印象的な活躍をみせたのがPTSだ。登録人数を満たしたのは初戦の熊谷大会のみという小所帯だったが北九州大会では過去最高成績となる4位に食い込んだ。ロースコアの勝負に持ち込むディフェンス力もさることながら、今季の充実は少ないチャンスにトライを取り切った決定力。黒田美織は大外を走り切るだけでなくミッドフィールドの狭いスペースでも突破力を披露。昨季、自身が残した14を大きく更新するPTSのチームシーズン最多18トライをスコア。大会全体では6位、国産選手では平野優芽と1差の2位というハイアベレージだった。

ヨレイン・イェンゴ(横浜TKM 4大会出場 139得点=13T37C)

ヨレイン・イェンゴ

ヨレイン・イェンゴ


21年東京&24年パリ五輪にフランス代表で出場。出身はニューカレドニア。太陽生命シリーズに初めてやってきたフランス代表は、多彩なバックグラウンドもあいまって独特のアイデア、ビジョンを太陽生命シリーズに持ち込み、TKMをリード。さらに勝負所で制度の高いキックで難しいコンバージョンを成功。札幌大会準々決勝フェニックス戦ラストプレーの同点トライ&左隅からの鮮やかなサヨナラコンバージョン成功はチーム3年ぶりの総合3位に大きく貢献する一撃だった。


三枝千晃(北海道ディアナ 4大会出場 65得点=13T)

三枝千晃

三枝千晃


昇格チームながら全4大会で8強入り。最終戦の地元・札幌大会グランドファイナル進出を果たしたディアナをエースとして牽引。ベテラン佐藤優とニュージーランド出身のクロウディア、ジャズミン、ダニーという引き出しの多い選手が並ぶ中、見えないところからズドンと走りこむ驚異のラインブレイク力。DFを切り裂きそのままトライラインまで走り切るパワフルでエモーショナルなランニングが毎試合必ず見られた。

2025 ネクストセブン

今季の太陽生命シリーズはワールドシリーズと時期をずらして開催した結果、日本と世界のトップ選手が参戦。例年以上にハイレベルな攻防が繰り広げられた中、まだ代表を経験していない若手選手も躍動した。近い将来サクラセブンズとして活躍が楽しみな選手たち7人をチョイス。ネクストセブンとして紹介する。


勇美玲 自衛隊体育学校PTS 21歳(鹿児島実高) 3大会出場 10得点=2T

勇美玲

勇美玲


本格的に競技を始めてまだ2年。女子相撲全国優勝のパワーに加えハンドリングも光る


東あかり ながとブルーエンジェルス(桜井少年RS-神戸甲北高-日体大) 24歳 3大会出場 20得点=4T

東あかり

東あかり


札幌大会決勝でパールズの驚速ランナー・タリア・コスタを完封したDFは殊勲賞

津田佳梨 追手門学院4年 22歳(OTJ RS-鳴門渦潮)4大会出場 83得点=7T24C

津田佳梨

津田佳梨


スクラムからのダイレクト攻撃と大外へのサポート、キックとオールラウンドの活躍

山田晴楽 アルカス熊谷/立正大3年 21歳(深谷トリニタス-深谷高) 4大会出場 84得点=12T12C

山田晴楽

山田晴楽


スクラムを押し、ゲームが動けばキックもランも。FW兼BKでフルタイムの貢献

松田奈菜実 日体大4年 21歳(富島高) 4大会出場 7得点=1T1C

松田奈菜実

松田奈菜実


タフに泥臭く体を張りどこまでもサポートする姿勢は諦めない日体大の象徴

梅津悠月 横河武蔵野アルテミ・スターズ 22歳(山形一中-国学院栃木-日体大) 4大会出場 15得点=3T

梅津悠月

梅津悠月


ゲームのあらゆるエリアにフルタイムでコミット。スペースに走りこむ読みの鋭さが光る

米村妃菜 北海道ディアナ 22歳(笹岡少年RS-城南中-石見智翠館高-九州産大)4大会出場 34得点=4T7C

米村妃菜

米村妃菜


SH兼SOとしてゲームを作り、スペースに滑らかに走りこむ渋いランニングセンス。

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